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エンジニアの一番の仕事は、コード1行も書かずに世の中を変えることである!

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オルタナの現在のNo1ブロガーである、ネットコマース斉藤さんが運営されている、ITソリューション塾・第25期の最終日・特別補講にお邪魔させていただきました。

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サーバーワークス・代表取締役の大石良さん、新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)・人事本部キャリア採用センター所長の岡田康裕さん、そしてMicrosoftやGoogleでの活躍で名高い及川卓也さんがファシリテーターを務める「エンジニアの幸せな働き方」というトークセッションを見るためです。

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このトークセッション、非常に中身が濃いもので、それこそテクノロジー系企業で「働き方改革」に取り組んでいる立場の方には必見と言える内容でした。

ただ、自分の場合は会社に勤めたことがないという特殊事情が大前提なのですが、この記事化をするためにメモを見直して書くことを考えるているなかで思い浮かんだのは、結局いま世間で語られている「働き方改革」って、

昭和の高度成長期から平成への時間経過の中で起きた、都市集中、核家族、共稼ぎ、サービス業の増加など、社会環境の変化に組織の就業ルールや福利厚生のメカニズムが機能不全している側面においての「働き方改革」という観点がひとつと、

そして、テクノロジーの進化でPCとネットがあれば、コンピュータがビジネス世界に投入される1960年代以前とはくらべものにならない仕事量をこなせるなかで、どれだけ個人が能力を発揮できるのかを突き詰めることを労基などの法令遵守という制約と向き合いながら、そこまで生産性を高めるのかという「働き方改革」という側面の議論があるのだな、、、と。

大多数の方は、会社員として働くのでこのトークセッション大変参考になったと思うのですが、フリーの経験もある自分としては、及川さんからのこの指摘にわたしは非常に触発されました。

「極端なことを言えば何時間働こうが関係ない。クリアで厳正な評価制度がありそこで評価されるのであればどんな働き方をしてもいいです。」というのが究極の働き方改革ではないのか?

自分はある意味、自分自身を切り売りするような生き方をするフリーランスと会社経営という、結果がでなければ問答無用で路頭に迷う、労基まったく関係なしの世界で30年以上を生きて来ただけに、今の日本で語られている「働き方改革」って、あくまで組織の枠の中でどう働くのかというところで語られているのが、自分にとってしっくりこない原因だったのかも、、と思ったり。

業態もさまざまで、それぞれの組織にとっての「働き方改革」はそれこそ、組織の数だけ方法論があるのかもしれません。

世の中では真偽のほどは定かではない人工知能がいろいろ正解を提供してくれるような話がゴロゴロしている今日この頃でありますが、この「エンジニアの幸せな働き方」のトークセッションで分かったのは、他社の事例を見て、方法論を取り入れても、実際に現場に投入して実際に現場の人間がその仕組みが馴染むまでに、試行錯誤することの重要性です。

新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)さんは、様々な情報を収集して検討段階の部分も含めお話をしてくれました。そしてサーバーワークスさんの場合はまさにここまで取り組んだ中で、「この働き方の多様性は、何を実現するためにするのか?」をとことん考え取り組んだことが大石さんの発言からは感じられました。

このような先進企業の取組が血肉となるまでの過程を垣間見れたという観点では、何かを売り込むために開催されている「働き方改革」のセミナーなどと比較して、本当に聞く価値があったトークセッションとも言えるでしょう。

「エンジニアの幸せな働き方」と働き方についてのトークセッションということで、こちら大石さんの発言もとても印象的でした、

エンジニアの一番の仕事って、コード1行も書かずに世の中を変えること。それにどれだけ近づくことができるかが決定的に大事である!

現在のテクノロジ社会においてエンジニアの存在価値はどんどん高くなっています。

そして、優秀なエンジニアになれば、なるほど、シンプルでありながら劇的な効果をもたらすコードを書くことができる。

及川さんも指摘されていましたが、新人が20行のコードを書くところを1行のコードで実装するようなことも普通にある訳で、これは結局成果を評価するなかで、このホワイトカラーによる頭脳労働の時代に、定量評価が本質を見誤る恐れがあることを示している事例と言えるでしょう。

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ビル・ゲイツ、アマンシオ・オルテガ、ウォーレン・バフェット、カルロス・スリム・ヘル、ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグ、ラリー・エリソン、マイケル・ブルームバーグ、この8人の大金持ちは世界人口の半分と同等の資産を持っているそうです。このような状況からベーシック・インカムの必要性が取り上げられる機会が増えているように思います。

社会資本の再配分について、わたしは現在52歳ですが、20代のスタジオミュージシャン時代にレコーディングした著作権に関連した収入がおよそ30年を経過した現在でも多少なりともあったりします。

この収入モデルはとても有難いわけで、及川さんが話していた「究極の働き方改革」というモデルの一つとしては、技術に関連した仕事で本当に能力をもっている人たちが社会にインパクトを与える仕事をした場合、給与モデルの他に印税モデルでの収入が得られるような変化があってもいいのではないでしょうか?

あと気になったのは、

組織での機会の平等性、属人性を排除、法令順守などの制約のために、能力を発揮できない人が、逆に個人の能力開発という観点から不利益を被るのかは今は誰にも分らないのだろうなと、、、と思った次第です。

最後に、残念ながらいまの日本は連合が「脱時間給」を容認したり、撤回したりという状況だったりします。つまり、まだ労働時間に応じた評価制度から、アウトプットへの変換へもままならない企業が大多数であると。

ですが今日ご紹介したように、さらにその先のアウトプットではなくアウトカムが重要であると言い切る企業もいるわけです。

わたしは組織人としての経験がないので、組織に属している多くの人たちの平等性が保障される「働き方改革」についてあれこれ言える立場ではありませんが、小さな組織の経営者として心に響いた、大石さんの言葉で締めくくりたいと思います。

「アウトプットではなくアウトカムが重要!」アウトプットのような簡単にメジャーできるようなものでは測れない。まさにコード1行も書かずに世の中を変えるところにどれだけ近づくことができるかの働き方の成果を測るのはマネージャーの重要な役割である!

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