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●人、●%、●億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

【2万人】学生から学んだ、自分にあった会社の見つけ方

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 12月に入って一斉に開催されている、大学3年生対象の合同企業説明会。中には【2万人】が参加したものもあったとか。今年は12月解禁と、メディアがこぞって紹介したこともあって、かなり過熱感すら漂っていますね。
 
 わたしも先日、名古屋某所での合同企業説明会(以下、合説と表記)に参加してきました。所属する大学では、就活サポートの一環で、学生の合説参加を支援しています。

 寒風吹きすさぶ一日でしたが、学生たちは、入場待ちで屋外まで伸びた列にコートなしで並ぶ洗礼を受けつつ、就職活動本番に突入しました。主催者側に尋ねますと、合説史上最高の入場者とのことで、どのブースも多数の学生が並び、話を聞くだけでも一苦労といった様相。実に厳しい年の瀬の光景が広がっていました。

 わたしが所属する大学から参加した学生のほとんどが、初めての合説参加でした。しかしその中で、すでに4回目の参加だという学生がいました。Kくんです。彼は12月初の合説を皮切りに毎週参加しているそうです。この日は3社回ったところで、本人曰く「今日はこれで終了」とのこと。意外と淡泊な印象だったので話を聞いてみると、こんなことを話してくれました。

 「最初の合説はわけもわからずに参加して、入り口で配布された会社名の一覧を見ながら、とりあえず10社くらい話を聞きました。とにかく疲れて帰りました。帰ってから参加企業の情報を見直し、数社をピックアップしてナビでプレエントリしました」
 「2回目からは、1回目で良かった印象の企業に似た企業を何社か回ってみました。すると、同じような企業でも違いがあることや、自分がどんな企業を好んでいるのか、何となくわかってきました」
 「自分の希望がはっきりしてきたので、今日はその希望に合った会社があるかどうか、事前にネットで調べ、そこでピックアップした3社に直行しました」

 
「振り返ってみると、最初の合説はただ無駄打ちばかりでしたが、その無駄打ちがあったから、自分の希望がはっきりしてきたんだと思います。だから、最初はまず数をこなすこと、先入観を持たずにいろんな会社を回ることがいいと思いますね」
 「今はネットで参加企業が調べられます。事前に企業情報を見れば、効率よく回れます。その大事さを知ることができたのも、最初の頃の無駄打ちがあったからだと思います」


 そんな当たり前のことを、と思う方もいらっしゃることでしょう。でも大半の学生が、こんな当たり前のことができずに長蛇の列に並び、喧噪でほとんど聞き取れない説明に耳を傾け、足を棒にして動き回っている。これが合説の現場で見られる現実です。
 
 厳しい情勢の中から、こうした見方を自分で身につける学生の姿をみつけることができて、わたしはちょっと嬉しくなりました。体験はなにものにも勝るということを、あらためて学ばせてもらった年の瀬の一日でした。

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