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「死んでもらったほうが支払いが10分の1で済む」と答えるひき逃げ犯と、助けた側が訴えられる中国のお国事情

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中国で起きたひき逃げ事件を通行人ら相次ぎ無視したという事件、ひき逃げした運転手が相手が死んだほうが賠償が少なくて済むから…という驚くべきインタビューが掲載されてます

ロイターがこちらで伝えるビデオでは、ひき逃げした運転手が、インタビューに答える形で、

  • 「もし彼女が死んだら1500ドル払えば済むことだ」
  • 「でも、生きているなら」
  • 「最低でもその10倍以上は払わねばならない」

交通事故では、むやみに謝らないなど交渉術がいろいろ存在するでしょうが、良し悪しは別として自分にとって有利と思われる選択をしていけばこういうコメントになるのか、、と唖然。

通行人が見知らぬふりをした件については、中国でのこれまでの事件が影響しているようで2006年に南京市で起きた彭宇(ポン・ユー)事件が原因だろうと指摘されていてます。

この事件、転んだ老人を助け起こし病院に送り届けた彭宇さんが、その老人は彭宇さんが突き飛ばしたために転んだと主張し、13万元(約173万円)の賠償を求めて告訴。

裁判所は「本当に正義の心からの行動なら、老人を助け起こす前にまず犯人を捕まえるはず」と推測し彭宇さんを犯人と認定、7万9000元(約105万円)の支払いを命じる、一部報道では世論の批判が高まり、二審で和解したがその条件は明らかになっていないというモノもあり。

この他にも拾ったお金をとどけたところ、ネコババしたとして訴えられてしまった例なども紹介されていて、こうやって助けた側がリスクを感じて行動しないのだとすると、中国衛生部が「転んだ高齢者への関与技術の手引き」を公布したって事ですが、施策としては全然ズレズレな話し、、、

事件の傍観というところでは日本でも同様の事件として、滋賀電車内駅構内連続強姦事件を思い出す方も多いのでは?と思います。

こちらの事件についてはwikipediaでの解説で「傍観者効果」という社会心理学の用語が紹介されています。

  1. 多元的無知 - 他者が積極的に行動しないことによって、事態は緊急性を要しないと考える
  2. 責任分散 - 他者と同調することで責任や非難が分散されると考える
  3. 評価懸念 - 行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる

冒頭紹介したひき逃げ事件については、ネガティブな評価というよりも具体的に訴えられるリスクを恐れているという事になるかと思いますが、この解説の最後にあるように、

このような事件を防ぐには、人間の心理そのものを消したり改造することはまず無理であるから、この傍観者効果によって助けなかった人間を非難するのではなく、傍観者効果が発動してしまわないような社会システムを作ることが重要になってくる。

ここを読みながら、モラルの事やら、事件の判決が社会に及ぼす影響などなど、色んな事の難しさを感じました。

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