【723万円】理想年収のデフレ化に透けて見える、親の影
新入社員の頃、飲み会の席などでよく出る話題として、結婚相手の年収ってのがありますよね。ちょっと古すぎる話になるかもしれませんが、わたしの世代だと「結婚するならぁ~できればぁ~年収は1000万くらいは欲しいわぁ~♪」みたいな話が、結構違和感のないラインだったと思うわけですが、今はどうも様子が違うようですね。
…(前略)…35歳時点での『理想の年収』の加重平均は、過去最低となった昨年の731万円をさらに下回り、【723万円】となりました。現実を予想した年収も586万円で過去最低を更新しています。この質問は2000度調査から聞き始めており、2000年度と今年度の理想の年収の回答結果を比較すると、「1000万円以上」が大幅に減り、「600万円台」が大幅に増えていることがわかります…(後略)…
※2010年度「新入社員の会社生活調査」産業能率大学調査より一部引用
実年収が下がり続けている実情がきっちり反映されている結果、ということなんでしょうが、これが「理想」だといってしまうところが、何だかもの悲しい感じがしてしまうのはわたしだけでしょうか。
ちなみにわたしの時代と今とで、どれくらい物価が違うかを調べてみました。わたしが新入社員だった1984年:86.3 → 2009年:100.3 (いずれも消費者物価指数・総合、総務省統計局)となっています。つまり物価は15%程度上がっているということですね。でも期待したい(期待できる?)年収は下がっている。もちろん1000万もらえるものなら欲しいよね、というのが本音なんでしょうが、現実を目の前に考えると、それは厳しい。ここに閉塞感が詰まっている、ということになります。
わたしを含む1970~80年代に就職した世代では、その「理想と現実」のギャップを埋めようとあがくのが、サラリーマン像だったと思います。またそれができた。「がんばれば年収1000万」というのは、決して描けない夢物語ではなかったと思います。仮に現実は1000万円に届かなくてもでも、追いかけられないラインじゃないと多くの若者が思っていたはずです。でも今は「理想は理想、現実は違う」ということなんでしょう。つまり、「夢が描きにくい」時代になってしまったのかと。
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先日、ある就活を終えた学生に質問してみたら、「年収の目標は500万円」ときっぱり答えたので、少し驚きました。彼は「年収は高い方がいいけど、現実は厳しい」と言いました。また「年収だけがすべてじゃない」とも言いました。それはわたしも同感です。シアワセの価値観は、決してお金だけで決まりません。わたしも30年近く社会人してきましたので、それは実感持って理解しているつもりです。でもね。うーん。そんなもんかなぁ。
それと、気になったのが、彼と話している中で出てきた「住む家はある」という話。端々に、親の影が見え隠れしているのです。就職を自宅から通える会社で考えている彼にとっては、「親がいる」というのが無意識の条件でイメージされているということです。その前提で、「500万あれば十分」という組み立てがされているんじゃないかと。たまたま彼が特殊な存在なのかと思いましたが、わたしが日頃追いかけている就活生の姿から考えると、あながちレアな考え方ではないように感じます。だとすると、結構危険だなぁと。「いつまでも あると思うな 親と金」という言葉を思い出してしまうわたしは、単にオジサン化しているということでしょうかね。。。