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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

オフィス移転とエンバカデロの今に至る開発ツール部門分離の真実 その10

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今月16日、エンバカデロのオフィスは、JR飯田橋駅を挟んで反対側に移転する。今回の移転は、エンバカデロを設立してまもなく、現在のオフィスに移転して以来のもので、ボーランドから分離してからのオフィス問題にある意味終止符を打つものだと考えている。

ということで、新しいオフィスの話ながら、ちょっと昔の話と絡めて、今の状況を報告してみようと思う。


2006年に開発ツール部門が分離してから、しばらくはバーチャルな組織で「DevCo」その後「CodeGear」と名乗っていたものの、組織的に完全に分離独立して、ボーランドオフィスの分室のようなところに全員が集結したのは、同年10月のことだ。

このとき、ボーランド側でもオフィスの区画を整理し、新しい受付を作成している。

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実はこのタイミングで、従来あったセミナールームを閉鎖しており、我々としては、自社セミナーを自分たちのオフィスで実施するすべを失ったと言ってよい。当時入居していたオフィスビルには、貸会議室もあり、こちらでセミナーを実施することもあった。しかし、コストもかかり、あらかじめしっかり企画立案しないといけないため、当然頻度は落ちる。結果的に、四半期に一度、100~200名規模のデベロッパーキャンプというイベントを実施するという形態に落ち着いた。

オフィスはその後、市ヶ谷へ。しかしその間、2008年6月にエンバカデロがボーランドの開発ツール部門を合併。我々もエンバカデロの日本法人を立ち上げる。現在のオフィスに移転する2009年2月までは、別会社でありながら、会議室を共有し、ドアひとつで出入りできるという異質な状態が続いた。

独立して初めてのエンバカデロオフィスは、設立当初のビジネス状態から、現状維持が実質的な決定だったと思う。今日のように、明確なマルチデバイス戦略も打ち出していないし、会社としてとりあえず走り出し、従来ビジネスを円滑に引き継いでいるという状況だった。

そのため、オフィスはあくまでも事務作業的拠点であり、お客様と新しいビジョンを構築する場ではなかった。

今回、新たにオープンするオフィスは、その点を相当考慮している。セミナールームやミーティングスペースを大きく確保してあり、エンバカデロのオフィスで、新しい開発のあり方を一緒に見つけてほしい、という思いをカタチにした格好だ。

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ちなみに、そのようなコンセプトは社員向けスペースにも適用されており、従来よりも打ち合わせができる場所を広く確保している。現オフィスは、基本的にボーランド時代から引き継いだ構成になっており、80年代から継承してきた独立ブース型だ。オフィスのレイアウトがすべてを決めるわけではないけれど、このようなスタイルは、どうしてもひとりっきりの仕事に没頭し、横との連携が不足しがちになる。

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今、大きな変化の中にある我々自身が、まずはカタチから変革していく、という一面もあるわけだ。

2014年以降、この新しいオフィスを起点に、従来のマーケティングとは異なる展開を始める計画だ。自社セミナールームができたからといって、単にセミナーを定期的に開催するようなルーチンワーク化はせずに、新しい試みをいろいろと創造していきたい。

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