芥川賞を受賞した「ポトスライムの舟」を読んでみた。

最近いろいろと話題になっている非正規雇用者が主人公ということで手にとってみたのだが、やはりその中身については賛否両論あるようで…

文藝春秋に掲載されている芥川賞選評のほうにもいろいろな選評があるのですが、山田詠美さんは

『ポトスライムの舟』。行間を読ませようなどという洒落臭さはみじんもなく、書かれるべきことが切れよく正確に書かれている。目新しい風俗など何も描写されていないのに、今の時代を感じさせる。と、同時に普遍性もまた獲得し得た上等な仕事。『蟹工船』より、こっちでしょう。

とかなり好意的な選評を載せていますが、すでに地位も肩書きもある人たちがこの小説から今の時代を表現している小説として芥川賞にこの作品を選んだのだとすると、ちょっと違和感を感じる部分があったりするのですが、選考委員の全員の意見を読むうちに、わたしの中には筒井康隆氏の「大いなる助走」を読み返したい気持ちになってしまったのでした。