中村昭典の、気ままな数値解析:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 中村昭典の、気ままな数値解析

○人、○%、○億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

 最近、流通業界ではイオンを中心に郊外型大規模店舗の出店攻勢が進み、休みの日はどこも満員で賑わっていますね。キーテナントが端に配置され、中央に吹き抜けがある通路を作って、その両側を専門店が軒を連ねる、いわゆるモール型の店舗が主流です。中でも私が住む愛知県は出店がラッシュで、つい数ヶ月前に、西日本最大の「MOZO」がオープン。東日本最大の「レイクタウン」と双璧だとか。とにかく広い。店舗数も230とすごい。祝日ともなれば、中央の通路には人の川が流れます。

 こうしたショッピングモールで、一番店舗数が多いのはファッション系ですが、その次に多いのが、実は飲食系です。中でもコジャレたビュッフェタイプのレストランは、ほぼ終日席待ちの人がいるほどの人気。大人なら2,000円を切る価格で、小学生なら1,000円以下で、オシャレに食べ放題が楽しめるという点がウケているようで、最近はどのショッピングモールにも必ず配店されていて、カップルから家族連れまで幅広い客層を集めています。

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 我が家にも高校生と中学生の食べ盛り姉妹(というと怒りますが)がいますので、ショッピングついでに、時折利用しています。品揃えも豊富で雰囲気もまずまず、味も結構イケます。何より「オードブルからデザートまで、どれだけ食べてもOK」というのが、精神的によろしい。ただ唯一、必ず行列に並んで数十分待たなければならないという点だけが、私の足を重くします(笑)。

 つい先日も、MOZOの次に大きいと言わている近隣の大型ショッピングモールに夕方から出かけ、そこで娘たちの計算通り、ビュッフェを利用することになりました。このモールには、和食創作料理のS店と、和洋食何でもOKの総合系G店の、ビュッフェ2店舗が道を挟んで並んでおり、どちらの店も甲乙付けがたい人気で、いつも席待ち客用のイスが満席というライバル店です。開店してから約2年になりますが、両店とも未だに人気は衰えていない感じです。

 時間は列がピークを迎えるであろう、午後7時30分。正直気乗りはしませんでしたが、引きづられるように店の前まで来ました。すると、驚いたことに、和食系S店には毎度の長い列ができていたのに対し、一方の総合系G店は、列が短いんです。「あらまぁ、何とラッキーじゃん!」その日はG店に行こうと決めていたので、喜んで並んだわけです。数えてみると、S店には31人が席待ちしていたのに対し、G店は私たちの前に5人しかいません。これは助かった!

 この時はそう思ったのです。

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 店に到着して5分もしない内に店内へ案内され、着席したのもつかの間。いつものように、料理の前に進んでいきました。この店は豊富な料理のバリエーションが自慢の店だけあって、イタリアン・和食・中華と、様々な料理が提供されています。まずは一通り料理の前を歩いて、今日は何からいただこうかと眺めたみたのですが、、、何だか少し様子が変なのです。

 たとえば、イタリアンならパスタ3皿のうち2皿が空いています。ちょうど切れてしまったタイミングだったようです。ならばと、和食系に進んでみると、食べたい寄席豆腐が皿しかありません。こちらもちょうど切れたところのようですね。仕方なく、まずはサラダでも取ろうかと思うと、こちらはレタス・キャベツというベーシックな食材のボールが空になっており、ドレッシングも和風が空で入っていません。うーん、これじゃ食べたいものがないじゃないか…見ると、娘たちもかみさんも、ちょっと残念そうな顔をしています。

 よくよく眺めてみて気づきました。種類豊富な料理の内、およそ1/4くらいの皿が空になっているのです。スタッフは忙しそうに歩き回っています。厨房の中も、みな何かを調理中に見えます。でも、肝心の料理皿は、人気のあるものほど、空なのです。どうやら不満を感じたのは私たちだけではないようで、あちこちから不満の声が漏れてきます。その中から、こんな声が聞こえてきました。

 「また今日も料理がないわ」

 そうなんです。料理の回転が悪すぎるんです。店中を見渡してみると、店長らしき人が並んでいるお客さんを店内に誘導し、他のスタッフは空いた皿をテーブルから引き上げ、空席を確保することにやっきになっています。一方で、料理は欠品ばかり。これではいつかお客が怒り始めます。たまたま今日はタイミングが悪かったかと思ったのですが、どうやらそうではなかったようです。

 またテーブルで食べていて、皿が空いたと思うと、すぐにスタッフが回ってきて、食べ終わった皿を回収していきます。それはそれでありがたいのですが、これだけ料理が少ないと、「早く食べて帰ってくれ~」と言われているような気分にさえなってしまいます。料理がちゃんと出されていれば、食べ終わった皿が素早く回収されれば、「なかなか気が利くわねぇ」と好印象に映ったでしょう。

 私たちがこの店を前に利用したのは、春頃だったと思います。ビュッフェ2店舗が席待ちの列を競い、どっちに何人並んでいるか数えた記憶があります。その時は料理も豊富で、今回のような不満はまったく感じませんでした。

 あれから数ヶ月。この2店舗にはどうやらサービスで差がついてしまったようです。お客さんは正直。一度このような経験をすると、2度と来てくれない人もいると思います。【5人:31人】の差は、たまたまではなく、ちゃんと理由があったようです。いろんな料理を美味しく食べられるこの店が気に入っていただけに、実に残念な気持ちで帰ってきました。

 帰りのクルマの中で家族とこの店の話になりました。そして、春にG店を利用したとき、席待ちで並びながら窓越しに店内を見渡して、「ほら、あそこもあそこも席が空いてるじゃない、早く皿を片づけてお客さんを中に誘導して欲しいなぁ~」と話していたことを思い出しました。おそらく前回は、ホールスタッフが足りず、席が空いても片づける人がいなくて、お客さんを中に誘導するのが後手になっていたと思います。そして今回は、厨房スタッフが足りていない、いや、それよりも、どの料理が切れているかを把握して厨房に調理を指示するディレクターが不在で、料理が提供されていないのではないかと。要はこれ、

 人の配置、つまりマネジメントの問題

ですよね。そこを改善すれば、ひょっとしたら春以上に店を繁盛させることができるんじゃないかと、まぁホントに余計なお世話ながら感じたわけです。問題は、お客さんが離れてしまう前にG店のマネージャーが問題に気づくかどうか、です。
 
 もっとも食べてるときは、こんな小難しいことを考えてたわけじゃありませんよ。ちゃんとお腹一杯食べさせていただきまして、しっかり代金分は回収してきました(笑)。。。
 
 
※この記事に記載した内容は、あくまで私の経験に基づく推測によるものです。他者によるblog記事などを参照はしましたが、行列者の数や料理の欠品数などの継続的な観測などは行っておりません。

中村昭典

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コメント
deco 2009/09/25 12:49

私は飲食業のプロでもなんでもないんですが、繁盛しいているお店にはちゃんと理由があるように、繁盛していないお店にもちゃんと理由がありますよね。来店者の評価のベースになる「美味しい」はもちろんですが、実は最終的にお店を出る時の評価を左右するのは「人」かもしれませんね。おっと、自分のシゴトについても言えることですね。これって。

吉田 賢治郎 2009/09/25 23:41

いつも思いますが、本当にいい記事を書きますね。(ってプロに対して失礼かもしれませんが、、)
 今日は中村さんの他の記事も読んで、勉強しました。 うーーんと、そのうまさうなるばかりですが、、、。 いや。、単に文章がうまいのではなく、その視点と現実感ですね。 ほんとうに勉強になります。
 ありがとうございました。

中村昭典 2009/09/26 19:34

decoさん、共感コメントありがとうございます。
 
> 自分のシゴトについても言えることですね
この記事で私が申し上げたかったことがコレです。
商品力にせよ技術力にせよ、それを提供する「人」によって、
その価値が膨らんだり萎んだりするんですよね。
私たちは日常、それを、顧客としてユーザーとして感じているはずなんです。
 
私もG店を見ながら、我が身を省みました。

中村昭典 2009/09/26 20:16

けんじろうさん、光栄なコメントをいただき、心底うれしいです。
 
わたしの今の仕事は、編集でも広報でも広告でもないので、その意味ではモノを書くプロではありません。
でも、過去に培った経験を元に、少しでも生活者目線で、私自身が実感の持てるテーマを探し、できれば自分で直接見聞きして、自分なりの視点で書かせてもらっています。
 
このようなコメントを、よりによってけんじろうさんから頂けるとは、私にとってあまりにも驚きでした。
IT系ユーザーの多いAlternative Blogの中で、私の書いていることが果たして役立っているのかどうか、ユーザーの望んでいるようなことなのか、自分の視点が独りよがりになっていないか、毎日迷いながら今日までやってきました。
 
今回の言葉で、かなり勇気をいただきました。
けんじろうさんのようにかっこよく(本当にそう思ってますよ)はできないけど、もう少しがんばって続けてみようと思います。
ありがとうございました。


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プロフィール

中村昭典

中村昭典

元リクルート・就職情報誌編集長。現在は大学でキャリア支援領域の教育研究者。
「一人でも多くの人に、働く楽しさを伝える」をテーマに、いろいろ試行錯誤する日々です。
趣味は海山畑で食材を調達すること、カフェで一人ボーっとしながら人間観察すること

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