1ヶ月以上空白が開いてしまったが、このところ、「復興支援」という本業にも関係するということで、マクロ経済の本を立て続けに読んでいた。本書は、「ミスター円」と称された元財務官僚の方の著作である。

過去の歴史を整理・おさらいして勉強するには便利な書籍だったが、著者の経歴を見直して、「もう退官後10年以上も経っているのに、こういう発言出るかな?」と思うぐらい官僚寄りに見える記述もチラホラ。同じ(といってもレベルはだいぶ違うが)元霞が関の関係者として、気になったことを綴ってみた。

第1章 内向き日本の衰亡

ここはイントロで、目新しい話は感じなかった。統計データなどを持ってきて語る話で言えば、一人当たりGDPとか人口動態の年齢的分布などもっと突っ込んだ話があり、「デフレの正体」など他の書物の方が秀逸であろう。「政府介入の必要性、行き過ぎた市場中心主義への反省」というところが言いたかったところなのだろうとは感じるが。。

第2章 大きな政府で世界を目指す

「アメリカ化ではなく欧州に学ぼう、円高を利用して海外へ打って出るべし」というメッセージには同意できる。が、「だから再配分機能を担う大きな政府が必要」と言うには、まだちょっと距離があるという感じ。

  • 政治主導と言ったところで「素人政治家では結局何も決められない」ことが露呈したので、「官僚に任せておいたほうがうまくいく」
  • 日本人・日本企業に任せていても上手くいかないから、「役所主導でやったほうが早い」

という感覚は元役人らしい本音として理解できるのだが、「仮に正しいとしても、自分で語らず自然に世の中の人々に腹に落としてもらわないと、世の中変わらないですよ」という意味で、もう一捻り必要な気がする。

少子化に歯止めをかけたフランスの話にしても、人口ピラミッドのアンバランスや世代間公平・不公平の議論がないので、「この程度の理論武装では役所も完全じゃないし、やっぱり役所に任せても大丈夫なのかどうか疑問視されるのでは?」という不安感が先に立った。

第3章 脱欧入亜のススメ

インドや中国におけるものの考え方、相手国の官僚の意思決定機構などの紹介は非常に参考になる。
この辺は、素人では分からない情報がコンパクトにまとめられており、官庁の偉い人向けに作成された質の高いブリーフィング資料を読んでいるような感じ。
我々のような一般人の議論の質を高めるには、従来であれば意思決定者のみが知りえたであろう内部情報に近い話がこういう形で公開されることには大きな意味があると思う。

第4章 選ばれた「素人」としての政治家

地方議員の兼業化、専門家としての官僚を使いこなす提案 などは、たまたま、統一地方選の結果などを調べたこともあり、「元お役所勤務の経験者」としても共感できるところが結構ある。

が、一方で純粋に民間企業の世界しか知らない普通の人の立場の人々には、「また、元官僚が我田引水の理屈をつけている」と見られても仕方がないような気にもなった。

自分自身が霞ヶ関を辞めてもう10数年経過しているので最近はどうかわからないが、「官僚は本当に専門家なのか?」というところが引っかかる。
予算編成や法律作成という国家運営(とは言え、官僚的大企業の社内手続きのような霞が関内部事務)の専門家であることには間違いないのだが、どちらかというと「Super Generalistであって、専門家ではない」のが官僚だ。

政治家が多すぎるのも困りものだが、Super Generalist(もどき)の一般管理部門が多すぎても困るというのが一般企業での感覚であろう。

第5章 官の能力をどう使うのか

廃県置藩、道州制はナンセンス : 

多すぎるStakeholderや階層を減らさないと物事が決まらないという点では同意できる。「トップダウンを進めやすい環境を作るべし」というのが隠れたメッセージだと個人的には理解した。

実際、自治体クラウドなどで町村会の方々が合意形成して進めていく話を聞くが、「広域共同体」が藩の範囲に近いことは多い。一方、道州制の否定については、管理構造として、「じゃあ国が約300の藩を全部、直接、面倒見れるの? そのために国家公務員を増やすなんてナシですよ」と釘を刺したくなる。

行き過ぎた天下り規制: 

担当業界などへの再就職規制を緩和して”優秀な”元官僚を再活用せよというメッセージであるが、この「官僚=優秀という暗黙の前提」に、ちょっと考え込んでしまうのである。確かに確率論としては正しいような気もするが、官僚の優秀さの根源は、職務上多くの業界人や他社情報までを知りえる人脈的ハブ機能であったり、業界全体を俯瞰する視点、規制当局の意思決定プロセスやクセを知っているインフルエンサーとしての役割であろう。国民の税金でそういう経験知をたまたま積むことができた”特に優秀な方々”に対しては、その再就職は少なくとも最初の一回は、ドラフト制度のような平等性が求められるような気がする。

日本株式会社の再興 : 

日本株式会社=官民一体となった共同体(高度成長時代の通産省と製造業)のようなイメージ

民間と役所の中途採用を増やすべしというメッセージには同意できる。そういう意味では、中央官庁側がプロパー採用者の既得権益を捨てて、外部から中途での幹部採用を先に推進すべきような気がする。

実態としては、手弁当で作業させたり民間から出向を募るという形で似たようなことは既に起こっている。そのときの理屈は「官僚は専門家ではないから」というものであるため、出向者の業務は「調査係、主任研究員」のようなスタッフ的なサポート役にとどまってしまい、所管課の課長職のような業界全体をつかさどるポジションに着任することはまれである。一時的な出向ではなく、本格的な転職・転籍として幹部クラスの中途採用がない限り、本気度は感じられないだろう。

第6章 教育こそ市場化する

ここは全面的に同意したくなった章であった。著者自身が大学で教鞭をとっていることなども含めて、現場感のある記述になっていると感じる。
明治時代の教育改革から始まり、「ゆとり教育」に至るまでの経緯も、わかりやすくまとめられている。

大学教授が免許制でもないのに、「初等教育が医者と同じような免許制とはこれいかに」という指摘は、わかりやすく「ごもっとも」という気がする。

元商社マンが教える世界地理や世界史という例示のほかにも、元メーカーのエンジニアが教える物理・化学、金融マンが教える数学なども、「学校の勉強って、実は大人になって案外役に立つ」ということを知ってもらう上で、確かに面白いと思う。

子供の頃、「学校の勉強って本当に役に立つの?」と親や教師や周囲の大人に聞いても満足な答えを得られた記憶がないが、今の自分なら結構明確に答えられるという自信がある。似たような大人は、最近は意外に多いのではないだろうか?
中学や小学校の先生という職業が、一般の会社員とのインターン制度などを含めてもっと流動性を持つことで、授業の教え方も変わってくるのではないだろうか。

第7章 失われる国際競争力

株式持合い時代の日本的経営から、80年代後半のプラザ合意に至る円高、日米構造協議の頃の話は、やはりコンパクトにまとめられており、「おさらい」としては理解しやすい。
が、現象面の指摘に終わっており、結論らしきものは、「ボトムアップなどの良いところを残しながら、グローバル化、デジタル化を推進する」というお題目レベルに終わっているような気がする。

「ボトムアップを残すと何も決められず、スピードをもって物事が進まない」というのが、今の日本社会の問題点として、巷間、言われている。
グローバル化とボトムアップは両立可能だとは思うが、「デジタル化=モジュール化=情にとらわれず入れ替え自由」 と言うところは、組織論から日本人的文化論にかかわってくるのでそう簡単に両立できないという困難さを理解されているかどうかが気になる。

第8章 成熟国家の新しい開国

日本は欧米の先を行く課題先進国であり、誇れるものは「自然、環境」というものしかない。でも、これが大きい。大きいと認識させることが重要

一方で雇用や年金の現実問題を考えると、世代間平等・不平等の話に言及せざるをえないと思うのだが、そこまでには踏み込まれていない。
「安全、健康で長寿」なのはもちろん良いことなのだが、その維持コストを若い世代から搾取するようなモデルでは、海外に対して誇れる「日本型モデル」とはならないだろう。

新エネルギーなどは率先してやらねばならない。今回の震災は、日本人全員にそういう踏ん切りをつけさせるためのものだったような気がする。

発信が必要であり、英語を第二公用語化して国外への情報発信を推進するのは賛成である。私自身が本ブログをはじめたのも思いは同じである。

「結論」

目指すGoalや提示されたアイデアには合意できるものは多い。が、その実現へ向かうプロセスについて、利害関係者の損得を考えながらでないとパズルは解けないのだが、そこまでのヒントは少なかった。

今、皆が悩んでいるのは、この「利害調整プロセス」である。
誰もが損しないように問題を解くのは不可能だ。次の世代にツケを回すのか。既得権益者が腹を括って、損をかぶりながら次世代に希望を残すのか。どういう解き方をするにしても、必ず誰かにしわ寄せが行く。。。我々の世代も、この踏み絵を踏まされているという自覚が必要だ。

morishee

連休中に再放送を観た感想であるが、本放送は4/16頃だったようだ。本ブログでも何度か書いたマイケル・サンデル教授の「正義」ネタだが、震災と日本人の対応について各国の学生が何をどう感じたかを日中米3箇所からインターネット3元中継で討論するという試みをNHKがTV番組化したものであった。

  NHKのサイト本放送はこちら
  制作プロダクションによる番宣ブログはこちら

日本からの参加者は、東大、早稲田、慶応などの大学生とゲストが4名。
ゲストのメンバーは、

  • 高橋ジョージ(歌手・俳優、東北出身、一般的な大人の代表?)、
  • 高畑淳子(女優、典型的な家庭の主婦代表?)、
  • 石田依良(作家、有識者的な位置づけ)、
  • ジャパネットたかた社長(個人で5億円寄付、ビジネスマン代表)

という顔ぶれであった。中でも、ジャパネットたかた社長がグローバルな視点をもって回答していたのが、非常に興味深かった。

中国からの参加者は、上海復旦大学から学生8名
米国からの参加者は、ハーバード大学から学生8名。一応、人種・性別などに配慮したサンプリングがなされている模様。

大きな論点は以下の3つ

  • 1) 日本人が見せた「震災後の規律ある対応」について、どう思うか?
  • 2) 対放射能作業のような危険な作業を、どのような人物にアサインするべきか、その判断基準は(スキル、年齢、家族の有無など)? 今回のような危機に対する任務を、報酬によるインセンティブで危険な任務の担当者を募集することの是非
  • 3) それでも原発を推進すべきか、この際「生活水準を下げてでも脱原発に舵を切るべきか」

1)について:
自己犠牲の精神については、中国の学生も日本人と同じ感覚を持っており、「特に珍しいものではない」とのこと。儒教教育エリアに共通の感覚なのだろうという感じがした。
やはり、幼少時の教育というものは、個人の価値観や文化的に共通なコミュニティの形成にあたって重要なのであろう。

また、「最後は国や政府(現政権への信頼ではなく「お上」という意味)を信じている」という東洋の文化と、「自分で解決しなければならない個人主義」欧米文化の相違であるという意見も、正しそうに感じた。

コミュニティの範囲を、「国」にまで広げられるか否かについても、日本人は単一民族なので自然な発想として「国=コミュニティ」となるが、欧米人は多民族国家であるため同一民族の居住区が地域的に集中することなどから狭い範囲のコミュニティにしかならないという議論があり、非常に合理的に感じられた。

この話で思い出したのが、「道州制よりも今こそ廃県置藩を」という、榊原英資氏の最近の著書「日本をもう一度やり直しませんか」で述べられている見解である。

単一民族で道州制など不要。3階層ではなく、国と基礎自治体(市町村)の2階層で十分。その代わり、基礎自治体を合併して大型化させ300くらいにすると、ちょうど昔の藩に相当する

という意見なのであるが、個人的には実感に合っていると感じさせられた。

例えば、今回の震災における風評被害問題に関しても、出荷停止の農産物の対象範囲を福島産とか茨城産ではなく、「水戸産」とか「相馬産」など市町村の複合体で定義したほうが、「無事な地域を道連れにしてしまう」リスクが低下したであろう。

参考:昔の藩の名前と地図はこちら

「都道府県では粗すぎるが今の市町村では細かすぎる」という物事の方が、「県より道州」という物事よりも増えてきているような気がする。IT化が進んだ今なら、中央政府が300の基礎自治体と直接コミュニケーションしていくことも不可能ではないように感じる。

2)について
危険な任務に対して高額報酬でインセンティブを付与することを否定する意見が多かったのは、個人的に意外であった。

「金銭をインセンティブにすると、結果的に経済的弱者が危険な任務に狩り出される」というのがその論拠であったが、私自身は「拒否権がある限り問題なかろう。むしろ、スキルなどの判断基準から選定され、任務を強制されるほうが問題ではないか」と感じた。

私自身は、危機への対応になるほどスキルやモチベーションが重要になることには同意できるが、「雇用する側が任務の重要性や危険性を認識している」というサインとして、金銭的そのものによるモチベーションではなく心情的なモチベーションを醸成するためにも、なんらかの高額報酬の提示は必要だろうと考えている。実際、自衛隊などで放射能関連の作業などに「危険手当」のようなものは出ているらしいが、手当てを目当てに志願するというよりは、「志願してくれた心意気に対する御礼」のような意味合いであろうと考える。

時間の関係なのか、あまり深い議論にならなかったのは少々残念。

3)について:
日本は、脱原発 >> 原発継続、
中国は、脱原発≒原発継続
という結果に対して、米国の学生が一人も「脱原発依存」に賛成しなかったのが驚き
であった。

「失敗を恐れず常に前向きの米国人気質らしい」という印象を強く持ったが、「スリーマイル事故の後であればこんな反応にはならなかったのに」と考えると、やはり当事者意識が薄いのかとも感じた。。さらには、「脱石油≒反イスラム」のような刷り込みが、9.11以降の米国の若者世代に出来てしまっているのではないかという一抹の不安を感じた。

ビンラディン射殺に関する報道と米国一般大衆の対応を観た感想も同じなのだが、「米国の誇る多様性はどこかへ消えてしまったのか?」と感じざるを得ない、複雑な思いになった。むしろ、中国の学生の方が、地球規模でエネルギー問題を考えないと、「日本発の災害で隣国である中国まで被害を受けかねない」と、グローバルな視点を持っていたことにちょっと驚き。

総評

  • 今回は、欧州人の意見がなかったのが残念。
  • 欧州の中で、原発推進と脱原発に分かれるフランスとドイツが、フランス側のドイツ国境そばにある原発について、どのような見解を持って論争するのかを見てみたかった。
  • 強い利害関係の対立の中でも、コンセンサスを作ったり妥協をして物事を進めていく欧州人の懐深さに学ぶところがありそうな気がする。
morishee

経営学の世界におけるポートフォリオでは、確率論で言うところの「期待値=発生確率 x 実現した場合のインパクト」 でリスクは判断される。

その際、フィジカルな(クリック&モルタルのモルタル側)では、大抵は「正規分布に則って」という仮説が入り、平均値から前後3シグマ(標準偏差)で99.74%がカバーされるから、「当面はこの範囲で物事を考えれば十分」という習慣になっている。

ところが、バーチャルな(クリック側の)ネットの世界では、ご存知「Long Tail」のおかげで、この「3シグマから外れた世界」が馬鹿にできない。

0.26%以下の確率であっても、(良くも悪くも)大当たりしてしまうことがある。

例えば、

  • Web空間上に無数にあるブログ。これらのどこかで炎上が起こる可能性は、どのくらいあるだろう?
  • Twitterで誰かが風評被害の元となる「裏づけのない妄想」をつぶやく可能性は如何に?
  • そのうち、「自社に関係があって被害が及ぶ炎上が起こるリスク」をどうやって把握すればよいだろうか?

大企業の場合、まずは「リスク把握の一歩」として、誰がブログをやっているか?という総数の把握から入るであろう。
そのほかには、Search Engineなどの分析ツールを駆使したり、時折、「2ちゃん」を覗きに言って「自社の評判を目視で確かめる」ぐらいのことは行われるであろう。
こういう活動により、最悪の場合のリスクの「桁数」が把握できる。最終的には、ブランドイメージの低下などにより、「数年間、数%の売り上げが低下する」という予測値になるであろう。

一方、発生確率の方は、ある意味「考えても仕方がない」が、それでも考えなくてはいけない数値だ。運悪く起こってしまえば、当事者にとっては「既に確率100%、与えられた確定条件」になってしまうのである。
また、その気になれば、「鉛筆を舐める」ことのやりやすい数値でもある。
むしろ、どこまでの範囲を考慮するかという「意思が反映される」政策変数であると言ってもいいだろう。

そこで、∞の側を実際の数値(せめて桁数)で把握することが重要だ。

これは原発問題も似たようなものであると考える。

事故リスクについては当然ながらゼロを目指す。例えば宮城県で震度5以上の年間の地震発生件数は2001~2010年の10年で 12回=1.2 回/年

震度7以上に限定すると、過去10年くらいのデータでは発生確率=ゼロになってしまうが、歴史的事実を振りかえり

  • 貞観地震(西暦869年)を考慮し、今年起こる確率として考えれば、約1200年に1回と考えて、1/1200≒0.1% (今回の震災で、2倍の確率くらいになるかも知れないが)
  • 今日起こる確率と考えれば、さらに1/365 で、  2.3 x 10-6 = 「パーセントの1万分の1」くらい

と、時間軸を短く切ったり、過去の歴史を振り返る範囲を調整することで「限りなくゼロとはいえ何らかの数値」に考えていくことは出来る。

どのくらいの時間軸をとるのが正しいかは、判断したい行動による。

  • 震災前に、「本日、福島を訪問すべきか?」というぐらいの話であれば、ほとんどの人が、リスク≒ゼロと考えたであろう。
  • 震災前に、「3年間、原発のそばに単身赴任するか?」というくらいの話であれば、年間の話なので、0.1% の桁数でリスクを考えねばならない。

実際には、地震だけでなく津波や人為的操作ミスによる原発事故の可能性も考慮するため、事故発生確率のほうはもう少し高い数値になるだろう。

そして、一旦事故が発生した場合のインパクトは、これまた甚大。
経済価値を考える場合には、∞と思われるインパクト側をできるだけ正確に抑えるのが早道であろう。

このインパクトについても、風向きによる運・不運、風評被害、計画停電による生産活動の停滞などを入れるか否かなどで、想定される影響は大きく異なる。

結果のインパクトについては、何千億円なのか何十兆円なのか、結局は、桁数とその幅で抑えるしかない。
被害者の方々には申し訳ないが、ひとまず冷徹な机上の計算として被害者数(志望者、行方不明者、退避者の合計)を15万人と想定し、最終的に1人平均1000万円の補償と勝手な数字を仮置きすると、計算上は1.5兆円くらいの規模の話になる。

問題は、発生確率の想定の方である。
貞観地震という歴史的事実を考えれば、どんなにゼロに近くても、ゼロではない。
チェルノブイリのような人為的ミスも考慮すると、やはり発生確率はゼロには出来ない。
「過去に経験のある最大値を考える」ことは、「真に未経験の世界=想定外の世界」を想定することとは全く異なる話である。

そして、次にゼロに近いほうの桁数と∞に近いほうの桁数との組み合わせである。
(千億円~十兆円)X0.1%=1億円~100億円 のリスクとなれば、エネルギー政策として原発のもたらす効果と天秤にかけると、確かに微妙な線なのかも知れない。
同じような原発が国内に50台近くあるので、リスク負担は総額で大きい桁数の方で見て、100億円X50台=5000億円くらいの規模。
これを、薄く広く受益者負担として「国民は、税金とか、電気料金に上乗せされる災害時補償積立金として負担せよ」という議論も、規模感からすればありえない話ではない。
国民1人あたりで言えば、追加負担は4000円/年くらいの話ということになるのだろう。
原発が1台増設されるたびに、この追加負担が80円/年くらい(世帯あたりの電気料金だと4人家族で320円/年くらい)が上乗せされていくような覚悟が必要だ。今回の計画停電や夏場の電力不足に備えた節電対策で強いられる不便と、この追加負担(+実際の電力料金)を天秤にかける話となる。また、既にこの追加負担は電気料金に上乗せされて徴収済であり、「(会計上の義務はなかったにせよ)積み立てておくべきものが利益処分されていた」ということならば、利益処分にあやかった株主・従業員・経営者らが相応に責任分を負担するという議論も出てくるのであろう。

最終的に、リスクをとるかどうかの判断は意思である。そのためにも、多少強引であれ数値化して考えることが必要だ。
限りなくゼロの世界も、限りなく無限大に近い世界も、無理やりにでも数字に置き換えない限り、リスク判断について心情的な議論から話を前に進めることはできない。

morishee

統一地方選挙の第2幕が終わった。2週間前の知事レベルを受けて、今回は実際の実務を行う区長・市長、区議会・市議会議員などの基礎自治体レベルである。地方自治体向けの仕事などもやっている関係で、市長・区長の交代がないか、議員の多数派が変わることでプロジェクトの進捗に支障をきたさないかなど、商売柄、結構気になることも多い。

また一人の有権者としても、今回の選挙は「震災、自粛ムード」があったせいか、目だった選挙演説や候補者プロフィール一覧のビラなどもなく、(私だけかも知れないが)非常に情報不足の中で投票をしなければならず悩んだ感がある。

  • 他の人たちはどういう判断基準で何を見て投票したのだろうか?
  • その結果はどうなったのか?

が非常に気になり、いくつかの地域での結果を調べて分かったのが標記の事実である。

例えば、私の地元の世田谷区の場合、アバウトな計算であるが
投票総数=有権者数(68万人)X投票率40%=28万票 で71人立候補、52人が当選。

立候補者数で単純平均すれば 28万票/71人=3943 票 が得票の目安。
実際の開票結果はこちら。当選者の最低ラインは3200票ほどだ。

マーケティングを生業としており、Twitterのフォロワー数やWebサイトの訪問者数など桁違いの数字を観ているいる立場からすると、このくらいの出席者数のセミナーなどはそこそこ存在するので、「3000-4000票くらい、すぐに何とかなるのでは?」と思ってしまう。

たしかに地元の有名人、PTAやボランティアの顔、ちょっと美人・イケメン、支持政党の組織票などの条件があれば、簡単になれてしまいそうな気がするのは、気のせいだろうか。

実際には、少ない得票数で議員になれる地域ほど、全体数よりも「地域におけるマインド・シェア=日常活動の印象」が効いてくるので、そう単純にはいかないのだろうとは思うが。

一方、当落の境目はわずか60票程度というのも、恐ろしい。
営業マンの世界で言えば、「予算に1円でも未達であれば給料ゼロ」というぐらいのプレッシャーであろうか。

もう一箇所、住基ネット参加・不参加で有名になった国立市の選挙結果なんかを見てみると、議員になる最低得票数が800票たらず。
しかも、最後の当落の差はたった3票。。数字のドラマだ。

有権者 58820人 投票率=58%、投票総数32000人
議員定数22人、立候補26名 => 単純平均で 32000/26=1230 票が得票数の目安という感じであろうか。

こうしてみると地方議員になるにも一票の格差があるようだが、こちらは「予算との兼ね合いで、議会と地元住民の決めること」と考えれば、格差もやむをえないのだろう。

 

とはいえ、結局、「なんか地域代表の議員が多すぎるんじゃないか」という素朴な感想に行き着いてしまう。
区議会議員、都議会議員の選挙区別、衆議院地方区、など似たような地域でいったい何人・何階層の代表が存在することだろう。

「決断力を持てない社会」の象徴のように見えてきた。

morishee

既に様々な報道がなされているが、最近の日本製品の放射能問題に関して、国内のみならず海外の過剰反応が激しいようだ。

さらに農産物だけでなく、自動車部品のような工業製品にまで放射能汚染がなされていないかどうかの検査が要求されているという話もあるとのこと。

また、被災地とは無関係な地域における観光客も激減しているとの話がある。
これを逆手にとって、香港では、期間中にM6以上の地震があれば料金返金という日本ツアーも登場し、日本通のリピーターには好評らしい。

中国に立ち寄ってきた外人からは、「最近の中国料理店では、日本から食材を輸入していないので安全だと言っているらしい」という話を聞かされた。
「ギョーザ事件を忘れたか?」とか「こんなほとんど無意味な厳しい検査を課すとは何事か?」と言いたくもなるが、米国のBSE(狂牛病)問題のときは、全頭検査を主張した「潔癖症 日本人」である。立場が変わって因果応報と言われてもやむをえないところがある。

ジャーナリストの田原総一朗氏は、「米国による”80km圏内撤退”判断が原因であったが、当の米国は既に判断を”日本並み”に変えている」と説いている。

この問題の根幹には実は、「対外人向けコミュニケーション」の問題が多いと思われる

そこで、グローバル企業として弊社の社内のCommunityでもDiscussoinがあったので、

  • チェルノブイリの時には、欧州人は、いつごろからキャビアやロシア(ウクライナ産)の食品を食べるようになったか?
  • AREVA、GE、IAEA、米軍など外国の参加メンバーに同席させ、彼らから語ってもらうというアイデアはどうか

など、私も聞いてみた。

外人たちの反応はこうであった。

  • 長期的な観点で見ると、暴動が起こらなかったり、電柱が立ち始めて電気が復旧する速さなど、「日本人の底力、日本ブランド」に対する認識・信頼は底堅い。今回の件で、改めて、日本の規制が世界標準以上に安全重視であることを知った
  • 基本的には、短期的なTransparencyの問題。下手な言葉よりもデータを開示するべし
  • IAEAや、米国・フランスなど多国籍のメンバーによるendorsementは、信頼性を増すので有効。日本だけでなく、どこの国でも、文化を超えたコミュニケーションは簡単ではない。
  • どこの国でも、TVや新聞などメディアはキャッチーにするためにセンセーショナルな内容を好むが、「東京が無事だ」などという話はニュースにならないので報道しない。しかし、ソーシャルメディアなどでしっかりとデータに基づいた情報公開と議論を行うことにより、有識者の意見は沈静化するだろう。いまやネットの力は報道機関を仰ぎ、信頼されている。
  • NHKニュースの海外版など、日本から英語で発信されているメディアで使われている表現がまずい。いくら過去最大規模でも、HugeとかMassとか言うと、いかにも日本全国が汚染されているような印象を受けてしまう。「想定外」を繰り返すと、「あの几帳面で保守的なリスク回避主義の日本人ですら想定できなかったぐらいヒドイ」というイメージになるので、さっさと「想定が甘かった」と言った方が論理的には後々有利

言われてみて、改めてNHK英語版のサイトを見てみた。例えば、こちら。

  • レベル7でチェルノブイリと同じレベルになった。
  • 実は東京近郊の千葉の浦安もひどい。(浦安も場所次第だし、肝心の東京はほとんど無傷なのだが。。)
  • 日本の首相は、米国に引き続き支援を要請

等々。

日によってニュースの内容は異なるが、確かにいくつかのニュースを固めて見出しを見てみると、日本人の自分が見ても「危ないから来ないで。日本は大変なんだ」というメッセージに見えてしまうこともある。「備えよ常に」の観点から国内向けにはこれでよくても、国営放送のあるべき姿として

  • 日本の姿を海外に正しく伝えるための報道という観点からは、国内向けと同じ内容でよいのか? (日本人を代表する)社説的なメッセージがあっていいのでは?
  • 他の外国メディアと同様に外人にウケる(買ってもらえる)コンテンツを配信するだけで存在意義があるか?

という新たな問題を感じてしまった。

また、英語での情報発信を目的とした首相官邸のFacebookはどうなっているかというと。。 記者会見の日付の羅列だけ。見出しには全くメッセージがない

まだまだ日本人としては、やることがありそうだ。

morishee

国内でのサマータイム導入には過去何度か議論されており、2005年頃の金属労協での検討結果こちらにまとめられています。この当時は、「ライフスタイル変革のキッカケとして導入に積極的」だったように見えます。

しかし、元々サマータイムが出てきた欧州は緯度が高いので、日本人の感覚を越えて「アフター5」が異常に長くなります。

例えば、7月のロンドン(緯度51度)にいたことがありますが、この時期には日の出が4時・日没22時となっており昼間の時間が18時間もあります。夕方15時頃(通常の16時)からパブはHappyHourとなり、14時頃(通常の15時)には仕事を切り上げて飲みに出かけるモードになります。また、18時頃(通常の19時)からは、日本の丸の内・茅場町のようなオフィス街のど真ん中でハーフ・マラソン大会が行われたりします。

つまり、サマータイムというのは、長い「明るい夜」を余暇時間にするというインセンティブでもって仕事時間を短縮しているところに意味があると考えられます。しかし、緯度が35度の日本では、日の出が4時半、日没が19時半と言う程度ピークシフトで15時に仕事を終えたとしても、残り4時間ちょっとでは余暇を楽しむには通勤時間を考えるとちょっと中途半端。しかも13-15時のピークはコアタイムから外せないということになってしまいそうです。(緯度による日の出、日没時間の詳細はこちら

一方、今回の主目的は電力ピークカットなので、13-15時をホワイトカラーのコアタイムからはずしたり、家庭用エアコンの需要を減少させることが必要でしょう。とはいえ、産業復興を考えると、今回の計画停電の学習効果から、プラントやクリーンルームなど24時間x365日連続運転しないと意味のないところには優先的に電力供給をするべきでしょう。

古い資料ですが、業種分野別電力需要予測のようなものがこちらにあります。

すでに、家庭用、業務用、産業用が3割ずつくらいとなると、落とすべきは最終需要である家庭用需要および業務用の一部でしょう。伸びてきているのは業務用(サービス産業やホワイトカラー向けオフィス需要)ですが、ここを落としすぎるのも経済活動に支障をきたすでしょう。

そこですぐにできる草の根活動の提案ですが、元々、昼間の時間にも業務上の観点から冷房をつけざるを得ない飲食系サービス業(マクトナルド、スタバ、ファミレス、カラオケボックス)のようなところに、「サラリーマンも家庭の主婦・子供も集合」というのはいかがでしょう。消費喚起・経済復興と合わせて「一石二鳥」を狙うという発想です。

ホワイトカラーはそこでテレワークするもよし、昼寝して涼しくなってから残業するもよし。主婦や子供は、TVを観たり勉強するのも、ご近所と一緒にすることで冷房節約に貢献するとともにローカルコミュニティの復活にも貢献。商業施設だけではなく、図書館とか児童館のようなところに出かけるのもいいでしょう。

飲食店側にも、「節電に協力し、料金のxx%を義援金」という流行のキャンペーンで需要喚起を期待します。小売店であれば、「電力ピーク時間に特化したタイムセール」とか、「品薄のミネラルウォーター、紙おむつなどをこの時間帯限定で売り出す」というのはどうだろう。とにかく、自宅から外出してどこかに集まることにより、家庭内冷房需要を引き下げ社会全体の冷房効率を上げるという発想です。

もちろん、全体の電力需要も減らすべく、冷房の設定温度は28℃から29℃へ1℃あげる。その分、今のクールビズを推し進めて、ハワイや沖縄のように「アロハ」や「かりゆし」を正装として認めるということも必要。花火大会に備えて浴衣まで認める手もあるか。。(さすがに、短パン・Tシャツはまずいでしょうから)

消費者として「スマートな電力ピーク時の過ごし方」というのは、ピーク時の総需要を減らしつつ、「冷房効率を上げる=1台のエアコン(1部屋)で、できるだけ大勢の人間が涼をとる」ということだと理解したいです。

少なくとも空の大部屋を冷房で冷やし続けるのはご法度ですね。マーケティング担当者としては、夏場のセミナー開催が思案のしどころ。。

morishee

本稿は自分自身の一人ブレーンストーミングによる「頭の体操」です。震災以降多くのイベント・セミナーが中止され、原発・電力問題の先が見えない中でマーケティング担当者は何ができるのか・するべきかを、本年の目標再検討として考えるためのものです。いろいろ「ツッコミ」を入れていただければ幸いです。

まず、「悩んだときには、より根源的な(高い次元の)定義や基本の志に戻って考え直す」という観点から、マーケティング・セオリーに即して世の中の状況を再整理してみます。

「外部環境変化(STEEP)」

Society : 引き続く緊張感・不安感(計画停電、原発問題)から、防災対策やBCP(Business Continuity Plan)の実践に注目が傾斜。体験して初めて感じられた「不都合」の発見(例えば、セキュリティ重視のバランスを変えて、PCを持ち出し在宅勤務へシフト)や、今後さらに想定される事態への備えが重要視される。

  • 必要なものは即断・即決で即利用開始。スピード重視で合い見積もりや入札などのプロセスは簡素化の方向
  • 被災地(岩手、宮城、福島、茨城の東北4県)、準被災地(東京を含む関東圏、日本海側の東北3県など被災地周辺)、非被災地(西日本、中部、東海)の地域別温度差あり。セグメントに地域を考慮する必要が高くなる。
  • 被災地周辺で大規模な人・モノの移動が発生。
  • サプライチェーンの再構築が必須、買占め騒動から個人レベルでの備蓄ニーズや自己責任・受益者負担の意識が高まる。B2B分野でも、部品の欠品による生産停止などへの対応が急務
  • 希望を探すムード、共に復興を目指す共感のメッセージが期待される。

Technology : ITの要素技術的には、以下のような分野への関心が高まるものと予測。

  • バックアップ&リカバリー関連、
  • Webサイトの予期せぬピーク対応、Webコンテンツ管理 (情報発信)
  • シミュレーション(放射能関連)、
  • 情報集約・共有(安否確認、避難状況、交通情報、災害情報、対策の進捗確認など)、地図とのマッシュアップや衛星画像の活用が身近に
  • テレワーク(在宅勤務)、
  • Twitter/SNSによる情報発信・伝播・共有

Economics : 中長期的な投資が控えられる。一方、ダメージを受けた設備は一新せざるを得ない。復興対策費用を捻出するため、更なるコスト削減が求められる

Ecology
 : 電力が制約条件になる。したがって、

  • 当座の不足電力を補う方法や、中長期的に電気を使わない仕組みに注目が高まる(省エネグッズ)。
  • 原子力に変わるエネルギーが注目される(蓄電池、スマート・グリッド、風力発電など)

Politics : 

  • 物流、交通、電力に関して、突然停止や価格変更などの混乱が予想される。
  • 買占め騒動に対応するための増産要請や、配給型販売の要請・行政指導などが想定される
  • 上記のような混乱を回避するための規制緩和が、なし崩し的に行われる可能性が高い
  • 復興対策のための予算バラマキなど、お客様の行動基準に影響を与えるものが多い


「SWOT分析」

上記からSWOT分析の外部環境に属するOpportunity、Threatを炙り出す。
今回、Opportunity部分は各自の立場で異なりますし、Threatは山ほどあって暗くなりそうので割愛しますが、「仮説によるOpportunityの捻り出し」が肝だと思います

なお、IT業界ですでに顕在化しているOpportunityで言えば、以下のようなものが挙げられるでしょう

  • バックアップ・リカバリー関連の機器、サービス
  • 在宅勤務のための、リモートアクセス環境、VPNなど
  • ホームページへのアクセス増大時に対するリソース提供(IaaSのクラウド)
  • 災害時の本社機能切り替え(東京→関西、日本→海外)に伴うインフラ整備

「4P/4Cの視点によるアクションプラン」

1) Product/Customer Value

  • 自社が提供する製品・サービスの再構築。今まで以上にターンキー型/パッケージ型にして「即断・即決・即利用」のニーズに応える必要あり。
  • Chasm理論で言うところの「ホール・プロダクト(関連製品)」をしっかりと揃える必要あり。例えば、熟練オペレータ付きのオンサイトでのアウトソーシング(サービス提供)など
  • 従来のような、部品積み上げのSIや要求仕様から「じっくり作り上げるプロジェクト型」は通用しなくなりそう
  • さらなる防災や復旧・復興につながるValue提案

2) Price/Customer Cost

  • 即断・即決分野に関しては、納品確保のために、即払いもありえる。価格よりもスピード重視のため、入札などのプロセスは短期化。
  • 全般的には、被災関連企業ほどキャッシュフローが厳しくなり、ファイナンス関連の条件に関する提案も重要性を増す

3) Place/Convenience

  • 物流・交通・情報網の混乱から、直販カバレッジの重要性が高まる。チャネルが多重化するほど、情報が錯綜しフルフィルメントも不確実になる。
  • 確実な納期・在庫の重要性が高まる。
  • ホール・プロダクト整備という観点で、自社とパートナー企業の一層堅いアライアンス(確実なTeaming強化)が求められる
  • 品薄時における重要顧客への対応という観点から、CRMの実践的運用力が試される

4) Promotion/Communication

  • PushからPullへ更なる傾斜。Twitter/SNSなどデジタル・マーケティングへの傾斜。イベント・セミナーに来る余裕(精神的・時間的)が薄れているため、リアル・セミナーからWebinarへシフト
  • 直近の防災や復興につながるシナリオを盛り込んだコンテンツ(セールストーク)の作成

やはり、1)のCustomerValueが肝であることに、それほど異論はないと思います。ただし、スピード感への対応が重要でしょう。ストレートな防災や現状に復旧するだけの提案はたやすいが、それ以外のものは、シナリオの出来栄えが勝負。復興として「過去を上回るもの」を再構築する場合に、重要性・緊急性を訴求するところがポイントになりそうな気がします。

morishee

すでにワイドショーなんかでも取り上げられ始めてますが、停電問題に絡んで、プロ野球のセ・リーグ、パ・リーグ、選手会の3者がそれぞれの思惑でいつから開幕しナイターをいつから始めるかでもめているという最近の話題。

どうやら、セ・リーグのオーナー会議が妥協するような予測も出ているようです。

読売巨人軍の会長であり”影の大オーナー”渡辺恒雄氏は 3/16段階では「23区は停電していないんだから、、、」と発言。その後、文部科学省からの通達で発言は撤回したらしいですが。。正式なオーナーからも、「日程は自分たちが決めること」とのコメントが出ています。

これを聴いた瞬間に、節電大臣・文部科学省・経済産業省・東電が一緒になって、「そこまで言うなら、文京区後楽(東京ドーム)、新宿区霞ヶ丘町(神宮球場)、横浜市中区横浜公園(横浜スタジアム)を夜の停電範囲にしましょうか?」という反応が出てもおかしくないと思いました。

ちょうど、停電グループ細分化の話も出てきたところであるし。。夏場は、そもそも3区(千代田、中央、港)以外は停電不可避のようなので。

または、大前研一氏の提案にもあった、「大口ユーザーピーク時の割増料金」の設定を早期に導入し、東京ドームがコスト上乗せで巨人軍への球場使用料金に転嫁するとか。
(それができない契約形態だとすると、意味ないですが)

この人、終戦の頃でプロ野球が数少ない娯楽であり公共性が高かった時代のイメージのまま、「早期開幕」の信念を持っているような気がします。

しかし、プロ野球視聴率が低下して地上波で放送されなくなったような現状で、「観客がガラガラで赤字でも、コスト回収のためにやり続ける」と言うのかどうか、個人的には注視したいところです。

  • もしナイターが強行されれば、実際に何人観客が入るのか「日本人の民度のバロメータ」としても、見てみたい気がする。
  • それとも、Social Media発で、「セ・リーグ ナイター不観戦運動」でも起これば、新聞の影響力低下も、肌で感じてもらえるだろうか。これもひとつの、「ソーシャルメディア発の国内革命」になるかも知れません。

ちなみに、震災後に民放がレギュラー番組を復活し始めた際の視聴率データはこちら。

  • 娯楽に飢えていた反動もあると思うが、もともと高い視聴率の定番ドラマ、アニメ、バラエティーで10-20%ほどあるが、他はそれほどでもない。
  • スポーツ、音楽はせいぜい5%程度

もうひとつ、違和感を感じたのは、「野球人は野球するのが仕事だから」というオーナー側のコメント。「野球を通じてファンを楽しませ、国民に勇気を与えることで対価を頂戴する」なら違和感ないんですけどねえ。

操業を止めている自動車工場なんかとの比喩で言えば、「車を作るのが仕事なのだから、こんな状況でエンドユーザーの需要があろうが、販売店の状況がどうであろうが、生産して在庫で押し込めば売上げが成立するのでとにかく操業しろ」と言っているように聞こえます。

エンドユーザーや社会に配慮するという視点で同じスポーツを比較すると、サッカーのJリーグの方がスパッとして、個人的には非常に気持ちがいいです。

  • リーグ戦や日本代表戦は4月末まで延期。
  • 変わりにチャリティでオールスター戦をデーゲームで3/29にやる。
  • ナイターも4月中はナシ、夏場以降を考慮して5月以降もデーゲーム中心

という方針がすでに打ち出されています。

プロ野球機構の結論は3/26にまで持ち越しらしいですが、今度の一件で、プロ野球ファン(特に巨人ファン)は、減ることはあっても増えることはないような気がします。
かくいう私も、その一人。

morishee

大前研一氏が語っているセミナーのようなものがYouTubeで掲載されています。

全部で75分というのは長すぎるけど、「今後の対策」は45分過ぎあたりから。
前半は「やっておけばよかった発電所対策」の話が中心。

この中で、非常電源用の火力発電所を作る話なんかは、そもそも設計段階の安全率の想定を遥かに超えたレベルの自然災害なので、今回の地震は史上5番目でしたが、史上最大規模の地震を設計基準にしたところでそれを超える規模が発生すれば、「何やってもキリがなかったでしょ。」という気もします。非常電源を地上の高いところにおいても、その高さを超えた津波が来れば無力化するのは同じなので。。この辺は、費用対効果を考慮した社会的コンセンサスの問題だと思われます。論理的に一貫性のない設計矛盾とか外部電源が1箇所しかないという部分を除いては、設計者の安全基準を責めるのは酷な気がしました。

大前氏本人も語ってますが、「日立時代に出入り業者として東電にいやな思いさせられた」気持ちが多少入っているのかも知れません。

ドームで原子炉を覆うとか新たなクレーンの敷設が必要とか、現地のプラント復旧策については、ほとんどその通りなのでしょう。さすが、元原子力博士という感じです。

重要なメッセージは、今の小康状態を続けながら、根本的に放射能発生源の元を断つまでに3-5年はかかってもおかしくはない長期戦であるということです。


さらに、個人的に都民としての今後の対策については、もう少し追加して考えるところがあります。(まだまだ今日・明日の問題で大変な被災地の方々にとっては、違和感のある話だと感じられることも多々あると思いますが、ご容赦ください)

1) 放射能対策

まだまだ不確定要素が多く発生源が断たれない中で、東京はたまたま風に恵まれて「結果オーライ」で無事だっただけだと個人的には認識しています。

参考:地震発生後の風向きを考慮した3/20までの放射能拡散状況シミュレーション

上記はドイツのWebサイトですが、これを見ると、東京をギリギリかすめて茨城、千葉あたりから太平洋に抜けて、ハワイ、アラスカ、カムチャッカ半島あたりが当事者として今回の放射能拡散を見ており、世界中から「日本は早く放射能拡散をなんとかしろ」と言われる可能性もありそうな気がします。

こういう環境の下で、各自治体ではモニタリングが常態化し、「(光化学スモッグ警報のような)放射能注意報・警報」の中で生活するようになるような気がします。

今の時代だと、GoogleのStreetViewや気象庁のアメダスをミックスし、地図と風向きをマッシュアップしてシミュレーションした「明日の放射能予測」みたいなのが毎日公表されるような中で生活することになりそうな予感

適切な例えかどうかはわかりませんが、都内で暮らすということは、「データ的には安全だけど、なんとなく気持ちの悪いレントゲン室の隣部屋で生活する」とか「マンションで隣部屋が怪しい宗教団体の部屋になったような感じ」だと認識しないといけないような気がします黙って耐えているだけでは事態は改善しなさそう。少なくとも、チェルノブイリで廃村になった地域の「隣村になってしまった」くらいの自覚と備えは必要なのかも知れません。

現実問題として、まだまだ予断を許さない状況であるにもかかわらず、都内では自分たちには何事もなかったかのように日常が再び始まろうとしています。
TV番組は通常編成でお笑い番組などが復活し、政府もパニックを防ぐために、日常が戻っていることを演出しようとしているように感じられます
計画停電と電車運行の問題が落ち着けば、良くも悪くも都会の賑わいも戻ってくるのでしょう。

日常が戻ることそのものは悪いことではない。
「備えよ常に」の精神で、いざという時にパニックさえ起こさなければ。


なお、現在、関係者の方々の努力により外部電源回復から全ての冷却機能が復活すれば、多くの心配事が杞憂に終わる可能性もゼロではありません。もちろん願わくば、そうなってほしいとも思います。


2) 電力不足、停電対策


大前研一の施策案ですが
  • 夏のピーク対策として、節電インセンティブをつけた料金を導入しペナルティ分は復興資金に充当するような話は、おそらく実現化するでしょう。是非やるべき
  • サマータイムについては、日本標準時を切り替えるところまでは(システム対応のコストと混乱回避のため)やらないにせよ、会社の就業時間を朝7時から夕方3時までに2時間シフトさせるようなことは経団連中心に行われそうな気がします。業種別就業時間などの導入もありえるでしょう。
  • 夏の高校野球中止(季節変更)もありえるでしょう。文部科学省と朝日新聞に誰かがプレッシャーかければすぐにでも進みそう。。。
それらに加えて、発電所依存の中央集中型から、太陽光発電と電気自動車による家庭内蓄電をミックスしたスマート・グリッドの導入が中長期的には加速するでしょう。経済産業省が今まで考えていることが加速すると思います。ITの世界で言えば、データセンターへの集中と自社持ちサーバーやPCの能力をミックスした設計になり、どちらに比重をおくかは時代による技術に応じて10年間隔くらいで変わっています。電力インフラの世界はもう少し技術変化が長期的だと思いますが、今回の事故をきっかけに集中から分散に比重が移りそうな気がします。

資源貧国の日本としては、原子力への再投資は困難であり、火力の復活も一時的にはともかく、恒久的には環境問題とエネルギー政策の観点で無理があるでしょう。「新しい技術で復活する日本」を目指す立場としては、太陽光発電で個人需要をできるだけ個人でまかないながら節電とセットで考えるという視点が必要だと考えます。

また、単純にビル内自家発電などの導入も義務化されて進みそうな気がします。専門外なのでよく知りませんが、高層ビルで「外部からの電力供給が断たれてエレベータが止まる」などというのは、今の建築基準として許されていたのでしょうか?ビルの規模によっても異なるのでしょうが、その辺の基準値が変わるかも知れないですね。

さらに、1)2)両方から出てくる副次的効果として、
  • リスクマネジメントの視点から、都心回帰よりも遠距離郊外通勤(小田原あたり)が見直されたり、在宅勤務が増える。
  • 同じ都心回帰なら、徹底して都心にこだわる。夏場の計画停電でも対象外といわれている3区(港区、中央区、千代田区)にこだわりが増える。今回の計画停電の地域割りの結果は、土地価格にも影響しそうな気がします。中途半端な都心は結局停電の対象になり、救われたのは環状八号線と荒川の内側だけというのがよくわかったhttp://teidenjapan.appspot.com/
  • 大阪(またはシンガポール、香港などの海外)に本社機能を移すか分散する企業も増えるでしょう。残念ながら、日本撤退・縮小に走る外資系企業は増えるかも。

また、「デフレの正体」のような人口動態論も含めて10-20年スパンで考えると、そもそも高齢化で農村部の人口がガンガン減ってくる時期なので、今回の震災をキッカケに都市も農漁村も「選択と集中で見直す」という「日本全国再総合開発計画」が必要なのでしょう。今回の避難民の方々の行き先に関しても、「東北の農村部から西日本の農村へ移住」という話が出ているそうです。前述の大前氏のビデオにも、複数の漁村・漁港を集約する代わりに、ハイテク水門で漁港を守って高台から通勤する大規模集約化漁村のような話が語られています。

もはや世界各国で人口の7割は都市に住む時代。「国土の均衡ある発展」という看板は維持できないでしょう。

選択と集中による特色ある発展」に加えて、道州制とか地方自治体の再合併のような話が絡んでくるかも知れません。既存の選挙区割に固執する既存政党の政治家がここにまで手をつけられるかは微妙でしょうけれど。
morishee

第3弾は、真面目な心理学テストのようなものをご紹介したい。

[ keirseypersonality]

右脳(感情や芸術を司る)・左脳(論理、数学などを司る)というのは日本人にもなじみがある話だが、これに上脳・下脳を加えた Whole Brain Model という考え方
がある。

最終的に、4Typeに分類され、マネジメント・スタイルだとか窮地に陥った時の行動パタンを表現し、この行動パタンの相違によって相性の良い悪いがある。

以前の人事系研修で受講したこんな話を思い出させてくれたのが、この診断クイズだ。

そのときと同じように、70問弱のクイズで診断が行われるので回答はタフである。と同時に、質問の多さが本物らしさも感じさせてくれる。

[ What Does your Aura Color means]

普段の生活、信条において何を優先するか?という質問から、その人のオーラとなる色を選んでくれるカラーコーディネータのようなアプリ。

頻繁ではないが、生活における優先度も変わるだろうから、そういうときには人生観が変わったものとみなして、「自分のオーラカラー」も適宜、再診断することが可能。

外人相手の性格診断なので、そのまま「あんたってどんな人?」と少々突っ込んだ会話をしたいときに使えそうな単語やフレーズが仕入れられそうだ。

追記:本記事は震災前にタイマーでアップしたものです。「日常生活を取り戻す」と言う意味でそのままアップは続けますが、関係者の方々の復旧に向けてのご尽力に感謝するとともに、個人としてもできる限りのことをしていきたいと思います。

morishee


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森島 秀明

森島 秀明

日本IBM勤務。ソフトウェアのマーケティングに長く従事し、現在は公共セクター向けの営業を支援

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