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【3匹】 仕事帰りにふらっとホタルを見ながら、人間のエゴとエコについて考えてみた

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 1週間ほど前の話ですが、ふと思い立って、仕事帰りにホタルを見てきました。もう10年くらいでしょうか。毎年1回はふらっと立ち寄っては、今年はどうかなぁと思いながら、その場所に出かけています。

 私の職場である中部大学は名古屋市の郊外にあり、濃尾平野の北端に位置します。ここより北側には、徐々に里山が広がりはじめ、まだ自然が残されています。ホタルを見に出かけたのは、普段の通勤路から少し遠回りをする程度で立ち寄れるところで、小牧市と犬山市の境付近の、水田に挟まれた小川。仕事帰りに…というのは、東京在住の方にはピンとこない話かもしれませんが、この付近ならまだ普通に、里山の風景が広がっています。春にはタケノコを探したり、冬にはワカサギ釣りを楽しんだりする、いわば私のお気に入りのフィールドでもあります。

 出かけたのは夜8時前でしょうか。本当はもう少し遅い時間がいいのですが、たまたまそうなってしまいました。毎年、到着前には「今年はどうだろうか、飛んでるだろうか」という不安に駆られます。ご多分に漏れず、自然環境は徐々に悪化している感じで、実際に飛び交うホタルの数も、最近では数えられる程度となってしまいました。もっと山奥に出かければ、乱舞する場所も知っていますが、仕事帰りにぶらっと、というわけにはいきません。なので、今年もこの場所にやってきました。

 メジャーなゲンジボタル・ヘイケボタルを含め、日本で生息が確認されているホタルの種類は40~50種類とされています。ここで飛んでいるのは主にヒメボタルという種類で、日本で見られるホタルの中では小振りな種です。小川の100mほど手前でクルマを止め、ゆっくりと歩いて小川の土手に進みます。ホタルに灯りは大敵ですから、懐中電灯は持っていません。まだ日没から時間が経過していないせいか、山際にはほんのりと明るさが残っていて、暗さは感じません。どうかなぁ、今年は・・・

 市道から小川の土手に入って200mほど進んだところでしょうか、ふわ~っと、小さな明かりが前を過ぎりました。目を凝らしてみると…わずか1匹ですが、確かにいます。光の大きさ(強さ?)から、たぶんヒメボタルでしょう。その後15分くらいかけて、ゆっくりと土手を往復。結局見つけられたのは、わずか【3匹】でした。でも、ほのかな光ゆえに、ふわ~っと漂うがゆえに、奥ゆかしく、瞬間ですが癒されます。よかった~、今年も会えました。

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 途中、地元のおばちゃんと会いました。あいさつを交わしながら、ちょっとおしゃべりしましたが、そこで残念なことを耳にしました。

 …土手に乗り入れてくるクルマが増えてね。地元じゃこの土手を立ち入り禁止にしようという話があるんだがね…

 よく見れば、小川の中にもゴミ袋らしき白いカタマリが。ここにも、確実に人間のエゴが忍び寄っているようです。私は、最低限のマナーこそ守っているつもりですが、声高にエコを叫べるような生活をしているわけじゃありません。ここに来るのもクルマです。でも、年に1回、ここに来る度に、ほのかな光を目にする度に、自分にできることをちょっとだけ考えます。数えられるほどになってしまったホタルの光は、私にも何かを伝えようとしている…のかもしれません。。。

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