青少年ネット規制法へ反対する声明文の賛同人の一人として
自民党が準備を進めている「青少年ネット規制法案」への反対のムーブメント起きています。
DeNA、MS、ヤフー、楽天、ネットスターの5社は4月22日、「青少年ネット規制法案」に反対を表明する意見書を提出しています(関連記事)。
また、同日MIAU(Movements for Internet Active Users:インターネット先進ユーザーの会)とWIDEプロジェクトなど5団体と6人の個人と共同で「青少年ネット規制法に反対します」という声明文を出しています(関連記事)。
そして、元MS副社長の古川享氏や、慶応大の中村伊知哉教授、金正勲准教授などが呼びかけ人となり、「青少年ネット規制法」に反対する声明を発表しています(関連記事)。声明文は、「think-filtering.com」名で発表されており、私自身もその賛同人の中の一人です。
声明文の中には、「有害情報からの青少年保護」という政策目標には全面的に賛同するとしていますが、法案が規定する政策手段については、以下のとおり重大な問題があると指摘しています。
1) 「違法」でない「有害」な情報という主観的であいまいな基準を政府が策定し、主務大臣が恣意的な行政命令権を持つことは、先進各国には類例がなく、利用者及び事業者を萎縮させ、「表現の自由」を侵す。
2) ウェブサイト管理者に対する有害情報削除の義務付けにより、個人のブログに他人が有害情報を書き込んだような場合でさえ措置を執ることを強制される。国民の表現活動が制約を受け、誰もが情報発信を行う手段というデジタル技術の効用を損ね、デジタル文化を萎縮させ、ひいては有望と目されてきたネットワークやコンテンツ等のデジタル産業を縮小させる。
3) 携帯電話会社に対する義務化は、保護者がフィルタリングを外すことに同意しても青少年が利用できなくなる措置であり、有害ではないサイトへのアクセスまでも制限される可能性のある現状では、日本が誇るモバイル産業とモバイル文化の衰退を招く。
としています。
そして、政府の過剰で誤った介入が、国民の基本的な権利を侵害すること、またこのような政策は、グローバルなネット社会で日本のみを孤立させ、技術革新を妨げ、競争力を損なうという点でも誤っていると指摘しています。
そして、フィルタリングやサービス面での技術革新を促して、日本の産業が世界をリードすること、そして選択多様性や情報リテラシーなどの教育を充実させる支援策を考えるべきであると指摘しています。
日本は、“ガラパゴス化現象”や“情報鎖国”と指摘されているように、世界と比べてブロードバンドインフラは整いながらも、「日本のITランキングと様々な評価指標」などで述べさせていただいたようにICT国際競争力全般においては、先進国と比べて遅れが目立っています。
また、「学校裏サイトの影響は?」等でも述べさせていただきましたが、日本のICT教育の遅れは特に深刻です。
臭いものに蓋をするのではなく、情報爆発と言われる増え続けるネットの情報に対して真剣に向かい合い、情報モラル教育と情報リテラシーを高め、子どもたちと学校、地域、企業等が一体となって取り組むことが大切ではないかと考えています。
そして規制よりも競争により技術を高めることによって、コンテンツ産業育成やネットワーク環境を整備し、日本のICT国際競争力を高めていくことが必要ではなのではないでしょうか。