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両親が合格発表前に知っておくべき、たったひとつのこと

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この記事は、これから合格発表を迎える中学受験生のご両親をイメージし、その合格発表に臨む小学生のみんなのことを想像し、その未来に少しだけ参考になればと思い、書き上げるものです。

たったひとつ知っておいて欲しいこと、それは、もしも合格発表に臨み、落ちてしまったときこそが、お子さんを、子供ではなく大人への第一歩として、送り出すタイミングであるということです。

これをもう少し具体的に言えば、落ちた子供のために言葉をかけるのではなく、その事実を感じ、解釈し、自分ごととして取り組むという大きなチャレンジを、させて上げて欲しいということです。

このことについて、今回は詳しくお話したいと思います。

アメリカの著名な心理学者であるミハエル・チクセントミハイは、「フロー体験」と呼ばれる、自分自身が100%何かに集中し、力を出しきる状態を通してこそ人は成長できる、そして、その集中状態を自分自身で作り上げることができるようにすることこそが、子供が子供自身を成長させられる力を得ることであるとしています。

そして、そうした子供自身に集中する力を見につけてもらうという人生最高のギフトを送るために、親がすべきこととして、「安全地帯」「明確な期待とフィードバック」「明確な責任範囲」「現在へのフォーカス」「成長に合わせた適度な挑戦の提供」という5つの要素を挙げています。

ここで強調したいのは、不合格だった子供にかける多くの言葉が、この5つの要素を大きく毀損してしまうことにつながる点です。

    1.安全地帯

「お前の努力が足りなかった」「もっと勉強しておけば、受かっていたはずだ」「なんで落ちたのか、反省しなさい」と、こうした言葉をついついかけてしまうことがあるかもしれません。

もちろん、これは本人への叱責ということではなく、この失敗を糧にして、伸びて欲しいという親心であることは間違いないと思います。ですが、こうしたやり取りによって、ひょっとしたら泣きじゃくるくらい感情をオープンにしたり、自信を失いかけている自分を「大丈夫だよ」と認めてほしかったり、という子供の求める安全地帯を、提供できなくなってしまうかもしれません。

    2.明確な期待とフィードバック/3.明確な責任範囲

「やっぱり、日能研じゃなくてあの塾にいっていた方がよかった」「今思えば、もう少し目標を高く設定してがんばらなきゃだめだった」という風に、それまで子供に「こうやっていたらOKだよ」としていた内容を覆してしまう言葉は、期待されたことに応えるという親子の信頼関係を損ねてしまい、子供への適切なフィードバック相手であるという立場を奪ってしまうことになります。

同様に、「こんなにがんばっていたんだから、それで十分」といっていたのに、不合格になると「もっと努力しておく必要があったかもしれないね」といった言葉をかけることで、子供がそれまで「この範囲で精一杯やればいいんだ」という風に思っていたことを、根本から覆してしまい、「自分がやるべきだと思ったことをやり尽くす」という行動の大切さを否定することになってしまいます。

    4.現在へのフォーカス/5.適切な難易度

「(高校受験など)次にがんばればいい」「人生は中学受験なんかでは決まらない」。こういった言葉は、論理的に考えればそのとおりだと思います。ですが、こうした言葉は、今この瞬間に、受験のために努力を重ねてがんばってきて、まさにそのことに集中していた子供の目を、今この瞬間ではコントロールできない未来へと反らしてしまい、今やったことへ集中する、そこからのフィードバック、そこで起きたことをしっかりと受け止め、「今」に100%のパワーを発揮するということを妨げてしまいます。

そして同時に、「数年間も努力を重ねて取り組むほど価値のあるものである」としていた中学受験であったのに、そのチャレンジする対象の価値をこの瞬間に蔑んでしまうことで、「私の取り組んできたことは、本当はそんなに取り組む価値のなかったことなの?」という気持ちにさせてしまいます。これは、適切な難易度に取り組んできた子供に対して、とても失礼でがっかりさせてしまう行為です。

以上のように、不合格になって掛けたくなる声の多くは、実は子供の成長にとっては、マイナスになるリスクが結果的にとても高くなります。

では、どうすればいいか?

その答えは、こうした現実をしっかりと感じ、自分として反芻し、自分で次のステップを考えるということを、自分のペースでじっくり行う時間を、子供に提供することにあります。

おそらく、多くのご家庭で、程度の違いなどはあれ、これまでは上記の1~5の要素を、ご両親、塾の先生でサポートし、子供が成長していくための手助けを提供してきたことと思います。

そして、そうした全てのサポートを踏まえて、不合格という結果に終わった場合、その悔しさや辛さは、誰よりも子供本人が感じているはずです。

同時に、その事実によって、これまで経験したことがないくらい、子供の気持ちは大きく揺さぶられ、様々な思いが交錯するはずです。

この気持ちの大きなゆらぎこそが、彼/彼女がそれまでのすべての事象を自分で受け止め、今まで様々なサポートや補助を受けて培ってきた1〜5の要素のうち、安全地帯を除く4つの要素を、自らが主導で推し進めていくきっかけとなります。

ただ、そうしたことを始めるためには、その衝撃を受け止め、自分の中で消化し、次に進むためのひとりひとりの間合いや時間が必要となります。

ですので、お父さん・お母さん、どうかそうした時間を彼ら彼女らに与えてあげるために、先に挙げたような様々な言葉をかけることをぐっとこらえ、そっとしておいてあげてください。

それこそが、この経験を通して、彼ら彼女らが自らの足で進んでいく大きな一歩、独立した大人へと生まれ変わっていくステップになります。

そして、お父さんお母さんは、「1,安全地帯」の役割だけを引き続き果たし、彼ら彼女らの話に、自分のタイミングが訪れたら、じっくりと耳を傾けてあげてください。

それでは

▼この記事でご紹介したチクセントミハイの「フロー体験」と子育ての関係については、以下の記事をご覧ください
「フロー体験」理論のあまりの凄さに戸惑いを隠せない

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Comment(1)

コメント

ひろきた

押忍、ごっつぁんでした。
いかにも、麻布、東大ですね。自分の娘が落ちたときにどうあるべきであったかと期待して読んだのですが、評論家の言でした。
こういうと、気分悪くされること必定でしょうが、過去のトラウマを既倒に廻らす術あるかと期待したのに、それが大いにはずれました。大仰なタイトルに惹かれて時間を無駄にした失望感に貴兄が思い至ればそれでよし。至らねば、わかんねぇヤツなんか相手にしね-よと、お好きに生き抜かれるべし。

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