科学者集団リバネスの”効果的な経営法”をCEOの丸さんに聞いてみた!
リバネスのCEO丸さん、先日BSジャパンの日経プラス10にも出演されてご覧になった方も多いのではと思います。
私と丸さんの出会いはこれまた偶然の積み重ねでして、先日の大雪の日に申込損ねたデブサミのセッションにとある方のフォローで入れることに。そこで紹介された編集者の方の紹介で丸さんの出版発表会にブロガーとして参加、その内容にとても共感でしたのでブログ記事を1本書かせてもらいました。
そしてもっと詳しい話しを聞きたいと思ったのでfacebook経由で取材をお願いし、快諾いただいて取材を敢行~このエントリを公開できることになったというソーシャル時代ならではの展開です。
リバネスがどんな会社なのかというところはホームページやこちらのエントリをご覧いただくとして、
- 最先端科学のリバネス-Leave a Nest
- ビッグデータ、ビッグデータ言ってるが、注目すべきは人間の知恵がグロース・ステージに入っているという事実:平凡でもフルーツでもなく、、、:ITmedia オルタナティブ・ブログ
自分がより詳しい話しを聞きたいと思ったのは著書の中にある「サラリーマンではなくビジネスマンを集める」のトピックについてでした。
世間では、ブラック企業や未払い残業代の社会問題化がありつつも、ぶらさがり社員や最近ではブラック社員と呼ばれる人材資源の問題・課題があることを忘れてはいけないと自分は考えています。
"企業の存続と繁栄の源泉は顧客にある"わけですから、効果的な経営をしたいと思ったらそこに参加する人間には常に自分(個々人)で考えることが求められますし、だからこそ"個"の時代だろうと。
リバネスの採用では丸さんから最終の面談でこんな言葉が投げかけられるそうです。
「僕が君に給料を払うことはないよ。お客様からお金をもらうんだよ。ぶらさがりの社員はいらないよ。お客様からお金をいただくということは、感謝を集めなければいけないんだよ。それでもやっていける自信はある?」
まったくもって同意です。弱者をどうフォローするかという課題を忘れてはいけませんが、例えるなら、バンドに入るのに楽器が弾けない状態の人間は参加できないし、そこで求められるスキルを維持できなければ脱退させられるのは音楽活動なら普通のこと、なぜそれが仕事の場になると話しが違ってくるのだろう…という素朴な疑問が自分にはありました。
多くの会社経営者の悩みは、
- 採用した人材が言われた仕事しかやらない
- 新しい事に取り組むことに非協力的
- 待遇には文句は言うが稼ぎが伴っていない
- 「頑張って仕事覚えます」と言った割に入社してしまえば、あれこれ言い訳して成長しない
このようなものではないかと思います。
製品ライフサイクルの短命化、技術革新のスピードがどんどん速くなるなど、経営環境はどんどん変化しているのに、一度雇った人間の雇用環境は絶対死守って考え方は非常に危険だと自分は感じています。
こうなってくると経営側は日本型の雇用を維持するのはとても経営リスクになるわけで、雇った人がいかにパフォーマンスを上げ続けてくれるかというのは非常に重要な経営課題になってきます。
こんな環境下で効果的な経営を行っていくために非常に参考になるシステムをリバネスは採用~実践されているのでこちらに紹介したいと思います。
まず基本前提として、リバネスでは年功序列は排除するけど、終身雇用の考え方は受け入れているそうです。
こちらはリバネスで行う3つの仕事。
- 【T】トレーニング・ワーク = スキルを向上させる仕事
- 【L】リーダーシップ・ワーク = リーダーシップを発揮しやりたいことを実現する仕事
- 【R】ルーチン・ワーク = お金を稼ぐ仕事
リバネスは全員が修士・博士の資格をもってるという特殊性のある組織ですが、それをもってしても「スキルを向上させる仕事」が最初に来ることを肝に銘じる必要があると考えます。そして何より特筆すべきは、「自分は優秀だからこういう待遇されて当たり前」を排除し「自分がやりたい仕事」と「お金を稼ぐ仕事」をセットで課している点です。
実際には、記事の執筆や受託の研究など本人と相談しながら「お金を稼ぐ仕事」が割り振られているとのことでした。
採用権限を部長が持ち、売上・費用・利益をすべて開示することとセットで、自分のスキルに裏付けがある人間が集まることでこういうシステムがうまく機能するだろうというのは想像が付きますね。
では、重要なポイントである普通の会社にこのシステムを適用することは可能なのかを考えてみましょう。
ビジョナリーカンパニーに書かれていることに通じていくのですが、企業の規模とは関係なく
会社を究極の作品として考えられる
このような組織風土がある会社であればきっとリバネスのシステムは有効に働くと考えます。
つまり、自分はこういう待遇で迎えられて当たり前とか、労働者保護が適正を通り越してしまっている組織に対しこのシステムを持ち込む場合は反対勢力との戦いを覚悟する必要がありそうです。
逆に中小、零細規模でそこから自分達の結果で這い上がって行こうと考えている組織には、この考え方は大変有用だと思います。ただ中小、零細ではそこを希望する人が集まらないという根本的な課題に直面している筈です。
そしてこの根本課題の解決に必要なのは先ほど申し上げた「会社を究極の作品として考えられる」かという会社のビジョンの持ち方に尽きると思います。
ここまで書いて思い返してみると、先日の講演会で丸さんに魅力を感じたのは、会社を究極の作品として考えている姿勢と、基本理念を維持しながら、進歩を促す具体的な仕組みをリバネスという組織で実現していることが「熱」としてあの講演会で伝わって来ていたんだと、今回の取材を通じて感じることができました。
経営者意識を持てと言われても、従業員はあくまで従業員だからとい批判をいただくかもしれませんが、この変化が激しい時代に生き残りを賭けて日々頑張っている人達や、これからブレイクすることを目指して頑張っているベンチャー企業の方には絶対参考になる事が書かれていると思います。
そういう意味でも、丸さんの著書「世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。」は多くの人に手をとって欲しいと思っています。
最後に、この日の夜は「リバネス研究費 リブセンス賞」の選考があり、こちらの取材も許可をいただいたので、こちらも別途エントリ化してお知らせしたいと思ってます。
丸さん、そして協力いただいたリバネスのスタッフの皆さんありがとうございました<(_ _)>