細川 義洋氏&山本 一郎氏「なぜ、システム開発は必ずモメるのか? プロジェクト見積もりから契約作成まで?」傍聴記
今日は朝から雪という天気になってしまいましたが、Developers Summit 2014 (デブサミ2014)のSession:【14-B-7】
こちらのセッションにお邪魔させていただきました。
東京地方裁判所の細川 義洋さんはオルタナブロガーでもあり「IT紛争のあれこれ」のブログを書かれいて、著書の「なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術 」がその筋では大変評判になっていらっしゃいますね。(ちなみにわたしと同い年)
そして、イレギュラーズアンドパートナーズの山本 一郎さんはこのブログをご覧の方には説明不要、やまもといちろうBLOG(ブログ)でお馴染みのアルファブロガーですね。
特に狙った訳ではありませんけど、今日は午前中の打合せでも偶然、発注側のスキル不足を通り越して、まったく未経験の人間を配属してしまう日本の発注先は何を考えているのだろう?という話しをしていたところでした。
自分も制作会社を15年やってきて、どんどん使用変更になる、当初の話しと違う、仕事は増えているのに見積の変更は認められない、仕事が変更・追加になっているのにスケジュールはそのままで大変な思いをした…というのは1度や2度ではありません。
講演のほうでは、山本さんの実務上の経験を踏まえた問題提起と質問に対し、IT紛争の調停委員として数々の経験を持つ細川さんから、事例・判例をふまえつつベンダー側が注意すべきこと、プロジェクト・マネジメントにおいて留意することへの具体的な話しをしていただくという構成であっという間の1時間でした。
まず冒頭、炎上の匂いを感じさせる山本さんさんのほうから提示されたキーワードはこれw
- 追加費用や仕様変更
- プロジェクトの中断
- 契約書の不備、不十分な文書化
- 中国
この振りに、細川さんの話しで印象的なところをかいつまんでご紹介します。
- アジャイルとか言いつつも、足下を固めるのが大切
- 前述したような仕様変更に伴う納期変更やプロジェクト中止、見積の変更は本来なら都度都度するべきという方針で扱われる
- 窓口を一本化することが大事
- 交渉事などは相手の顔色を見ながら泥臭いことをやらねばいけないし、ある種の根回しが必要だから綺麗な身体では開発できない
- 揉めそうなときは客観的にアドバイスしてくれる人を入れることも大事
- 裁判になったときには契約書だけでは判断できない大事なのは契約書の別紙のほう
- ジェイコム誤発注事件の際に「重過失」の認定には昭和30年のITとかかけらも感じられない時代の判例が参考にされた
- 裁判所が理解できないから私が居る(鑑定人を入れてもらうメリット)
- IT-ADRセンターを使う手もある(調停は不服とすることも出来るが、IT-ADRは従う必要性がある、短期間のメリットも)
今回この話しを聞いて思ったのはベンダー側はかなり専門家責任を追っている状態で扱われるか…というのが正直な感想で、自分としては発注側ももっと勉強すべきだろう…と個人的な想いはあったりしますが、今日はそれは置いといて、
そしてまとめとして、この辺の話しに進んだ訳ですが、
- 揉めたら、終わり?
- 我慢と限界とは
- 調停と裁判
- CMMIの考え方
- 喧嘩の準備のすすめ
- 駄目な客を見切る勇気も必要
午前の会議でも最終的に「下請けいじめとして中小企業庁に駆け込むという手もある」という話しもしていただけに、かなり有用度が高い話しを聞くことができ、雪の中でも出かけた甲斐がありました。
発注者の協力義務とベンダの専門家責任・プロジェクト管理責任については自分の会社としても課題山積という感じ悩ましい部分も多いですが、登山技術を磨いた案内人であるシェルパを例に、
「ベンダーのスペシャリティとしてシェルパのように尊敬されないといけない」
この部分には大きく頷いた次第です。
こちらの話しをより深く知りたい方は、細川さんのブログ「IT紛争のあれこれ」をご覧いただくか、話題の著書「なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術 」を手にしていただくと、より有用な情報を得ることが出来ると思います。