ICTの未来(1) --脳情報インターフェイス技術
日本の国際競争力が低下した。世界における日本の存在感がなくなった。もはや日本の経済は一流でなくなった。等様々な表現で日本の国際競争力の低下が指摘されています。
総務省の情報通信審議会は、4月25日、国際競争力を強化する観点から、研究開発、標準化に関する具体的推進方策について審議を行い、「我が国の国際競争力を強化するためのICT研究開発・標準化戦略(案)」をとりまとめを公表しました。
この戦略(案)の資料は、244ページにも及ぶ膨大な資料なので、読み応えが結構あります。すべてを網羅することは不可能ですが、未来のICTを考える上で興味深い内容をピックアップし、本ブログの中で何回かに分けて取り上げていきたいと考えています。
第一部の第1章と第2章は日本のICT分野や研究開発の現状についてが述べられており、第3章では新たな研究開発のポイントが記載されています。
「新ICTパラダイム創出」の分野では、光・量子通信技術、ナノICT などの先進的な技術分野の研究開発を通して、これまでとは全く異なる新しいコミュニケーションパラダイムを生み出すことで、20 年後の日本の糧となるICT の「種」をつくる研究開発を目指しています。
この研究分野の中では、「量子情報通信技術」、「ナノ・バイオICT ネットワーク技術」、「テラヘルツ技術」、「脳情報インターフェース技術」の4つの研究開発課題として含まれています。難しいキーワードが並んでいますが、一番イメージがつきやすい「脳情報インターフェース技術」をとりあげてみたいと思います。
「脳情報インターフェース技術」とは、
脳内の情報を(電極等を脳内に挿入することなく)非侵襲的に取り出し、コミュニケーション機器や入力インターフェース等を直接動作させることを目指す、全く新しいコミュニケーションパラダイムを実現するための技術である。欧米においては、重度運動障害者の意思伝達を目的とした侵襲的計測技術の研究開発が進められているが、情報弱者や高齢者、さらに一般市民のコミュニケーションサポートへと社会的に広く受け入れられるために不可欠な非侵襲計測技術においては、基本特許、論文等からも日本が圧倒的に優位な状況である。現在想定される市場規模は計測装置や入力インタフェース装置を想定すると、国内市場で7,000 億円(2025 年)、世界市場で1.2 兆円(2025 年)である。
としています。
中でも興味深いのは、「脳情報の評価技術」です。2025年には、脳情報のデータベースから情報提示システムを評価し創造的コミュニケーションを支援する技術の確立を目指すとしています。
2025年になると今より少子高齢化社会が進み、脳情報を活用したコミュニケーションのあり方が重要になっている時代になっているのかもしれません。
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