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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

「問題」と「課題」の違い・その2

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前回の続きです。

今回は、「問題と課題は違う」ってことです。みなさんは、「問題」という言葉と「課題」という言葉を使い分けていますか?今日言いたいことの本質は、

·       「問題を課題に落とし込まないと解決できない」

ってことなんですが・・・

まずは、それぞれの言葉を辞書(広辞苑)でひいてみましょう。

問題

1.問いかけて答えさせる題。解答を要する問い

2.研究・論議して解決すべき事柄

3.争論の材料となる事件。面倒な事件

4.人々の注目を集めている(集めてしかるべき)こと

課題

1. 題、また問題を課すること

2. 課せられた題、問題

わかったような、わからないような・・・。

そもそも「題」とは、人間の額の表面のことを表したものです。
まっすぐのびているという意味の「是」と、あたまを意味する「頁」が組み合わせられた会意形成文字です。転じて、文書のあたまの部分に付けられる、その文書の内容を一言で表す見出しのことを「題」と言うようになりました。「主な題」は「主題」、副次的な題は「副題」です。

それから、何らかの見出しをつけた文のことを一般に「題」と表現するに至りました。「論ずべき題」なら「論題」、「題を問う」なら「問題」、「題を課す」なら「課題」、というわけです。

さて、「問題」とビジネス的に考えた時の定義は、前回書きましたね。

「あるべき姿と現状との負のギャップ」

です。前回申し上げた例では、「お腹が痛くて仕事ができない」とか「お腹が痛くて午後の会議に出席できない」というのが「問題」なわけです。

その「問題」を、解決に向けて分析し、具体的な解決の方向性が見えるようにしたものが「課題」である、と考えるのがいいでしょう。端的に言えば、

問題を解決するために何をすべきか、ということを設定したもの

と表現できます。

前回の例で考えます。お腹が痛くて、「仕事をしなければならない(あるべき姿)にもかかわらずお腹が痛くて(現状)仕事ができない(ギャップ)」というのが問題でした。ただ、このままでは「で、どうすんの?」ってことになります。「仕事ができない、さぁ大変だ」ってことは認識できているのですが、「仕事ができないことによって、どのような負利益が生じるのか」ということがはっきりしていません。具体的な負利益まではっきりさせないと、どう解決していっていいかが不明確なままになってしまうんです。解決の方向性が不明確だと、もちろん的確な解決なんてできるわけがありません。

では、「仕事ができない」ことでどのような負利益があるのか考えてみましょう。例えば、「午後の会議に出席できず、今日中に決めなければならないことが決められなくて、仕事が滞る」という負利益がある、ということが見えたとします。となると「課題」は、「どうしたら午後の会議に出席できるようになるか」、言い換えれば「どうしたら午後の会議に主席できる程度にお腹の痛みを抑えることができるか」ということになるわけです。

「課題」を適切に設定したら、どのように解決すればいいか、ということがぼんやりと見えてきます。

また、「自分は会議に出席できそうにないので、誰を代理出席させるのが適任か」という「課題」を設定することもできるでしょう。ここで大事なことは、「ひとつの『問題』に対して、複数の『課題』を設定できる」ということです。このような課題設定をした場合は、お腹が痛いということそのものは問題のトリガーではありますが、直接解決すべきものではなくなります。課題設定が変わると解決の方向性も変わります。ということは、課題設定を間違えると、元の問題を解決できない、という危険もはらんでいるのです。

問題を適切に解決するためには、その問題をいかに適切に課題に落とし込む(課題設定する)必要がある、ということにかかっているというわけです。

そのほか、「問題」と「課題」の区別について色々なビジネス書を見ていると、「問題は自然発生的に見えてくる物で、課題は自ら設定するもの」や、「問題は期待と現実とのギャップで、課題は現状をあるべき姿に近づけていくための能動的な施策」、「問題は現象で、課題はあるべき姿に近づけること」といった解釈もあるようです。いずれにしても、「課題」というのは「問題を的確に見極めて、自分たちはどうすべきか、何が足りないのか、ということをはっきりさせたもの」と考えると良いでしょう。

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