プロセス、戦略、人間学の視点からプロジェクトを眺めます。

プロジェクトの本質とは何か? プロジェクトマネジメントの基本1

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プロセスデザインエージェント芝本秀徳です。

前回のエントリー『プロジェクトマネジメントが人気がない3つの理由』に、「すべての知識労働者はプロジェクトマネジャーだ」と書きました。

では、どのようにプロジェクトをマネジメントすればいいかということで、今回は「プロジェクトの本質」についてです。

プロジェクトというものの性質

そもそも「プロジェクト」とは何だろうか。その特徴を知らずには始まらない。プロジェクトという仕事の進め方で、もっとも大きな特徴は二つある。「独自性」と「有期性」の二つだ。ほかにもあるが、この二つの特徴をしっかりと押さえることが大切だ。

独自性とは、独自のアウトプットを生み出すということだ。プロジェクトは、製品にしろ、サービスにしろ、それまでになかったものを生み出すことを目的としている。たとえば、雑誌を考えてみよう。毎週、毎月と繰り返し発行されてはいるが、同じものを2回つくるということはない。必ず毎号、毎号、独自のものをつくる。これを独自性という。

有期性とは、明確な「始まり」と「終わり」があるということだ。1年を通して、いつもやってる業務は定常業務であり、プロジェクトではない。プロジェクトとは、独自のアウトプットを生み出すための、一定期間の取り組みということだ。

独自性と有期性という二つの特徴から何がいえるか。それは、プロジェクトとは、

 やったことがないことを、
 何が起こるかもわからないのに計画し、
 予定通りの品質で、期限までに終わらせること

ということなのだ。考えてみれば、これはかなり無茶な要求ではある。だから、プロジェクトは何もしなければ失敗する。

プロジェクトは不確実性に支配されている

「やったことがない」「何が起こるかわからない」「それでも期限はある」ということは、すなわち、不確実な状況のもので成果を生み出すことを約束しなければならないということだ。つまり、プロジェクトの本質は「不確実性」あるといえる。プロジェクトは終止、不確実性に支配されているのだ。

では、プロジェクトを支配する不確実性とは、どのようなものだろうか。ここに不確実性コーンと言われるグラフがある。横軸はプロジェクトのマイルストーン、縦軸はその時点で見積もったプロジェクトのスコープ(スケジュール、工数)に含まれる誤差の程度をそれぞれ表している。

最初のマイルストーンである「初期のプロダクト定義」を見てもらえばわかるように、プロジェクトの初期は、かなり高い誤差を含んでいることがわかる。多く見積もった場合で4倍、少なく見積もった場合で0.25倍(4分の1倍)。ということは、その差は16倍もの開きがあることになる。

この大きな不確実性を前提として、いかに乗りこなすかが、プロジェクト成功のカギとなる。

不確実性に対処する3つのアプローチ

プロジェクトが抱える不確実性に対処するには、3つのアプローチが考えられる。

1.不確実性そのものを軽減する
2.衝撃を減らす
3.徐々に不確実性を減らす

の3つだ。

1の「不確実性そのものを軽減する」とは、グラフでいうと不確実性の取り得る範囲を小さくするということだ。これは予測可能性を上げるということだ。予測可能性を上げるには、プロセスを設計し、再現性を上げなければならない。

2の「衝撃を減らす」とは、何かがあったとき、見積もりと現実が乖離したときに備えて、あらかじめ対策を打っておくということだ。スケジュールに余裕を見込んでおいたり、リスクが顕在化したときの発生時対策をあらかじめて立てておくことで、衝撃を減らすことができる。

3の「徐々に不確実性を減らす」には、意思決定とプロジェクトコントロールが必要となる。グラフを見れば、不確実性は時間とともに勝手に減っていくように見えるが、そうではない。それぞれのフェイズで意思決定をしてはじめて、不確実性は減っていく。また、見積もりと実績の乖離をモニタリングすることで、その先の見積もりの精度を上げていくことで、不確実性を減らすことがでできる。

プロジェクトマネジメント=不確実性を乗りこなす

ここまで読んでいただいて、プロジェクトの本質は「不確実性」にあり、プロジェクトマネジメントとは、イコール「不確実性を乗りこなす」ことだということがわかっていただけたかと思います。

世の中にあるプロジェクトマネジメント手法は、すべてこの不確実性にいかに対処するのかというバリエーションに過ぎません。

次回は「不確実性を乗りこなす」アプローチの一つ、「衝撃を減らす」ためのバッファの考え方、取り扱い方について、書こうと思います。



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