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「あなたには誠意が無い」と言われてしまった原因

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前回に引き続き若者の話ですが、とある若者の悩み相談で感じた事を書こうと思います。その若者を、ここではSさんと呼ぶ事にしましょう。

Sさんは最近、仕事で大きな失敗をしました。

上長にこっぴどく叱られて、普段からの仕事の進め方や姿勢を指摘され、自分はこの仕事に向いてないんじゃないか?と、すっかり自信を無くしていたのです。

Mistakes
Mistakes / plindberg

叱られた際、上長からは色々な点を指摘されたそうですが、その中には「あなたには誠意が無い」という指摘が含まれていました。

Sさんとは昔から付き合いがあり、その人柄はそれなりに知っているつもりですが、自分が問題を起こした時に平気でいられるようなタイプではありません。今回の失敗の件についても、本当に申し訳ないと感じていて「どんな顔をして職場に戻れば良いのか」なんて話しています。「誠意」がSさんの中に存在しているのは明らかです。

では、本当に申し訳ないと感じている人が、なぜ「誠意が無い」と言われてしまうのでしょうか?

見えないものを見せる方法

その原因は、誠意の「見えかた」にあると思います。

「誠意」という言葉を辞書で調べてみると、
" 私利・私欲を離れて、正直に熱心に事にあたる心。まごころ。" とあります。

「まごごろ」や「心」は目には見えないものですから、誠意があるかないかを外側から判断するには、その人がまっすぐに事に当たっている「ように見える」かどうかで判断するしか無いでしょう。

ところが、Sさんは、大きな失敗を起こしてしまったことで、自分の存在そのものを「恥ずかしい」と感じてしまっていました。

恥ずかしくて消え入りたい、早くこの場から逃げ出したいと思いながら謝罪をすると、相手の目を見ることができなかったり、もじもじしたりと、無意識のうちに落ち着かない態度がでてしまいます。

人間は結構敏感ですから、相手はこのような態度からその人の不安感や、逃げ出したい気持ちを感じ取ります。そして問題から逃げたいという気持ちがある事は、その問題に「真摯に向かいあっていない」と判断される材料になってしまうのです。それが、Sさんが「誠意が無い」と言われてしまった原因では無いでしょうか。

そしてもう一つ大事なのは、謝罪をした後の行動そのものです。起こした問題を最小限の被害に留めるにはどうすべきか?再発を防ぐためにどのような対策が考えられるか?自分の能力をどう改善していけばよいのか?そういう事を熱心に、まっすぐに考えて行う行動は、誰にでも目に見える「誠意」となって現れます。でも、自分にすっかり自信をなくしてしまっていたSさんは、そのような真っすぐな行動を行うことができなかったのです。

自分の能力に対する控えめな気持ち、自身の無さが、その人の人格(誠意があるか・無いか?)の評価にまで、悪い影響を与えてしまう。控えめである事は美徳ですが、それが悪い影響を与えうる可能についても、よく理解しておく必要があると思います。


その後、そのSさんは消え入りたい気持ちを抑えて真摯に上長に謝罪し、受け入れてもらったのだそうです。そして上長の教えの元、その職場が求めている仕事のやり方と、自分のやり方にギャップが無いかどうかを探りながら、勉強していくつもりなのだとか。とりあえず、良かった。

若い人が責任を持たされ一人前のビジネスマンとなる過程では、手痛い失敗が起こりえます。でも、その失敗を「行動に表された」誠意で乗り切る事で、周りの信頼はぐっと高まります。そんなもんです。だから大丈夫。

・・・年寄りみたいなことを書いてるなあと、最近思うけど。
まあいいかな。

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