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おやじ・・・もとい、大人の楽器演奏愛好者に向けたマーケティング戦術

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以前、大木さんが日経ビジネスオンラインに連載されている「熱血!会計物語」という小説の件をこのオルタナに書かれてらっしゃいました。

自分も愛読しています。今はSeason2とも言えるストーリーが展開されています。

ただ、自分は同じ日経ビジネスオンラインの中に連載が始まった「第三企画室、出動す ~ボスはテスタ・ロッサ」の方が、毎週より楽しみになっています。

この小説のストーリーをざっくり、で言えば、重厚長大産業の代表格であるとある鉄鋼メーカーにおいて、自らが某かを生み出す事業を行うことにより、他の企業の動向に左右されない、不況に強くなるビジネスを実現していこうとする、会長特命のプロジェクトが活躍・・・とまではまだまだストーリー展開上無いのですが、活躍していこう、とするストーリーだと理解しています。

文章そのものもスピード感があり、また、現在感じられる様々な出来事に対して、筆者なりの皮肉等も含まれていて痛快に読めます。

それはさておき。

この小説の中で、以前、おやじバンドがネタになっていたことがありました。

以下、一部の文章をランダムに抜粋。

とにかく目の前のチェリーボーイズというオヤジたちは、使っている楽器だって、全部、プロのミュージシャンと変わらない。

・彼らを目当てに聞きに来ている客たちもほとんどオーバーフォーティだ。少し若いのはきっと会社の部下たちだろう。パンプスを履いた若い女性社員は、この瞬間だけはステージ上の部長にほとんど「ほの字」の眼差しを向けている。

2年先輩のレギュラーバンドはここ数年でいちばん巧いと評判だった。6人いたメンバーのうち政経学部のひとりはふつうに会社員の道を選び、残りのメンバーはプロを目指して「ジェリーフィッシュ」を結成して、アルバイト生活をしながらバンド活動をしている。彼らには夢があり、その夢のために、一流大学を卒業しながら会社員にならずに、リスクをとった。よれよれのTシャツを汗まみれにしてラーメン屋で深夜まで働いている。あるいはツナギを着てゴンドラに乗り、別の選択をしていれば自分が中にいたかもしれない高層オフィスビルの窓を拭いている。涼しげなオフィスをガラス越しに見ながら、分厚くて少し灰色がかった熱線吸収ガラスを隔てた向こうとこっちをどう思っているのだろうか。一点の曇りもなく自分の未来を信じられるのだろうか。彼らはふつうに就職した自分のような仲間をどう思っているのだろう。

・少なくとも、清々しそうに楽器を片付けて友人や会社の仲間たちと去っていったオヤジバンドのメンバーたちは、幸福そうに見えた。

・幸福を追い求めること、自己を実現するという幸福にも種類があり、演奏をしている瞬間に限っていえば、むしろオヤジバンドの方が自分らしく幸福な時間を過ごしているように見えた。

非常に共感できました。それは高校時分、多少は音楽の道に進むことを思いもしたけれど、結局”逃げて”しまった自分を正当化したいからだけかもしれませんが(苦笑)

「好きなことをして稼ぎたい!」

そう思うことだけはとても簡単。

でも、好きなことをして稼げるようになることは並大抵の努力では難しいでしょう。実力はもちろん、運もあるだろうし、実力をつけるためにも運を呼び込むためにも努力が必要でしょう。ただ何もしないでボーッと「自分はこれがしたいんだ」だけ思っていて好きなことで稼ぐことはできません。

一方、稼げるようになった、として、好きなことが好きでなくなるかもしれません。例えば、ギターを弾く人だったら、「ギターを弾いて稼げれば良い」と思っていたのが、実は”自分の好みのギターのフレーズを弾くだけで”稼げれば良かった、のに、いつもいつも同じフレーズだったり、弾けるけれども、決して自分好みではないフレーズやジャンルを弾かされ続けることにより、お金をもらって弾くこと自身が嫌になることだってあるかもしれません。

※自分が鍵盤屋なのにギターの方を引き合いに出したのが、フレーズの多彩さ、ジャンルの細分化がより鍵盤より細かそうな印象があったからであって、他意はありません。

そういった意味で、好きなことは好きで割り切ってできる、稼ぐのは(嫌々でも(?))別の仕事で、そして、自分の自由になるお金で、自分が好きな楽器を買って、自分の好きなように演奏する、というのが、精神衛生上も良いのでは無いか?と一般人の自分は思います。

この小説がどういったきっかけで、この話題を話の中に盛り込もうとされたのかはわかりませんが、自分が高校生ぐらいだった頃に比べて、圧倒的におじさん向け・・・もとい、女性も対象でしょうから、大人向けの楽器演奏愛好者に向けたマーケティング戦術が増えてきているように感じます。

自分は楽器業界の人間ではありませんので、その理由を的確に言い当てることは難しいのですが、逆に対象となっている身から見た個人的主観であれば、

「あの時、手に入れられなかった楽器(もしくはそれに類するもの)が今なら手に入れられる!」

ことが大きいです。

それはもちろん、高校時代、親から昼飯代としてもらった500円を昼飯抜きで積み重ねてスタジオ代に充てていた、なんてことに比べれば多少は可処分所得が増えた、ということもありますが、何より、シンセにおいては、過去の機材に比べて圧倒的な機能差がありながら定価そのものは昔と変わらない、とか、逆に昔それなりにした機材が中古で非常にリーズナブルな価格で売っている割に、現状で利用してもそれ程陳腐化していない、というシンセ自身の特性にもあるかもしれません。

ギターなんてどうなんでしょうか?相変わらずビンテージと呼ばれるものは昔から高値を継続していますね。むしろ上がっているかも。

ドラムも生楽器、という意味ではギターと同様の傾向があるように思います。

また、自分の場合は、就職してからしばらくの間は楽器をほとんど触ることもなく、むしろ仕事をすることで精一杯で楽器を触る余裕すら無かった覚えがあります。

この歳になって、良くも悪くもずるさを覚えたり(?)、開き直りもあるので、心置きなく楽器を触ることができるようになった、と思います。

案外そういった方も多いのでは無いでしょうか?

そういった方に向けて、例えば石橋楽器店では、通常のIMC(Ishibashi Musicians Club)カードポイント制度において、40歳以上であればポイントが二倍になる「エイジプラス」制度を行っています。

■イシバシ楽器 IMCエイジプラス
http://www.ishibashi-webshop.jp/shop/contents3/imc_ageplus.aspx

また、数多く、大人向けのバンドコンテストが開かれています。
※既に応募締め切りが終了しているものもあります(2009/8/25現在)

■日経 おとなのバンド大賞
http://www.nikkei-ob.com/

■GMA presents おやじバンドフェスティバル2009
http://www.oyaji-band-fes.com/

■(株)ヤマハミュージック東海 おやじバンドフェスティバル2009
http://www.yamaha-tokai.jp/nagoya/event/oyajiband/index.html

■TOYOPET MUSIC SESSION 全国ナイスミドル音楽祭2009
http://www.toyopet-ms.com/

■clubDAM HIT STUDIO 60's 八重洲店 おやじバンドフェスティバルVol.5
http://www.clubdam.com/dkdining/shop/hitstudio60/

■NHK福岡放送局 熱血!オヤジバトル
http://www.nhk.or.jp/oyaji/

■第3回 南紀おやじバンドコンテスト
http://www.eventscramble.jp/nanki/

等々。探せばまだまだ他にもあるかもしれません。

さて、上記にあげたバンドコンテストについて、その応募要項を注意深く見てみると、結構興味深いことが書いてあることに気づきました。

それは応募者の個人情報の取り扱いについてです。

自分が高校時代、コンテストの応募なんて言っても個人情報がどう取り扱われるか?なんて考えもせず応募していました。

時代・・・というか、今や当たり前のことなんでしょうね。

各コンテスト

応募要項や応募用紙における個人情報取り扱いに関する記述

日経 おとなのバンド大賞

ご記入いただいた個人を特定できる情報については、以下の通り利用させていただきます。
(1)本イベントの運営及びそれに必要なご連絡、及び資料等の送付のため。
(2)株式会社日本経済新聞社から日経の関連イベント、支援企業の関連するお知らせのご案内のため。
なお、(2)に関しご希望でない場合は、応募用紙の「お知らせについて」の欄をチェックしてお送りください。 
ご記入いただいた個人情報はご本人の同意がない限り利用目的以外には使用せず、第三者に開示・提供するものではありません。 (法令に基づいて国家機関や裁判所等に提出する強制義務がある場合があります。)ただし日本経済新聞社は、本イベントの運営の一部または全部を、日本経済新聞社の費用と責任において第三者に委託することがあります。

GMA presents おやじバンドフェスティバル2009

個人情報の取扱いに関して ※お預かりする個人情報は本イベント運営・本イベントに関連する告知の際に使用します。それ以外の使用や第三者に譲渡することはありません。

(株)ヤマハミュージック東海 おやじバンドフェスティバル2009

(応募要項についての記載無し。詳細確認できず)

TOYOPET MUSIC SESSION 全国ナイスミドル音楽祭2009

[ご記入いただいた個人情報について]

本大会応募に関してご記入いただきました個人情報は、出場のご連絡等、大会運営に利用させて頂く他、協賛社であるトヨタ自動車およびお住まいのエリアを担当するトヨペット店にも提供され、各エリアのトヨペット店が実施する他のイベントや商品・サービスに関するご案内の送付、または、ご連絡に利用させて頂く場合があります。

*必ずチェックして下さい。□同意する □同意しない

clubDAM HIT STUDIO 60's 八重洲店 おやじバンドフェスティバルVol.5

個人情報は本企画以外に使用することはありません。

NHK福岡放送局 熱血!オヤジバトル

☆ ご応募の際にいただいた個人情報は、審査結果のご連絡にのみ使用します。

第3回 南紀おやじバンドコンテスト

※個人情報は当事業の目的のみに使用し、それ以外の目的には、一切使用いたしません。

・・・。

ん?んんー?

「TOYOPET MUSIC SESSION 全国ナイスミドル音楽祭2009」の記述は・・・。繰り返し書くまい(笑)

何より、「日経 おとなのバンド大賞」と異なり、不同意の場合どうなる、という記述が一切無い・・・というか少なく共自分は見つけられませんでした(苦笑)

ある意味、住所、氏名、年齢もわかってる、しかもナイスミドルに応募する要項を満たしている、ということはそれなりの年齢であって、さらに趣味が楽器演奏だ、ってこともバレている訳ですよね。

同業他社として、これもある意味、特定の嗜好(=大人の楽器演奏愛好者)を持った個人の情報を集められる見事なマーケティング戦術なのかもしれません。

だから皆さん真似しましょう!とはとても言う気になれませんが(苦笑)

トヨペット店、と言えば、「マークX」を取り扱っています。「マークX」と言えば、一時期、格好良い部長像を佐藤浩市さんが演じてらっしゃったCMが色んな意味でも印象的でしたね。

事実、このコンテストにおいても、

[ 協 賛 ] トヨタ マークX/全国トヨペット店

の記述があります。

「マークX」のCMでは、佐藤浩市さん演じる部長が取引先に謝っているシーンから始まった後、部下らしき女性と「マークX」に乗っていて、

「今日の部長、頭下げすぎでした。・・・でも、素敵でした」

なんていうシーンがありましたが、

それと同様、バンド演奏した後、

「今日の部長、なんだか少年っぽかったです。・・・でも、素敵でした」

と言われたい部長(もしくは部長候補(自薦・他薦問わず))をこのコンテストの応募者を元に顧客ターゲットとしていくのでしょうか?

よーし。じゃあ、うちにも声が掛かるかどうか、楽しみにしていよう(笑)

あ、来ないか?自薦にも他薦にも部長候補になんて引っ掛かる訳も無い、ヒラのヒラヒラだから(苦笑)

・・・という訳で、実は自分も今回の応募者の一人だった訳ですよ。予選で落ちましたけど。

決して落とされたからって腹いせで書いた訳じゃ無いことだけは断言しておきます(笑)

追伸:そう言えば偶然なんでしょうけど、冒頭の日経ビジネスオンラインの小説も「パンプスを履いた若い女性社員は、この瞬間だけはステージ上の部長にほとんど「ほの字」の眼差しを向けている。」なんて、あたかも「マークX」のCMに描かれそうなことが書いてありましたね!(笑)

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