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デルの激太りにも驚かされる!!(53→558→800):IT業界ウォッチャーシリーズ第2回

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今回はグローバルなIT企業の戦略ウォッチの第二弾です。

今回モデルとするのはデル(テクノロジー)です。

デルは1984年の創業以来、一貫して製品/サービスのラインアップを増やして会社規模、売上規模を大きくしてきました。

そして最近の米EMCの買収により、800億ドルを超える売上規模の総合IT企業となりました。つまりひたすら太り続けてきた企業モデルなのです。

まずデルの事業の歴史を見てみましょう。

デルコンピュータは1984年にテキサス大学の学生であったマイケルデルが、当時IBM PC互換機を製造販売する会社として立ち上げました。

その後、製品開発コストを抑えるためにIntelプロセッサーを搭載する標準ハードウェアにWindows,Linuxという標準ソフトウェアのみを搭載する標準製品に特化し、かつ直接販売受注生産台湾への生産アウトソーシングなどで、業界でもトップクラスの価格競争力を持った製品「デルモデル」を販売し、PCマーケットで大成功をおさめました。

そしてこの「デルモデル」はPCだけでなくサーバーに対して成功をおさめました。

これが、「第一期のデル」です。ビジネススクールの題材になりそうな話ですね。

その後、2000年に入って、東南アジアの企業がさらに安価な製品を出してきた事から、デルモデルは価格競争力だけでは差別化にならなくなってきました。

またデル自身も顧客からのITの要望に答えるために、PCだけでなく、サーバー事業(1996年)ストレージ事業(1998年)プリンター事業(2004年)と着々と自社の製品ラインアップを増やしていきます。

そのころから、CEOのマイケルデルは、顧客に対して「ワンストップ」提供する「総合ITビジネス」へと拡大戦略を考え始めたようです。ここからが「第二期デル」時代の始まりです。

その後もこの流れは止まりません。

2006年以降はついにハードウェア以外のサービスをラインアップに増やすために色々な企業を買収していきます。(以下ウィキベディアより)

2006年
ALIENWARE:ハイパフォーマンスなゲームPCを提供するコンピューターメーカー
ACS Limited:IT 事業への投資に関するアプリケーション管理サービス展開ならびにインフラコンサルティング

2007年
Silverback Technologies:ITリモートモニタリング、サーバ、ストレージ、ネットワーク、デスクトップ、ノートPCを含む情報管理に関するソフトウェア
ZING Systems:常時接続オーディオ、および エンターテイメントデバイス
ASAP Software:ソフトウェアソリューション、ライセンスサービス
EqualLogic:仮想化向け高性能SAN iSCSIストレージとソリューション
Everdream:SaaSサービスとして配信されるデバイス管理の配布

2008年
The Network Storage Company:データストレージコンサルティング
MessageOne:リモートメール管理、SaaSの連続とアーカイブ

2009年
Allin:マイクロソフトITコンサルティングとソリューション
Perot Systems:クラウド・コンサルティングサービス

2010年
KACE:リモートシステム管理アプライアンス
Exanet Assets:クラスターされたNASストレージ
Scalent:物理および仮想化リソース両方の単一の管理ポイント
Ocarina Networks:ストレージ圧縮技術と重複排除
Boomi:SaaS 環境向け統合ツールとコンサルティングサービス
Compellent Technologies:複数階層ストレージアーキテクチュアのインテリジェントなインフラおよび管理
InSiteOne, Inc.:クラウドベースの医療アーカイビング - ヘルスケア関係のクライアントに対して医療診断画像管理ソリューション

2011年
SecureWorks:マネージド・セキュリティ・サービス、脅威対策、リスクコサルティングサービス
RNA Networks:「メモリクラウド」を構築するソフトウェア
Force 10 Networks:データセンター向けネットワーク

2012年
AppAssure:仮想化クラウドインフラストラクチャー
SonicWALL:ネットワークセキュリティと データ保護
Wyse Technology:クラウド・クライアント・コンピューティング/シンクライアント/デクトップ仮想化
Clerity Solutions:アプリケーション合理化ソリューションサービス
Make Technologies:ソフトウェアアプリケーション合理化とサービス
Quest Software:データベースの管理・保護、認証、監視などのソフトウェア
Gale Technologies:インフラ自動化ソフトウェア
Credant Technologies:データ保護(暗号化)

2013年
Enstratius:エンタープライズ向けのクラウド管理ソフトウェアおよびサービス

2014年
StatSoft, Inc.:ビッグデータ分析ソフトウェア(現:Dell Statistica)



凄いですね。食い過ぎ、いや買い過ぎのような気もしますが、これもマイケルデルの考える「総合IT企業」のビジョンに向かってとにかく突っ走ってきた結果でしょう。

売上規模も1996年から2001年の情報でみると

53→78→123→182→253→319(億ドル)(1996-2001)

と毎年30-50%成長で規模を拡大してきました。2002年に一旦312億ドルに減収しますが、その後2002年から2008年までの売上規模は伸び率こそ落ちましたが、右肩上がりに増え続けています。この辺りは本業の伸びというよりは買収した企業の増加分かと推測されます。

312→353→413→491→558→574→611(億ドル)(2002-2008)

その後、実はデルの売上規模だけみると、2008年以降は600億ドル前後と伸び悩みが続いています。

その影響なのか、2013年10月にマイケルデルは、デル社の株式非公開化を実施しました。つまりデルはプライベートカンパニーとなったのです。理由は、四半期の業績を気にせずに長期的な投資を行うため、ということでした。

こうしてプライベートカンパニーとなった「第2.5期デル」は、極めつけの大型長期投資を実施したのです。

ご存知のように2015年10月総額670億ドルで米EMCの買収を発表しました。そして2016年の9月に旧EMCを取り込んだ新生「デルテクノロジー」(第3期デル)が誕生したのです。

売上推定規模は冒頭に書いたように800億ドル超、IBMやマイクロソフトと肩を並べる規模までとなりました。

まさに世界最大の総合IT企業コンピュータカンパニーとなったのです。

デルの激太りはついに規模で頂点を極めました。10年単位の売上規模推移で見ると

53→558→800(推定)(1996-2006-2016)

さて、これからのデルがどうなるか、どのような企業戦略にチェンジするかが気になります。まさかこれ以上太ること、買収することは既に負債が500億ドル近くありますので財務的に難しいでしょう。

まずは現在の規模のまま、デルの持つ中小企業マーケットとEMCの持つ大企業マーケットのシナジーをはかっていくと、マイケルデルは言っています。

ただ、現在のデルテクノロジーは買収が完了したばかりで水膨れした状態であると予想されることから、一般的には買収効果を出すために重複事業の削減や売却などを行い、体質改善をすることが求められます。

そうしないと、HPのように規模があまりに大きいためのデメリットである、コストの増大意思決定の遅延大企業病としての官僚主義などが蔓延して、結果的にまた事業売却をすることになるのが、今までの歴史だからです。

また事業戦略的にも旧EMCが既に買収していたVMwareと旧デルのサーバー事業との関係やSDS(Software Defined Storage)における旧デルが提供してきた製品と旧EMCが提供している自社製品との関係、米Perot Systemsなどのサービス事業の位置づけ、など今後整理していく必要があると言われています。

ここでデルがHPと異なるのはデルがプライベートカンパニーだ、ということです。

つまり買収当初の多くの課題に影響される短期の収支のブレによるプレッシャーがなく、ある程度中期のスパンでこの新生デルの事業戦略およびその業績を見れるということは良い事なのかもしれません。

いづれにせよ従業員14万人の超巨大企業の未来はマイケルデルの手腕にかかっているようです。

最後にデルテクノロジー発表文の中での、マイケルデルの今後に向けてのメッセージを紹介します。

「世界は刻々と、よりインテリジェントに、より接続されつつあり、広範囲のIOT結びつけらつつあり、我々の顧客が素晴らしいことをを実行するための道を開いている。これがデルテクノロジー設立の理由だ。我々は、製品、サービス、人材、グローバルな規模を持ち、大小の顧客のIT事業の改革を導く触媒となれる。」

(参考サイト:Statista :The Statistic Portal)

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