抽象化思考と具体化思考―今までにない発想の広げ方
こんにちは、しごとのみらいの竹内義晴です。
新潟地方気象台によれば、「12日、全国で最も早く北陸で「春一番」が吹いた」のだとか。雪深い妙高に住んでいると、春が本当に待ち遠しいです。
さて、昨日は「まわりが見えない人」に効く言葉というお話でした。話が抽象的で分かりづらい人もいれば、細かいことに目が向き、まわりが見えない人もいます。一方、細かいことも大切ですが、目的や本当に大切なことが見えなくなってしまうこともあります。そのような場合の「広い視点に導く言葉のかけ方」についてのお話でした。
今日は、抽象化思考と具体化思考で、思考や発想の幅を広げよう……というお話。
抽象化思考が得意な人と、具体化思考が得意な人
話が抽象的で分かりづらい人もいれば、細かいことに目が向きまわりが見えない人もいますが、私は今まで、「人には具体的なことを考えるのが苦手な人と、抽象的なことを考えるのが苦手は人がいる」(つまり、欠点)だと思っていたのですが、実は最近になって考え方が変わってきました。
それは、抽象化思考と具体化思考ができるトライアングルコミュニケーションモデル(TCM)というコミュニケーション/思考モデルをお伝えしていて気づいたことなのですが、それは欠点と言うよりも、「人には抽象的なことを考えるのが得意な人と、具体的なことを考えるのが得意な人がいる」(つまり、特徴)ようなのです。
TCMは相手に思考を促したり、自分で物事を考えたりするときにチャートに描きながら進めるコミュニケーション/思考モデルです。このチャートには簡単なルールがあって、三角形の中心に考えるテーマを書き、そこを中心に、上の方向にはテーマに関する抽象的な内容(目的や意味、本当に大切なこと)、下の方向にはテーマに関する具体的な内容(いわゆる4W1H的な)について考え、書き出します。
チャートの上下に思考の方向性、指向性があるので、抽象的思考が得意な人は上ばかりにチャートが進んで、具体化思考が得意な人は下ばかりにチャートが進みます。逆に、抽象化思考が得意な人は下の具体化にはチャートが進まず、具体化思考が得意な人は上の抽象化にはチャートが進みません。
TCMは思考が可視化されるので、その人の「思考の特徴」「思考の指向性」が分かるわけです。
いろんな人のチャートを見ていたら分かりました。「人には抽象的なことを考えるのが得意な人と、具体的なことを考えるのが得意な人がいる」ということに。
ちなみに……IT業界の方の特徴
ちなみに、このブログをお読みの方はIT関係の方が多いと思いますが、IT関係の方は具体化思考が得意なようです。なぜなら――昨日の記事のようにボク自身がそうであるように――システム設計やプログラミングは、仕事の進め方を具体的に分解して「どうやってそれを組み立てるか」「どうやってそれを実現するか」を考えるのが仕事なので、日常的に物事を細かく分解し、それを組み立てることに自然と思考が向くのです。
逆に、「そもそも、何のためにそれをするのか?」「それによって何が得られるのか?「それができるとどうなるのか?」「それにはどんな意味や価値があるのか?」といった、物事を広い視点で考える抽象化の思考をあまりする習慣がないので、考えるのがちょっと面倒なようです。
自分の「思考の方向性」を知り、発想を広げる
方法は何でもいいと思います。
まずは、自分はどっちの思考が得意なのか?好きなのか?を探ってみましょう。「そもそも」を考えるのが好きな人は抽象化思考が得意、「具体的にどうすれば」を考えるのが好きな人は具体化思考が得意。指向性なので、どっちがいいとか悪いとかではありません。
そして、自分が得意な思考の方向性が何となく分かったら、その逆を意識的に考え、抽象化と具体化のバランスをとるように考えてみるのはどうでしょうか。
そうすれば、「ポエム上司」とか、「まわりが見えない人」ではなくて、「指示が具体的」「視点が広い」「大切なことまで考えてくれる」と言われるようになんじゃないかなぁと思います。
また、今まで考えなかったことを考えるのですから、思考や発想の幅や高さ、深さが広がるでしょう。今まで気がつかなかった思いがけない知恵やアイデアを見つけることもできるかもしれません。