○人、○%、○億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう
電子情報技術産業協会(JEITA)が5月26日に発表したところによると、2009年4月のPC国内出荷台数は前年同月比0.7%減の73万1000台、出荷金額は同17.7%減の712億円となっています。台数ベースでは下げ止まり感が出ているものの、金額ベースでは低価格化が進行していることを裏付けています。
- 出荷台数で見ると、デスクトップ型が同10.4%減の21万台、ノート型が同3.9%増の52万1000台で、出荷台数に占めるノート型の比率は71.2%
- 出荷金額ではデスクトップ型が同15.1%減の243億円、ノート型が同【19.0%減】の469億円となり、出荷金額で見るとノート型PCが全体の65.9%
この数値が示していることは、ミニノートと称される低価格・小型ノートPCの販売好調に牽引されて台数は伸びているものの、単価は下がっているということでしょう。
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先回のエントリーでも触れましたが、将来的にミニノートがすべてのノートPC市場を奪うかといえば、それはシロウトの私からみてもありえないだろうと感じます。ミニノートは、「小さい」かつ「軽い」ため、モバイル的用途には大変適しているし、「低価格」なのでセカンドPCとして購入しやすいという明確なメリットがあります。しかし反面で、自宅用のメインPCとして使うには「画面が小さい」「性能的に不十分」という大きなネックがあるわけです。
しかしながら、この物理的なデメリットすら解消してしまうかもしれない製品が出始めています。代表的な製品がデルのInspiron 15です。Inspiron 15は、今年1月に発売された低価格ノート。ちょうどキャンペーン期間中で、今は54,800円(送料無料)と、それこそミニノートの主力製品が並ぶ5〜6万円ゾーンに正面から切り込んでいる製品です。
この価格帯でありながら、驚くのは製品のスペックです。
・現在主流となりつつある15.6ワイド液晶を搭載
・Intel Celeron プロセッサー575 (2.0GHz)
・Windows Vista 搭載(XPにダウングレード可能)
・2GB DDR2-SDRAM+250GB SATA HDD
・DVDスーパーマルチドライブ搭載
などが主な仕様。グラフィック系も抜かりなく、Intel GMA 4500MHDをオンボードで実装していますので、ハードなゲームは難しいでしょうが、DVDで映画を見るには問題ない性能を有しています。カラーバリエーションも3色から選択可能、Wireless LAN、7-in-1カードスロットなど、多くの機能を実装しています。つまり、ノートPCのエントリー機としての機能をほぼ揃えているわけです。
私も家電店の売り場で実機を試してみました。正確な検証は専門家のレビューに任せるとしても、店頭で簡単に触った限りで判断はできませんが、私の印象値では基本性能としてもInspiron15が標準的なミニノートを上回っていると感じました。Inspiron15でDVD-ROMドライブを利用し映画を再生したところでは、動きの激しい場面でもコマ落ちなく動作しました。またMicrosoft Excel・Internet Explorerの起動時間は、ミニノート・Inspiron15ともに6〜8秒とほぼ同等。しかしマルチタスクでは、Inspiron15では問題ない動作でも、ミニノートでは一部にもたつきが見られました。
一方でInspiron15は2.64kgという重量ですので、モバイルとして使うには無理があるでしょう。その点でミニノートとは異なります。「持ち運べる低価格ノートが欲しい」なら、ミニノートは妥当な選択だと思います。逆に、「価格が安いのでミニノートを考えているが、基本的に自宅内で使うので、本当は大きい画面のノートが欲しい」という人なら、迷わずInspiron15を選択した方が良さそうですね。
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こうして見てくると、ミニノートPCが築いた「低価格」化の流れは、これまでのノートPCのメインストリームの一部を確実に取り込んでいくのではないかと思います。17インチオーバーの大型液晶、ハイスペックCPU、グラボ搭載+地デジチューナー内蔵といった高機能ノートPCの市場がある一方で、そこまでいかない15インチ・セレロン系CPUで、ゲームは無理があるけど、オフィス系ソフト利用やDVD鑑賞程度なら問題ないみたいなエントリー機的位置づけのノートPCは、より低価格化が進むのではないでしょうか。
- 低価格・小型でモバイルに適したミニノートは、デザインや画面サイズなどにバリエーションが増えつつ、市場もなお拡大する
- 13〜15インチ程度の中型液晶で自宅メインPCとして使えるエントリーノートは、ミニノートに押されて低価格化が進む
- 高価格・大型でゲームや地デジにも使えるエンタテインメントノートは、さらに付加価値を増やしながら生き残る
シロウトの勝手な予測(というより、ユーザーの期待なのかも)ですが、いかがでしょうか。これから2・3年後くらいに、ノートPC市場を振り返ってみた時、ひょっとしたらInspiron15という製品は、
エントリー機市場のスタンダードを変えたノート
みたいな言い方をされるのかもしれません。見方を変えれば、ミニノートがノートPC市場全体に与えている影響を垣間見ることができる典型的な製品、とも言えるでしょう。他社、特に国内PCメーカーがこれに追随するかどうか、今後が見物です。。。
Special
- PR -| ミストラル | 2009/06/15 19:10 |
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他のメーカーにも類似製品があるのかもしれませんが、Inspiron15のコストパフォーマンスは確かに衝撃的ですね。 ネットブックといわれるカテゴリーは、ネグロポンテが開発途上国の子供たち向けに企画した低価格ノートPCプロジェクト、OLPC(One Laptop Per Child)が発端となり、ASUSがインテル、マイクロソフトを巻き込んで開発したEeePCが先鞭をつけました。しかし、低価格/そこそこのスペックという動きは、このInspiron15をみてもわかるように、いまやカテゴリーの壁を超えてノートPCほぼ全体と一部デスクトップまで巻き込んだ大きな世界的潮流になっています。金融危機による世界的な消費マインドの低下が逆に追い風となっていますね。 ちなみに、「ミニノート」というカテゴリーに厳密な定義はないと思いますが、標準仕様のOSを搭載し、重さ数百グラム程度のノートPCというのは、これまで国内ではVAIOやBIBLOの特定モデル、それに工人舎ぐらいしか手を出さない超ニッチ市場で、価格もかなり高めだったのですが、EeePCのおかげであっという間に低価格化が進みました。 消費者にとっては歓迎すべき傾向ですが、これまで高付加価値路線、といっても地デジチューナーをつけるくらいしか差別化要因を見いだせなかった国内メーカーは、重大な岐路に立たされているのではないかと思います。 中村さんが6/11のエントリーでご指摘になっているように、この10年以上、多くの日本人にとって景気は悪化の一途を辿っているというのが実感で、価格対性能比だけでなく、自分にとって必要な機能かという点に関する選択眼は、非常に厳しくなってきていると感じます。 ただ、日本という国は、これまでこういった大きな社会や産業構造の変化を常にプラス方向に転換して乗り切ってきたわけで、今回もそうであることを祈りつつ、個人的にも自分の立場でささやかな努力を続けたいと思っています。 | |
| なかむら | 2009/06/17 11:01 |
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ミストラルさん、気持ちのこもったコメントをいただきありがとうございます。 | |

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