【書評】Skypeを生んだ国エストニアをご存知ですか?
ビジネス上での遠隔地間MTGや、オンラインで英会話を学ぶ際にも使われている「Skype」。※Skypeとは、特別な設定も必要なく、遠距離通話・国際電話が料金を全く気にしないでかけたい放題のIP電話です。
日本では地方移住がキーワードとして出てくることが増えてきているため、Skypeの活用場面はますます増えてきております。またオンライン英会話を皮切りに、「IT×教育」の発展という面でも、活用するシーンが増加傾向にありますよね。ビジネスでもプライベートでも、老若男女関わらず使われています。ITツールを継続的に流行らせるには、いかにインフラになりうるかということが必須ですが、SkypeはGoogleに並ぶほどのインフラになっています。
このSkypeですが、アメリカのシリコンバレーで生まれた訳でも、日本のイケイケのIT企業家が生み出したということでもありません。人口130万人ほどと日本のおよそ100分の1程度の北欧にある国「エストニア」で開発されたものです。最新のIT技術を知るには、シリコンバレーや日本のIT企業ではなく、この「エストニア」を知るべきではとこちらの本を読んでみました。
◆『未来型国家エストニアの挑戦』(著者:ラウル アリキヴィ、前田陽二 発行社:インプレスR&D)
何の努力もなくして、最先端電子国家になった訳ではありません。国家として、また国民の協力や理解があったからこそ実現できた電子国家なのです。
例えば、エストニアではeIDカード(日本でいうマイナンバーのようなもの)
日本でもスタートした「マイナンバー制度」。熱心な方は、勉強会に参加してマイナンバーとはどんなものか?何をすれば良いのか?と学んでおられましたが、本当にごく一部の方だけです。大半が「副業が会社にばれるのではないか?」など個人的な問題を気にされるケースから、「放置状態」「国民の理解を得られていない」「もうすぐなくなるでしょ。」など、無関心派とどちらかというとあまり積極的ではない方が圧倒的に多いようです。
もちろん、エストニアでも発行されてすぐに浸透されたかというとそうではなく、5年ほど必要だったということで、格好の攻撃対象となっていたようです。ただ、政治的な面というよりも圧倒的な技術力を用いることで、いわゆるインフラとなることに成功し、公共と民間と両者の協力により進められました。
このeIDカードを国民が持っていることで、日常生活で起こりうる学校生活・就職・結婚・子供の世話・転職・起業という場面で直面するあらゆる「課題」がスムーズに解決できるようになるのです。例えば、家庭と仕事の両立という場面でも役立ちますし、学校生活での交友関係・いじめ問題も減少する可能性もあり、就職活動もなくなるようです。
この本で、
・最先端の電子国家のICT発展
・インフラとなるための原理原則
・日本でいうマイナンバーの浸透での改題解決の可能性
が北欧の国エストニアの過程を知ることができます。こういうところから、Skypeのようなインフラが生まれたんですね。
ICTの最先端を知るには、「未来型国家エストニア」を知らずして語れることは無くなっているようです。マイナンバーがなぜ必要か理解しにくい、また、ITサービスをインフラ化したい、最先端のITサービスを開発したい、という方へおススメの1冊です。
気鋭のIT起業家になる、シリコンバレー進出よりも、もしかしたら北欧の国エストニアを知ることで、ブレークスルーができるかもしれません。