中村昭典の、気ままな数値解析:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 中村昭典の、気ままな数値解析

○人、○%、○億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

 この土日、2010年度センター試験が全国で実施されました。私が在籍する大学でも多くの受験者が早朝から訪れ、試験に挑みました。その最終科目として実施されたのが、理科の物理Ⅰ。もちろん受験生たちは最後の力を振り絞ってがんばっていたのですが、試験室を見渡すと、空席がかなり目立ちました。最終科目ですから、受験しない生徒はすでに帰路についている頃で、その分が空席となってくるのは当然…ですが、それにしても、物理を選択し受験している受験生って、こんなに少ないのか…と思い、いろんな思いが頭の中を過ぎり、そして何ともいえないせつなさを感じました。
 
 ::: ::: :::
 
 話が些か乱暴ですが、今の高等学校の受験指導から大雑把に推定すると、物理の受験者の多くは、文理選択で理系 を選んでおり、大学進学については、一部の医歯薬系進学者を除いて、理工系を目指すのが主流と思われます。受験科目として見た場合もさることながら、理工 系の大半、機械系、電気・電子・情報系、土木建築系などを学ぶ上で、物理は欠かすことができない基礎教科であることからも、理工系志望者が物理を学び、受験す るのは道理とも言えます。そして将来、そこで学んだ多くの若者が、メーカーの技術者を志望する…はずです。
 

 2010年度の受験者データについては、1月17日夜現在で、まだ正確な数値が文科省から発表になっていませんので、昨年度の数値を参照してみます。全受験者数504,387人中、物理Ⅰの受験者数は143,646人。率にして【28.5%】と、3割に達していません。また理科の主要(=受験者の多い)3科目、すなわち物理Ⅰ・化学Ⅰ・生物Ⅰについて、センター試験が始まった1998年度からの受験者数の推移を見た場合、化学Ⅰが8%、生物Ⅰが15%程度増えているのに対し、物理Ⅰは約9%減少しています。つまり、この10年で物理の受験者は約1割減少し、全受験者の3割を切るまでになっているということです。
 
 逆にいえば、
物理受験者が減少を続け、3割に満たない状況というのは、メーカーで技術者を目指している若者が減少していることを意味し、またその延長線上に、製造業就労者が減少を続け、日本の就労者人口の内、1/4程度にまで減っている現状があるように思うわけです。
 
 正月明け早々の拙エントリー「製造業で高度成長期を駆け抜けた父と、家庭菜園の天才母の姿を見て、正月休みに考えたこと」で、わたしは日本が豊かな国になるために、製造業がもっと元気になって欲しいという願いを書きました。今日私が目にした試験室の光景は、数年先の製造業を見透かした現実なのかもしれません。もちろん簡単に答えが出るような問題じゃない。今の私に妙案があるわけでもない。でも、このままじゃいけないんじゃないかと。私がこんなことを申し上げるのはあまりに僭越なのですが。。。
 
  ※科目別受験者数は、こちらから引用させていただきました

中村昭典

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コメント
石井順造 2010/01/19 21:59

はじままして、数値解析で検索でたどりつきました
技術系の世界で数値解析は1)有限要素法 2)差分法なのですが・・。^^)

製造業者は中国価格で納品とかで、給与も増えんですし。年賀状が退職不在で返却が2件
結果が出せず居辛くなり退職など、安月給の割りに厳しい世界。いずこもでしょうか
最近はハイリスクローリターン社会と感じます。

技術系社員は、職務で培ったノウハウの譲渡契約を結んでいるのと、守秘義務のため、
退職するとノウハウ使えない問題もあります。これ結構痛いです。

中村昭典 2010/01/20 17:56

石井さま、はじめまして、お読み頂きありがとうございました。
 
> 技術系の世界で数値解析は1)有限要素法 2)差分法
 
あは、いや、その、すみません、文系のノリで。
 
さて本論。石井さまのコメントの中には、考えるべき視点がたくさんあると感じます。たとえば、製造業従事者の給与所得は、商社、金融、通信系などよりも総じて低い。大学院卒の技術者も、です。また経営者側からみても、他業種に比べて設備投資などの費用負担が大きく、経営リスクが高い。こうした製造業の構造的な不利さをカバーし、若者の目をもっと製造業に向けるためには、一企業、一業界の努力では難しいと思っています。素人的で乱暴な見方かもしれませんが。
 
追伸 石井さまのWebSite拝見しました。文系の私には???でしたが、何だかとても凄いということだけはわかりました。

石井順造 2010/01/20 23:17

私は働き悪く、クビで、仕方なく自動的に起業 ^^)
根本原因は、競合の安売攻勢(=日本企業です)に負けたいう事です。
中国の方が販価高いですね。日本は世界一過酷で技術系もクビ切リストラ皆やってますが。

ところで私の技術計算稼業はクビになり易いです、
「上海で働きませんか。中国の企業が求めています。」なんてのが来ます。
邪魔な年寄りもおらず、海外の方が面白いでしょうか?

日航が倒産する時代。金融も通信も出版も何も、全業が経営リスク高いですね
反面IT関連のの面白い分野も沢山あります。

石井順造 2010/01/20 23:39

中村様は 大学で活動中のようで。大学は学問の場・企業は稼ぐ場
ギャップ何とかならんでしょうか。技術計算は学に傾倒した人が多いです。
私は「勉強するな」吼えて変人扱い。技術計算の催し前列の幹事は皆さん勉強派。
現実の企業は、要領よく稼ぐ人間を評価。技術屋も勉強に熱上げたら当然足引張られる。
それでもいいなら覚悟の上勉学に励めばいい。その程度は大学で教えて上げないと。勉強できなく普通で十分。それが社会。先生は全然判ってないね。

中村昭典 2010/01/21 21:42

石井様、続コメントありがとうございます。
 
日本の場合、大学での勉強が実社会とリンクしていない、というのは古くて新しい話ですね。欧米とはまだ開きがあるのかもしれません。
ただ最近の大学は、社会に出てから通用する力をつけさせないと、評価されにくくなってきており、その意味では徐々に変わってきているとも思います。教員も、研究費が足りないこともあり、企業と連携して研究資金を稼ぐなど、社会に目を向ける者が増えていると思います。国公立ならともかく、私立大学ではピュアに学問だけを探究するスタイルは古くなってきていますね。


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プロフィール

中村昭典

中村昭典

元リクルート・就職情報誌編集長。現在は大学でキャリア支援領域の教育研究者。
「一人でも多くの人に、働く楽しさを伝える」をテーマに、いろいろ試行錯誤する日々です。
趣味は海山畑で食材を調達すること、カフェで一人ボーっとしながら人間観察すること

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