中村昭典の、気ままな数値解析:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 中村昭典の、気ままな数値解析

○人、○%、○億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

 昨日まで開催されていた『東京国際アニメフェア2008』で、「ウォルト・ディズニーが日本の制作会社と協力して制作したテレビアニメのパイロット版を公開した」と、AFPが伝えています。アニメファンでもディズニーファンでもない私ですが、ちょっと気になったのが、ディズニーの日本での展開を“日本のアニメ制作会社と協力”っていうところです。

 世界に進出している企業はたくさんありますが、その手法は企業毎で様々だと思います。たとえば、製品(サービス・技術)を、ブランド力を守りながら世界共通で提供する方法。その対局には、製品(サービス・技術)のコアを守りながらも、“郷に入っては郷に従え”的に、その国や地域に根ざしたものにアレンジ(または新しく制作)して提供する方法があると思います。ディズニーについては、超強力なブランド力で勝負するはずだから、前者の手法を取るのが一般的だと私は思っていました。ところが実際は逆で、日本と協業する道を選択。私にはこの決定がすごく新鮮でした。

 参考にAFPのニュースを一部引用させて頂きます↓

 (前略)…ディズニーの日本法人によると、人気アニメ「リロ アンド スティッチ(Lilo and Stitch)」の日本版の放送を今年後半にも開始。日本を舞台に日本で制作された初のディズニーアニメになるという。
 オリジナルの「リロ アンド スティッチ」は少女と青いエイリアン「スティッチ」とのきずなをハワイを舞台に描かれた。日本版は制作会社マッドハウス(Madhouse)と協力して制作し、主人公は空手の得意な少女で、舞台は沖縄の架空の島に移される。
 今回公開された3分間のパイロット版には、仮に名付けられたハナコが、沖縄民謡に合わせてほかのキャラクターとともに踊ったり、はしを使って米を食べる姿が放映された…(後略)

 以上、AFPBB News(2008年03月28日付け)より引用

 日本語吹替がプラスされたアメリカ直輸入版ではなく、日本製ディズニーなることは間違いない感じですね。封切りされる頃には、日本でも大きな話題となっていることでしょう。こうなると次の興味は…日本で生まれたディズニーアニメが、米国に逆輸出される日がやってくる…ってことでしょうか。ひょっとすると英語の字幕入りディズニーアニメ? 見たい気もします。

 ::: ::: :::

 今回の協業について、私は、日本のアニメ技術の高さに注目したんだろうと思っていましたが、これも浅はかな推論だったようです。現ウォルト・ディズニー・ジャパン社長のポール・キャンドランド氏は、実は日本での企業再生手腕を買われて、日本ペプシコーラの社長からディズニー入りした人物。米国から日本出向で赴任したという経歴ではありません。「日本で成功するためには、日本に合ったサービスを提供するべきだ」との持論により、これまでの方法を転換させ、多数の成果を上げています。ディズニーストアの責任者としてスタートした彼は、これまで「米国からの輸入品:日本国内での生産品=【8:2】」だった比率をわずか1年で逆転させ、日本人の趣向にあった商品展開にシフト。これを皮切りにディズニーの日本展開は、日本に合った商品・サービスの提供へと大きく舵を切っていったわけです。

 コアを守りつつ、地域に根ざしたビジネスをする。言葉にするのは簡単ですが、実行するのはとても難しい話です。私は企業経営者でも世界を股にかけて商売しているわけでもありませんが、今回の例が暗示した経営の考え方は、とても参考になる部分があります。自分の強さを活かしつつも、相手ありきで、相手の望むことをまず考える。何かしら失敗するケースでは、たいていこのバランスが崩れている気がします。前者に偏れば、独りよがりで独善的な仕事になり、後者に偏れば、相手に合わせているだけで、自分らしさがないつまらない仕事。どうですか、思い当たりませんか。

 この4月から、新しい仕事、新しい職場で心機一転という方も多数いらっしゃると思います。がんばれ~♪って、エールを送りたいところですが…あまり肩に力入れすぎずに、“郷に入っては郷に従え”という楽な気持ちで始めるってのも、アリかなぁ。。。

中村昭典

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プロフィール

中村昭典

中村昭典

元リクルート・就職情報誌編集長。現在は大学でキャリア支援領域の教育研究者。
「一人でも多くの人に、働く楽しさを伝える」をテーマに、いろいろ試行錯誤する日々です。
趣味は海山畑で食材を調達すること、カフェで一人ボーっとしながら人間観察すること

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