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マリフアナ合法化の住民投票69万人の署名集めは社員たった2人の会社が請け負っていて、その金額は8千万らしい…

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日本国民が住民投票による直接立法が可能になったらどんな風に制度利用していくでしょうね?

現在の日本においてはなかなか馴染むところまでは行かなそうなこんなニュースが報じられています。

こちらの記事では、米国において住民投票は約100年の歴史を持つ制度だが、署名集めを業者が請け負うなどビジネス化が進みそのあり方を問い直す議論も出始めたと伝えていて、その事例の一つとしてこんな例を紹介されており、州憲法を改正する住民投票では69万4千の署名を150日間で集める必要があるそうですが、大麻の合法化を問う「提案19号」は、2カ月足らずで必要数を集めたのだそう。

この署名集めを請け負ったのは、なんと「マスタートン&ライト」という正社員は夫婦2人でやっている会社なのだそうで、州内各地の仲介役を通じてスタッフを募り「提案19号」約1500人を動員して69万人あまりの署名を集め、

そのコストは

  • 署名1人分あたり1.55ドル(約125円)
  • 署名関連費用だけで、約103万ドル(約8300万円)

が掛かっているのとのことで、投票活動全体で見たときのコストはもっと大きなものになるようで、

住民投票の文言を書く弁護士、運動を仕切るコンサルタントなど、投票までのあらゆる場面で「プロ」が介在し、テレビCMなどの宣伝に巨費が投じられる。一つの住民投票を提案し、可決させるコストは、ときに1千万ドル(約8億1千万円)を超える。

中には企業が4億以上を負担した住民投票の議案もあるそうで、ここだけ見るとさも金をもっている人間(企業)の都合の良い政策が実現するのでは?という危機感を抱いてしまいますが、署名集め=成立ではないので、

「金の力で自分が望む政策を住民投票にかけることはできる。だが有権者の過半数が賛成しなければ否決されるわけで、金の力で法律を買えるわけではない」:南カリフォルニア大住民投票研究所のジョン・マツサカ所長

冷静に考えてみるとこちらのコメントは納得できる意見のように思えるのですが…

朝日のほうにも11月に実施される住民投票の例としてカリフォルニア州の大麻の合法化の話が出てくるのですけど、この件、個人使用目的でのマリフアナの所持、栽培を一定量まで認めることを提案しているそうなのですが、この背景にあるのは慢性化している同州の財政難で合法化によってマリフアナ売買による税収が見込めるほか、この合法化で「観光客増加も期待できる」…と産経新聞は伝えています。

ここ20年くらい日本で「金の掛からない政治」というような標語を見聞きする事がありますけど、今日紹介した住民投票の署名集めのコストも費用便益分析したら結論として効率的だからアメリカではビジネスとしても成立しているのだろうと推測するに、日本の「金の掛からない」というのはどういう定義なのかをもう少し具体的に語る必要性を感じたりして…

日本でも公共財政の立て直しのためにギャンブル関係の行政特区の構想がありますが、財政難を解消するために、マリファナなりギャンブルが合法化され最終的に必要とされるのは、そのシステムに溺れない個々人の意志の強さや自己コントロール能力に収れんしていくのか…とこのエントリを書き始めたときには予想しない結末を迎えておりますが、なんとなく自分のブログ的にはまとまり良いので今日はこれで終わりとしたいと思いますw

あ、最後に福山哲郎氏、宮台信司氏共著の「民主主義が一度もなかった国・日本」にこんな一節があったのを思い出したので、自分のメモ代わりに書き留めておきます。

第三章 民主主義の代償
民主主義のコスト

100ページから一部抜粋

宮台

民主党は堕落したくないなら、安易に陳情に応じてはいけません。陳情は「ああしてくれ、こうしてく」という依存です。「こういう施策、政策はどうか」という「参加」ではありません。依存的要求から参加的提案への変化が必要です。陳情からロビイングへの変化が必要です。

中略

たとえ社会的弱者でも、「あれしてくれ、これしてくれ」クレクレタコラ(七〇年代半ばの特撮番組)的な陳情より、「このボタンをこの順番で押していただければOK、仕掛けはこちらで用意します」というロビイングのほうが、ずっと有効であることを知ると良い。

追記:娯楽目的でのマリフアナの使用や栽培の合法化の是非が問われたカリフォルニアの住民投票は否決された模様です

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