なぜIT関連技術者にはメンタル不調が多いのか?
「心が折れる職場」の10の特徴
書店で偶然手にした「心が折れる職場」という書籍を読みました。
- 仕事の帰りの「ちょっと一杯行こうか?」がない
- 上司は社内エリート、出世頭だ
- ほとんどの人が「泣いていない」
- 論理的思考が何よりも重視される
- 周囲には「仕事だけ人間」が多い
- 飲み会はいつも"打ち合わせ風"あるいは仕事の話になる
- 上司が「ホウ・レン・ソウ」に厳格だ
- 異動や担当替えが煩雑に行われる
- 1人でトラブル対処にあたることが多い
- 若手を叱ることも、褒めることもない
すべてに同意はしかねますが、自分の行動特性を振り返って、心が折れやすい職場の特徴に合致することが多くいろいろと考えさせられるものがありました。
他方、日本には馴染まないかもしれないが、環境整備だけでなく自らの思考や行動が世の中に変化をもたらすという行動哲学を持っていることで解決できることもあるのではないかと感じています。
なぜIT関連技術者には不調が多いのか
IT方面で仕事する立場として気になったことをご紹介。SEが心に問題を抱える意外な理由として挙げられているのは、長時間労働などによるストレスではなく、業務上で求められる技術水準にまで達していないことからもたらされるストレスやプレッシャーによって、というケースが非常に多く見られるという記述に目が行きました。
更に、「なぜIT関連技術者には不調が多いのか」という章においても、120時間の残業が3か月続く状況であっても業務に必要なスキルを持ち合わせている人であれば不調に陥る人は少ないなど、現在の単純な労働時間でメンタル問題を考えることへの問題提起にもなりえる事象と共に、あらためて前述のスキル不足を主要因とする主張が繰り返されています。
「心が折れやすい職種」で働いていることへの認識と対処
「不調になりやすい職業、なりにくい職業という」という章では、世の中には一定の範囲内で技術を取得すれば、その範囲内で働き続けられる業務もあり、このような仕事に従事している人はスキル不足を原因とした不調は当然ながら起きにくいとしています。
これに対し、テクノロジー分野はどんどん進歩していくために、勉強しても追いつかない。さまざまな要因による競争激化、果ては仕事のセンスの有無など、継続することのハードルがどんどん高まる職種と言えるようです。
65歳以上でも働くことが当然な社会になりつつある現在、テクノロジ業界に身を置く人たちは、ピーターの法則による無能化だけでなく、「心が折れやすい職種」で働いていることを認識し、自分なりの身の処し方を講じていく必要があると言えそうです。