IoTがUIの未来を変える!? ~ 書籍「さよなら、インタフェース」を読んで
"The Best Interface is No Interface."
(もっとも良いインタフェースとは、インタフェースが無いことだ)
このキャッチコピーにビビッときたので、インターネットで見た瞬間に注文ボタンをポチっと押していました。日本語版が出版されたのは今月のようで、"IoT"で検索していたら見つけた新しい本です。「IoTって、モノがインターネットにつながるだけでしょ?」と少し冷めた見方をしていたのですが、考え方が変わりました。IoTが、これからのUIを変えそうです。
この本では、No UI(No User Interface)やスクリーンレスという表現でインタフェースの未来が語られます。文体が凄くラフなのですが、このノリが分かってくると漫画の様にサクサク読めます。No UIを実現するための3つのルールと5つの今後の課題が書かれていて、それぞれに納得感のある具体例が示されています。例えば、自動車の鍵を開けるというUIについて、次のような残念な例と良い例が紹介されます。(これが書かれている2章は、サンプルPDF版でも読めるようです。)
- 残念な例
スマートフォンの画面からドアロックを解除するアプリ。スマートフォンをポケットから取り出して→画面ロックを解除して→アプリを選択して・・・といった何段階ものアクションが必要で、普通に鍵でドアを開けるより面倒かもしれない。 - 良い例
服のポケットにクレジットカードサイズのデバイス(自動応答装置)を入れておいて、そのドライバーが近づいてドアの取っ手を握ると、ドアロックが解除される仕組み。ポケットから鍵もスマートフォンも取り出す必要がなくて、昔ながらの自動車の鍵よりも便利です。
確かに、この例において画面なんて不要ですよね。数十年前の紙にあふていた社会ではペーパーレスの世界が目指されていたように、画面にあふれた現代はスクリーンレスの世界を夢見るのだと、そういわれればそうだなと感じます。最近はiBeaconやQrio(スマートロック)といった様々な新デバイスが登場していますが、これらを画面に縛られた古い考え方のまま使うかぎりは、新しい価値なんて生まれないと思いました。せっかくだから、IoT時代だからこそ実現できるような理想的な世界を考えていきたいと、そう感じています。
【リファレンス】
さよなら、インタフェース 脱「画面」の思考法, [著者] ゴールデン・クリシュナ, [監訳] 武舎広幸, [翻訳] 武舎るみ, 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(2015)