iPadショック(2)~IT業界の勢力図を変える
林信行氏の著書「iPadショック」では、第4章に「IT業界の勢力図を変える」では、IT業界に大きな変化をもたらす内容で大変興味深く読ませていただきました。
第4章の「IT業界の勢力図を変える」の中では、iPadの普及とiPadの人気は、Webの世界に大きな変化を起こし始め、特に重要なのが、
- ブラウザ勢力図の変化
- HTML5の推進
- Flash排除
の3つをあげています。
「ブラウザ勢力図の変化」では、アップルが開発するモバイルSafariのシェア拡大をあげており、Safariの基礎部分は「Webkit」というオープンソースを利用しており、アップルだけでなく、グーグルの「Chorome」、Androidの標準ブラウザ、そして、ノキアの「Symbian」、Blackeberryも「Webkit」に対応しています。「Webkit」に対応していないのは、Windows Mobileの端末くらいとなっており、モバイルインターネットの世界では、「Webkit」がマイクロソフトのInternt Explorerに代わる標準ブラウザ技術の座を制した、としています。
そして、今、Webの世界で注目されているのが「HTML5」です。「HTML5」の詳細は省略しますが、Webで新しい表現ができ、その急速な普及の後押しをしているのが、iPhoneであり、これからはiPadとなっていくとしています。
そして、「HTML5」が広がるインパクトは、これまで影響力をもっていたWeb技術、つまり「Flash」に大きな打撃を与える可能性を指摘しています。アップルが「Flash」のサポートを拒む理由として、アップルのスティーブ・ジョブズCEOが4月29日に公開したレターに「Flash」を採用しない理由として、
- Flashがクローズドな技術であること
- Flashを搭載していなくてもiPhone/iPadユーザが見られない動画はそれほどない
- Flashは非常に古い不安定な技術
- Flashはバッテリーを消費する
- Flashはパソコン用に作られた技術でありタッチ操作をきちんと考えていない
- Flashはマルチプラットフォームの技術であり、ソフトに質の低下をもたらす
の6つをあげています。
今後、iPadが普及していくことになれば、Webの勢力図が代わり、「HTML5」の勢いが加速化するとすれば、「Flash」の技術も一気に存在感が薄れる可能性を指摘しています。
iPadの登場は、パソコンを中心としたWebの世界が、モバイルインターネットとタッチパネルを中心としたWebの世界へと大きく変化させるドライバーとなるのではないかと、「iPadショック」を読んで、改めて感じているところです。
関連サイト
- iPadショック(1)~3つの魅力と核となる7つのライフスタイル (2010.6.7)
- iPadショック(2)~IT業界の勢力図を変える (2010.6.8)
- iPad ショック(3)~通信業界を動かす (2010.6.9)
- iPad ショック(4)~ビジネスシーンへの広がり (2010.6.10)