オルタナティブ・ブログ > 加藤順彦|Asian視座で未来予想 >

ニッポンの景気対策の本命、『日本企業のアジア進出・アジア資本化』を支援しています

郵政事業に 破壊と再生を

»

新年早々、そりゃそうだよな~的な一報が入りました。
日本郵便債務超過の恐れ、大リストラを検討

このブログやtwitterで繰り返し訴えてきた郵政の再国営化反対。
小泉さんが05年夏、衆議院を解散してまでも、はっきり決めておきたがった郵政事業の民営化は正しかったということが、また証明されたと思います。

やはり迅速に3事業を民営化し、整理・合理化したうえで、IPO/資金調達すべきでした。2~3年以内に債務超過ですか。
まぁ、もともと郵政は郵便、貯金、簡保のどんぶり勘定で無理矢理成り立ってますた。郵便の仕事で赤字が出ていた分を貯金と簡保の単式簿記(預かってるお金は資金)穴埋めして、全体で黒にしてた感が強い。
それでもこのまま国営だったとしたら、利益なんて無視して増資に頼り、更に税喰いモンスター化するでしょうな。

しかし呆れはてるのは担当大臣というポジションに就き、そんな状況が可視化出来ている中で「10万人の非正規社員を正社員へ」という無謀を推進した亀井静香氏です。亀井氏および国民新党が郵政利権以外は、ほんとうに何も考えていないというのがよくわかりますね。

しかも昨日(1月4日)
国民新党の自見副代表はこの期に及んで、郵政改革法案成立にいまだに全力を傾ける意向を見せました。なんという厚顔無恥か…。
そこで「党の命運と政治生命をかけて頑張りたい」などと語っており、もはや完全に再国営化=党の存在感を示すことだけが目的になっています。

ヤフー知恵袋にこんなやり取りがあります。
郵便局員の年賀状販売ノルマってどのくらいですか?
・・・もう嗤うしかありません。

なぜ小泉改革が、郵政に民営化→合理化→業態変革が 必要だったのか。
いま一度思うに(もちろん郵貯・かんぽ事業に眠る個人金融資産の運用issueが大きいことは大いにある一方で)インターネットが現れて、郵便事業自体が陳腐化したから、というのも非常に大きいと思います。

郵便の流通量のピークは2000年の268.8億通でした。以降毎年の純減で今年あたりには200億通を切る移動平均で減衰が進んでいます。まぁ当たり前ですね。

メール・SMSの一般化、民間の宅配便の精度・サービス向上、そして少子高齢化の影響です。つまりもう僕等が生きている間に郵便の総量が増えることなどないのですよ。





さて正月なので脱線して余談。
日本郵政とは規模も事業内容も違いますが、僕が良きモデルに挙げられるなぁ、と思う事例があります。映画「フラガール」で知られる福島県いわき市の常磐炭鉱(現・常磐興産)です。

この映画は常磐ハワイアンセンター(現在のスパリゾートハワイアンズ)開業への破壊と再生の物語です。ご覧になられました?いい映画なので是非。

(注意;映画・登場人物に関する核心部分を記載しています)

背景には、一時は国策もあり、国の基幹産業であった炭鉱事業が石油という代替燃料の台頭によってポジションを失う課程でなんとかして再生を果たそうと、会社の業態そのものを変えようとした実話が元になっています。

同社は危機的状況の中(50年代後半)炭砿から湧き出る温泉を利用して室内を暖めるという、ハワイをイメージしたリゾート施設を計画。新しい収益源とする一方で、縮小・閉山に伴う離職者の雇用対策としてプロジェクトを進めています。

しかし映画の中では、炭鉱ではたらく社員や家族たちからの強い反対もあり、岸部一徳氏演じる炭鉱の管理職 吉本紀夫(当時の常磐炭礦専務、中村豊氏がモデルだそう)は四面楚歌のなかで、計画を進めていく状況に。

困難を乗り越えオープンにこぎつけるハワイアンセンターが立ち上がる最大の要因は、炭鉱で働く労働者自身や娘たちが職員としてフラガールとして、新しい職場で働くことを選択すること、として描かれています。

作中で吉本はド素人集団のフラガール候補を炭鉱の娘ではなく外から雇ってきたプロたちに委ねるべきでは、という示唆を受けますが「踊るのは、炭鉱の町の娘たちではなくてはならない」と断じて譲りません。

このコダワリこそが破壊と再生へのキー。シネカノン最後の名作。
Comment(0)