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ハルク・ホーガンとピーター・ティールとニック・デントン

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この話、そのうち当ブログのゴシップカテゴリで紹介しようと思いつつ、先延ばしにしていたら、Gizmodo、Kotaku、Lifehackerなど、IT系でお馴染みのメディアを持つGawker Mediaがチャプター11申請(破産申請)というところまで来てしまったので、あらすじだけ追っておきます。

まず、タイトルに入れた3人の登場人物を簡単にご紹介。

ハルク・ホーガンはご存じの方も多いと思いますが、米国の元国民的プロレスラー。63歳ですが、人種差別発言でWWEに解雇された2015年まで現役でした。Embed from Getty Images

ピーター・ティールは、このブログを読んでくださるような海外ITに関心のある方はご存じの、ペイパルマフィアの頭目です。IT系企業をいろいろ立ち上げたりバックアップしたりして、シリコンバレーで一目置かれる大立者で大金持ち。
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ニック・デントンは一番「誰?」かもしれません。でも、このブログで一時期よくご紹介していたゴシップネタは、この人が立ち上げたGawker Mediaの1メディア、いまはなき「Valleywag」からのものが多かったのでした(これとか、これとか)。ValleywagはせっそうのないIT系ゴシップメディアではありましたが、ソースはちゃんと確認してデマは(ほぼ)載せない、それなりに骨のあるメディアでした。あと、冒頭で紹介したように、IT系のちゃんとしたメディアも持っています。
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まず、Valleywagが昔、「ピーター・ティールはゲイだって~」という
記事を掲載してティールの逆鱗に触れました。それ以来、ティールは折にふれてGawkerを目の敵にして非難する発言(テロリスト呼ばわりとか)をしていたそうな。(ゲイだっていいのに、と思うんですけど、みんながティム・クックみたいに公にできるわけではない。)

で、ハルク・ホーガン登場。Gawkerのメディアが、ホーガンのセックスビデオを公開した(2012年)ことがプライバシー侵害だとして提訴しました(途中はしょってます)。ホーガンは離婚の慰謝料であまりお金がないはずだったんですが、辣腕弁護士を雇って、最終的にはGawkerに1億ドルの賠償金支払い命令という判決を勝ち取ります。

ここで、ホーガンとティールが結びつきます。ホーガンが辣腕弁護士を雇えたのは、Gawkerを恨むティールがお金を提供したからだったのでした。当初「まさかいくらなんでも」と思っていたらティール本人が認めました

米国では、個人が赤の他人の訴訟のためにお金で援助ても違法ではありません。でも、私怨を晴らすためにこんなことをするのはなんだかかっこ悪い。

結果的にメディアを破産に追い込むなんて、すっかりヒールです。

Recodeは今年のCodeカンファレンスで、デントンとティールを一緒に壇上にあげようとしたんですが、ティールはシカトしました(Codeカンファレンスはかつて、故スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツを対談させた実績があります)。

Recodeの記事に転載されたGawkerのプレスリリースによると、なんと、Ziff Davisに買収してもらうことになっている、と。Ziff DavisはかつてMacUserを出していた、今もオンラインでPC Magazineなどを運営している老舗メディアです。

デントンは「ティールの何十億ドルをもってしても、うちのライターたちを黙らせることはできない。うちのサイトは新しいオーナーの下で繁栄し続け、裁判で勝つ」とツイートしていますが、Ziff Davisはティールに睨まれて大丈夫なんでしょうか。なんだか地獄の果てまで追ってきそうで怖い。

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