日本におけるベーシック・インカム論のパイオニア小沢修司さんの話を聞いてきた 第2部
日本におけるベーシック・インカム論のパイオニア小沢修司さんの話を聞いてきた 第2部ということで、このブロックは小沢さんのお話をメモ書き風にエントリまとめてみます。
第2部社会保障とBI編
現金給付部分に限定はしているが、なぜこういう考え方が必要となるのか?また、現行の社会保障制度が何故どのようにして機能不全に陥っているのかについて、その制度設計の根本に遡って検討することが必要。
基本は「自助」であり、生活するためには働いて得た賃金をベースに食べていくのが常識であるが、人生にはさまざまなリスクが発生し、それはなかなか自助ではカバーできないので、共助という社会保障制度が必要になる。
稼いで得た収入から拠出として、25年間払い続けて支給される権利を得て、40年で満額支給の資格を得る。これらの社会保障はリスク発生時にちゃんと支払っている場合には胸を張って受給できるが、生活保護などはあくまで例外的な措置として位置付けられている。
- 自助>現在の生活原理
- 共助>社会保険>社会保障の中核
- 公助>生活保障、福祉給付(セーフティーネット)>例外という措置なので所得制限が設けられている
社会保障制度が機能するためには何が必要か?という基本前提を振り返ってみる
- 雇用の安定>雇用機会と安定した雇用状態、生活に足る収入が得られる
- 家族の安定>稼ぎ手としての男性が女性、子ども、お年寄りを扶養する
- 税制の基本>家族を扶養する男性稼得者の担税力に配慮
↑果たしてこの基本的な前提が整備されているか?低賃金、非正規雇用など基本前提が現在の社会においては崩れているではないか?
2020年には単身世帯が主流になるという推計が出ているが、戦後復興時代は稼ぎ手の専業主婦というモデルが一般的な時代もあったが、現在は結婚しない、結婚しても子どもをもうけないなど、基本モデルが変化している時代にこの社会保障制度が機能するか?機能する訳がない!
経済成長との関係、経済成長と社会保障のイイ関係が保たれていた時期もあったかもしれないが1980年代以降の右肩上がりのイケイケどんどんではいかんという事でCOP15というのをデンマークで開催していて、合意されるかわからないが地球環境のことを考えると、ただただ経済成長すれば良いとは言えない世の中になってきていて、こういう社会においては、持続可能な経済発展が世界的に求められる時代においては、経済成長と社会保障のイイ関係というのは要らなくなってくる。
社会保障制度が拠って立つ基盤がぐらぐらになってきており、機能不全を起こしてきていて、前提そのものが崩れている状態で、社会保障を充実させなければいけないというのは、自分達の生活を安定させるために重要だが、そのときにどういう社会保障制度を充実させるのか?を考えるのかがまずここでは重要で、
社会保障を充実させなければいけないという言葉だけで、果たして今の社会保障制度を充実させれば上手くいくのか?前提が崩れている状態をどう見るのか?というのも重要であり、
そこでBIの出番ということになる。
BIは世帯単位ではなく個人単位に無条件に支給、働いているかどうかは問わずに、まず生を受けた人間の生存を所得面で支えようという制度であり、これまで私たちが知っている福祉や社会保障の考え方とまったく正反対の考え方に基づく新しい福祉と言えるのかは大きな問題ではあるが、新しい社会保障の姿を私たちに示しており、これに私たちが寄りかかることによって始めて生活が安定するという時代になってきている…
第2部はここまでで、その後3部に続いていきます。