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保釈判断に疑問の声を紹介する朝日新聞。社説とのズレに感じる違和感

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カルロス・ゴーンさんが逃亡騒ぎで大変なことになっています。

昨年の話題になったキーワードとして上級国民というのがあり、その他実刑となった元農水次官の保釈判断の是非についても様々な意見があったと記憶しています。

今回のゴーンさんの件はまさに上級国民(特権階級)だからこその事件性があるということで、

その点でも注目すべき点は多いのですが、今回は批判されていた日本の司法制度のほうを中心にあくまで一般人の意見としてとして、これまでの報道を少し振り返ってみたいと思います。

まず、逮捕されてから様々な形で日本の司法制度が抱える問題的が指摘されていました。参考までにこちらは日経の記事。

海外からの捜査批判に説明を:日本経済新聞
2018/12/7 1:03

容疑を認めなければ保釈されない「人質司法」へつながるなど負の側面も持っていることは否定できない。

朝日新聞も海外のマスコミの意見として、このような報道をしていました。

東京拘置所に報道陣ずらり 海外メディアもゴーン氏待つ:朝日新聞デジタル
2019年3月6日12時35分

拘置所には海外メディアの記者らの姿もあった。ドイツなど欧米を中心に映像を配信しているフィリピン人のフリージャーナリスト、リチャード・デグズマンさん(44)は「保釈されることに、同じ人間としてまずほっとした。日本での勾留は外国人の立場からすると長すぎる」と話す。「ゴーン氏に日本の司法制度についての意見を聞きたい。海外と比較することは、日本人にとっても司法制度について議論するよい機会なのではないか」

そして、実刑確定後も収容に応じず逃走した事件を踏まえ、保釈制度について朝日新聞はこんな社説を掲載しています。

(社説)収容拒み逃走 失態踏まえ改善策探れ:朝日新聞デジタル
2019年6月25日05時00分

日本では長期の身柄拘束が当たり前に行われ、人権を過度に制約してきた。だが近年、いくつもの冤罪(えんざい)事件や裁判員制度の導入を機に見直しが進み、保釈が認められる例が増えている。この流れを押し戻すような動きに賛成することはできない。

このように折に触れ日本の制度については批判の対象となっていた訳ですが、事もあろうにプライベートジェットを利用して引き渡し協定のない国に出国してしまうことを日本人の誰が想像したでしょうか...という事態となってしまいました。

ふと気になったのは、朝日新聞は上記のような社説を掲載していながら、今回の出国騒ぎでは日産幹部の発言を利用した記事を配信していることです。

日産幹部「それ見たことか」 保釈判断に疑問の声も:朝日新聞デジタル
大鹿靖明、久保智 2020年1月1日06時47分

ある現役幹部は、会社からの電子メールで出国を知った。2020年春にも始まる予定だった刑事裁判で、ゴーン前会長側はすべての事件で無罪を主張する方針だっただけに、「自分の正当性を主張する手段が国外脱出なのか」と痛烈に批判。「全面否認の被告を保釈するなんてあり得ない。それ見たことか、という感じだ」と東京地裁の判断にも疑問を投げかけた。

注目したいのはタイトルにも使われているこの部分

全面否認の被告を保釈するなんてあり得ない。

法律の専門家ではない日産幹部の発言をわざわざ取り上げていますが、マスコミ各社が問題視していた日本の司法制度の問題点はまさにここにあったはず。

確かにこの幹部の発言は一般受けはすると思います。ですが、前述した社説の文を借りれば、

段々と保釈が認められる例が増えてきた中で、今回のゴーン出国事件は残念な出来事ではあるが、これを契機として流れを押し戻すような動きに賛成することはできない。

とするのが一貫した姿勢ではないだろうか?と

そういう意味で、朝日の報道姿勢に疑問を感じます。

去年の1月にこんな記事を書きました。

そして、この逮捕劇が、日本の司法制度が前述の記事にあるように「国際スタンダード(基準)とかけ離れている」ところから変革を成し遂げ、グローバル・スタンダードに近づけることに成功したとしたら、カルロス・ゴーン氏は別の意味で日本の歴史に残ってしまうのではないでしょうか。

日本の司法制度がこの事件を契機としてどのように変化するのかは分かりません。

ですが日本の司法制度だけでなく、入出国管理など先進国家としての制度運用の根幹を揺るがす事件を起こしたゴーンさんは日本の歴史に名を残したことだけは事実と言えそうです。

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