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Web3.0時代を見据えたコンテンツ戦略

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政府の知的財産戦略本部は2022年6月30日、「知的財産推進計画2022」を公表しました。

この中から、Web3.0時代を見据えたコンテンツ戦略についてとりあげたいと思います。

デジタル化の進展により、経済活動はリアルからバーチャルへのシフトが進み、市場成長において注目される分野がメディア・コンテンツ分野となっています。

デジタルのネットワーク化により、コンテンツの創作・流通・消費全般の構造に大きな変革をもたらし、さらには、メタバースやブロックチェーン・NFTの活用といった新たな潮流が、仮想空間上における、コンテンツ消費や、デジタル経済圏への構築への動きを加速させています。

こういった状況の中、デジタル時代のメディア・コンテンツ産業の構造転換を勧め、良質なコンテンツ創作のためのエコシステムの構築を測っていくことが重要であるとしています。

コンテンツの創作・流通・利用の変化(将来予測)をまとめたのが以下の図です。

スクリーンショット 2022-07-10 091218.png

出典:知的財産推進計画2022 2022.6

Web3.0時代を見据えたコンテンツ戦略を勧めていく上では、大きな動きは、配信ルートが多様化し、メディア間競争が激化し、コンテンツと制作資源のとりあいが進む中で、日本の文化に裏付けられた独自のコンテンツを生み出す制作・制作堂のグローバルな競争力・収益力を回復・向上させることが中心的な仮題と位置づけています。

巨大なプラットフォーマーが今後も強い支配力を持つことが想定される一方、Web3.0時代を迎え、こうしたプラットフォームによる支配を離れ、クリエーター主導、プロデューサー主導によるコンテンツ制作が拡大していく可能性も指摘されているとしています。

そのため、多様なクリエーター・製作者による創作・発信の拡大によるくリレーション・エコシステムの構築の重要性もあげています。

スクリーンショット 2022-07-10 091305.png

出典:知的財産推進計画2022 2022.6

ポイントとなるのが、仮想空間上における新たなコンテンツ消費等への対応です。

Web3.0時代を迎え、メタバースやNFTの活用がコンテンツの創作・流通・利用の新たな可能性を広げているとし、コンテンツビジネスにゲームチェンジの機会をもたらす可能性も指摘しています。

たとえな、さまざまな分野のデザイナーがコンテンツクリエーターとなって融合し、新たな価値創造を生む動きが活発となることも予想され、さらには、国境のないメタバース空間では、異文化の融合も加速し、新しい文化の潮流が、現実世界にもフィードバックされ、リアル領域における文化や経済の発展にもつながることが考えられるとしています。

その一方で、メタバース空間内で権利関係等、新たな仮題も顕在化しています。

ブロックチェーンは、ユーザー間のP to Pの取引を行えるようにしており、ブロックチェーンを活用した取引は、耐改ざん性が高く、取引履歴の追跡も容易となって、取引の真正性を証明できるようになるとしています。これにより、二次流通時における、オリジナルの権利者への一定の対価還元(ロイヤリティの支払い)も可能としています。

コンテンツ分野では、特に、ブロックチェーン上で発行されるNFTを用いて、希少性のあるデジタルコンテンツやこれに付した商品を売出し、二次流通(転売)も可能として、高付加価値を測る等のビジネスが生まれており、これらがメタバースの経済圏とも結びついて、さらに発展する動きを見せている点もあげています。

NFTの登場は、従来、特定のプラットフォームに依存していたデジタルアイテムの保有・使用を、複数のプラットフォームにわたり横断的に行えるようにする可能性も広げているとしています。

メタバースやNFT等の発展は、新たなコンテンツビジネスの創出を促す可能性があり、特に、クリエーターやキュレーター主導によるコンテンツ・エコシステムの活性化が、よりいっそう促進されることが期待できるとしています。

その一方で、メタバース、NFT等については、いまだ発展途上の段階にあり、政府としては、民間事業者などと綿密に連携しながら、実情に即した仮題把握や論点整理を行い、必要な対応の検討などを進めていくことが求められるとしています。

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