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就活力を高める最低で最高の5分間

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8月も下旬のこの時期、大学4年生は就職活動を終えた人もおり、社会人になる備えをし、大学3年生の多くは、これから来る就職活動に向けて、気を揉んでいるのではないでしょうか。

そんな、就職活動に巻き込まれるみなさんに、一つぜひとも伝えておきたいことがあります。

それは、

「人は、観察され評価される立場になればなるほど、パフォーマンスを発揮できなくなる」

という事実です。今回は、このテーマについて、進めていきたいと思います。

#####今回の要旨#####

1.就活中の学生は観察される側なので、パフォーマンスを発揮しづらい

2.観察する側・される側という関係が、採用担当者に誤解を生み、学生は自分自身を誤解してしまう

3.この誤解を解く鍵は「緊張する社会人」を観ておくことにある

4.社会人と学生、互いが緊張する姿を見ることには、更なる価値がある

では、本編です。

1.観察される側はパフォーマンスを発揮しづらい

まず、私が以前、組織開発のコンサルタントとして働いていた頃、企業のマネージャ候補者を選抜する研修(一般に、アセスメント研修、と呼んだりします)にて、評価する側として講師を務めていたときの経験をご紹介します。

その研修では、4人〜6人1組でグループディスカッションなどを泊まりがけで行い、グループに1人、評価する立場の講師がつきます。

この研修を実施するときに、複数のグループの講師同士で注意深く調整したのが、「観察している感」をどこまで出すかという点。観察する側の講師が、より「観察してますよ」という姿勢で各人を見渡すと、それだけでとたんに場の空気は固くなり、まるで参加者は蛇に睨まれたカエルのように、硬直してしまうのです。

ここで、新米の講師がよく陥りがちなのが、「一流企業のマネージャ候補なのに、みんなぱっとしませんね・・・」なんていう発言をしてしまうこと。こうした発言が出たら、むしろ注意すべきは、その講師が「観察の姿勢を取りすぎている」ということ。それによって、実は参加者同士の緊張感が高まりすぎ、本来の力を発揮し、周囲と連携して課題に取り組むことができなくなってしまうのです。

2.観察する立場に慣れきった採用担当者が誤解の連鎖を産み出す

ですが困ったことに、こうした基本的な点を、多くの企業の採用担当者は知らないか、あるいは知っていても、無意識のうちのそれを忘れてしまっています。

なぜか?

それは、採用担当者が学生のみなさんと接する機会が、「面接」や「グループディスカッション」など、観察する側の立場であるときに限られてしまっているからです。

そうすると、採用担当者はいつも「緊張し、パフォーマンスを発揮しきれていない」学生ばかりを見ており、暗黙裡に「学生」=「概ねパフォーマンスが低い」という風な勘違いをしてしまう。

ここで罪深いのが、少なからずそうした採用担当者は、面接の後半などで、学生のみなさんを「パフォーマンスが低い人」という風に取り扱い始める点です。人間、こうした相手の扱いの変化にはとても機敏ですから、こうした場面で学生のみなさんは「ああ、俺ってパフォーマンスが低いんだ・・・」という風に感じてしまいます。

以上のようなメカニズムにより、採用活動を通して、実際よりも自分の能力を低く評価され、それを自分自身が自己暗示されてしまうという危険性があります。

3.「緊張した社会人」を観ておけば、このジレンマから脱却できる

そこで、これを打破するためにオススメするのが、「フラットな立場で、学生と社会人が知的対決をする経験」です。

例えば、参加者全員が、自分のオススメ書籍を持ち寄り、アトランダムに当たった社会人1人と、学生1人が、その場でそれぞれ自分の本を口頭5分間にて紹介し、その場に居る人達に魅力を伝える。そして、どちらの本を読みたくなったか?というのを、残りの参加者全員の挙手にて勝敗を決するという方法があります。

こうした場に私も多く参加させてもらっているのですが、なんともまあ、学生と社会人の勝敗は、五分五分だったりします。これは、学生が特別優秀、とか、社会人が特別できない、ということではなく、およそ優秀な連中同士の対決にて、こうした結末になります。

この場に居合わせたり、自分自身が社会人としてプレゼンをするとよく分かるのは、「社会人でもしどろもどろになることは多々ある」「同じテーマで戦ったら、学生も社会人も、あまりパフォーマンスに差は無い」という点です。

これは逆に言えば、学生のみなさんは参加することで、

「ああ、社会人って、割と思った程大したこと無い」

「人は誰でも、観察されると緊張して、パフォーマンスが発揮しづらくなる」

ということを、体感できます。

そして、この感覚があることによって、いざ自分が就職活動で面接を受けたり、グループディスカッションをしたりしても、「まあ、観察されてるんだから緊張してあたりまえ」「目の前の社会人の面接官も、こっちの立場に立ったら・・・」という風に、精神的な余裕を感じ、フラットに近づくことができるようになります

4.社会人と学生が、緊張した姿を晒し合うことの本当の価値

そして、私が本当に強調したいのは、こうしてお互いに緊張し、本来のパフォーマンスを発揮し辛い状況を見せ合うことで、「学生」「社会人」という垣根や思い込みを捨てて、互いの世代を超えて、違う世代の良さを実感したり、互いにリスペクトしたりする大きな一歩となる点です。

私自身、海外のカンファレンスで数百人の前で講演したり、毎回様々なオーディエンス・テーマにてワークショップやプレゼンを実施したりしており、かなり自分のプレゼンには自信があります。

ですが、この5分間対決を経験してみると、毎回緊張に緊張し、大学生の対戦相手と勝ったり負けたり、負けたり勝ったり。その経験を通して、大学生のみなさんへのリスペクトと、ついつい思い込みで今まで「学生さん」というような捉え方をしていた自分に気付かされました。

そして、それによって、年齢が倍近く違う、多くの大学生の友人ができたことに、とても感謝しています。

今回のテーマ、あなたには思い当たるフシはありましたか?

それでは。

▼上記の趣旨に基づいて設計された「BiblioArena100」というイベントを8月28日19:30−22:00にて、渋谷ヒカリエにて開催します。ご興味のある方は、ぜひとも下記よりエントリーしてみてください。僕も、勝負の舞台に立ちたいと思います。
http://www.hikarie8.com/court/2012/08/biblioarena-100-100.shtml

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