インフルエンザの流行に絡んで電車の中でなんの躊躇もなく咳払いする人の事や、見た目が凄いマスクのことなどこれまで数回エントリを書いてきましたが、昨晩のニュースで取り上げられたウイルス対策をうたったマスクの表示はどこまであてになるのかを国民生活センターが調査、結果発表したニュースをご覧になった方多いのではないかと思います。

東京大学医科学研究所教授の河岡義裕さんが爆問学問に出演された際にも発言されていたのですが、感染していない健康な人がマスクを着用することでウイルスを完全に吸い込まないようにすることは出来ないという話をされていて、こういった問題はいつ指摘されるのかな…と思ってた矢先にこの調査結果が出てきたので、国民生活センターのHPで公開されている詳細資料のほうを見てみるとかなり詳しい調査結果が出てきました。

そもそも論のところとして、新型インフルエンザ専門家会議(厚生労働省)の見解は咳・くしゃみをする人が飛沫を周囲に飛散させないために不織布製マスクを着用することを推奨しているが、不織布のフィルター性能には言及しておらず、

新型インフルエンザの患者に接する可能性の高い医療従事者については、N95 マスク(防じんマスクDS2)のような密閉性の高いマスクの着用が勧められているが、適正に使用するには、十分な知識を必要とすることから、一般の人が新型インフルエンザの感染予防策として使用することは想定されていない。そのような見解がある中、最近では「N95 規格相当」などをうたうマスクも一般向けに販売されているとあり、一般消費者が宣伝からイメージして期待する効果と現実にもたらされる効果にはどうも差がありそうな事がここからも予想できるのですが、実際の苦情を見ているともっとひどい現実が見えてきます。

【事例4】
携帯の通販で新型インフルエンザ対策の医療用マスクを購入。WHO 推奨の商品と誤認するような表示であったが、届いたら粗悪品でとてもWHO 推奨の商品とは思えなかった。表示されている情報が十分でなく、いいものと誤認したりすると思うので問題表示だと思う。
(2009 年6 月受付・40 歳代女性・東京都)

【事例5】
インターネットで息子に購入してもらったマスク。N95 規格相当と書かれているが、どう考えても粗末な構造。返品したい。
(2009 年5 月受付・50 歳代女性・大阪府)

【事例6】
新型インフルエンザの流行に伴い市場でマスクが手に入らないので、インターネットで50 枚1万円あまりのマスクを注文した。しかし、包装も無く粗悪品であった。
(2009 年5 月受付・50 歳代女性・埼玉県)

マスコミ各社のニュースや国民生活センターでの概要報道においてはどういう製品が問題があったのか具体的な指摘はしていませんが、

こちらの詳細資料にはちゃんと商品名を含む販売元の名前が記載された資料がちゃんとWebで公開されており、

15品目についての調査結果がテスト結果として、ウイルス対策をうたっているにもかかわらず、フィルターの捕集効率が低いものがあり、さらに、N95 マスクの基準を満たしていると受け取れる表記があっても、捕集効率が80%以下のものが3 銘柄あり、消費者が誤認するおそれがあったとして、このような図版も公開されています。

Image00361_1

マスク着用時にどれくらい空気の漏れが生じるのかということでこんな調査もされていて、その結果として、

すべての銘柄で平均漏れ率が40%以上であった。また、フィルターの捕集効率が高い
ものでも、顔との隙間からの漏れがあるため、ウイルス等の微粒子を完全に遮断するこ
とはできない

との記載が写真と共に掲載されていて

Image00361_2

そして今回の調査のポイントとして、それぞれのマスクが捕集効果を宣伝で唱っているわけですが、そこにはこんな問題があるようです。

Image00361_3

社団法人日本衛生材料工業連合会の「マスクの表示・広告自主基準」では、容器包装や広告において、フィルター部の捕集効率の数値を表示する場合には、試験方法又は試験機関を表示し、その表記は99%までとしている。しかし、12 銘柄中6 銘柄(No.2、3、7、12、13、14)では試験方法又は試験機関の記載がなく、さらに、7 銘柄(No.2、3、5、6、7、8、15)では捕集効率の表記が99.99%であるなど、自主基準には適合していなかった。

最後に消費者へのアドバイス、業界への要望、行政への要望としてこんな記載が

消費者へのアドバイス

  1. 症状がある人は咳やくしゃみによる飛沫の飛散を防ぐために積極的にマスクを着用するようにしよう(咳エチケット)。一方で、ウイルス対策をうたっていても、フィルターの捕集効率には差があることや、実際に着用した場合にも顔とマスクとの間には隙間ができることから、マスクをすることによってインフルエンザなどの感染を完全に予防することはできないと考えられるので、マスクの効果を過信しないように
  2. できるだけマスクと顔の間に隙間なく着用できるように、価格よりも自分の顔のサイズ、形に合ったものを選ぶことは重要である
  3. 表示されている捕集効率は、捕集対象等が必ずしも同じではないので、数値をみても商品の性能を比較する目安にはならない

業界への要望

  1. フィルターの捕集効率が低いにもかかわらず、3 銘柄でN95 マスクの基準を満たしていると受け取れる表記があり、消費者が誤認するおそれがあったので、表示の改善を要望する
  2. 過度に効果を期待させるような表示をしないように、また正しい着用方法を記載するなど、表示に関する基準作りを要望する
  3. マスクの効果が発揮できるよう、隙間からの漏れが少なく、また使用性のよい商品作りを要望する

行政への要望

  1. フィルターの捕集効率が低いにもかかわらず、3 銘柄でN95 マスクの基準を満たしていると受け取れる表記があり、景品表示法上問題があるおそれがあるため、監視・指導の徹底を要望する
  2. 過度に効果を期待させるような表示をしないように、また正しい着用方法を記載するなど、表示に関する基準作りをするよう業界への指導を要望する

こんな感じで今回かなり長ったらしく紹介してしまったのですけど、これだけちゃんとした調査結果がPDFで公開されていてそこには

1 銘柄(No.9)はインターネット上の広告にあった「N95規格相当」の表示がパッケージにはなかったなどネットにおける広告・宣伝活動の問題なども指摘されていて、ちゃんと書類を見れば問題の商品がどれなのかを知ることが出来ます。

Image00361_4_2

ただ、国民生活センターのサイトを訪問した人でもこのPDFを中身を開くか?と考えるとハードル高そうな感じがしますし、

マスクを検索して探している人にこのPDFが検索結果として返されている確立はどうも低いような気がします…

機会があれば補聴器のネット通販についての国民生活センターの調査結果にも触れたいと思いますけど、こちらの分野もいろいろ課題あるようで、これら調査結果がもう少し検索結果としてYahoo!なりGoogleに表示されないものか…と消費者の立場としては思ってしまいました。

出典:本エントリで利用している図版などの情報は国民生活センターのHPで配布されている報告書に記載情報を利用させて頂きました。

Yasu-Sasaki
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佐々木康彦

佐々木康彦

ホームページ制作会社CMパンチの代表取締役。ドリカムのバックバンドからIT業界に転身した変り種。本人は制作実務の他、「webネタ活用コンサルタント」として企画立案や各種講演など幅広く活動中。

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