図が元々持っている意味や力を使うと、考えは自然にまとまる
突然ですが、質問です。
もし、この図に何かの意味があるとしたら、あなたはどんな意味があると答えますか?
続いては、この図です。
もし、この図に何かの意味があるとしたら、あなたはどんな意味があると答えますか?
20代前半の専門学校生と、小学3年生と、保育園の年中さんに、何の説明せず同じ質問をしてみました。
20代の専門学校生は
- 上の図の意味を「1つを2つに分ける」
- 下の図の意味を「2つを1つにまとめる」
小学校3年生の子どもは
- 上の図の意味を「1つから分ける」
- 下の図の意味を「1つにまとめる」
保育園の年中さんは
- 「おもち」(笑)
と答えました。
こんにちは、トライアングルコミュニケーションモデル開発者の竹内義晴です。
最近、「図が元来持っている意味」について研究しています。
3人には何も説明せず、図だけ見せたのに、大人と小学生が、図に同じ意味を見い出していました。保育園生は・・・そりゃあおもちですよ(笑)。小さいときは、物体を図そのもので理解し、ある程度年齢を重ねると、図に意味を持たせるのでしょうね。
つづけて、小学生3年生の子どもに、この図を示しました。ここからイメージする言葉は何かを尋ねると
「コーンフレーク」と「アイス」と答えました。「もっと線を出しちゃいけないの?」というので、「いいよ」と言ったら、「クリーム」「バナナ」と書き始めました。何も説明していないのに、矢印が下に向いた線が伸びていると、1つの物事を分けて、具体化するんですよね、ちゃんと。
続けて、この図を示しました。
ここからイメージする言葉は何かを尋ねると、「冬」と答えました。お~、「雪」と「氷」を、それよりも大きい「冬」にまとめるではありませんか。抽象化なんて難しい説明なしに、図を見せるだけで抽象化思考ができるのです。
もう1つ、面白い事例です。
専門学校生に、先ほどの子どもの「雪」と「氷」の図と同様、「雪」と「車」とだけ書いて、イメージするものを尋ねたら、「スタッドレスタイヤ」と答え、さらに、その上に矢印を伸ばし、「この丸の中に入るのは何?」と尋ねたら、「安全」と答え、さらに上に矢印を伸ばしたら、「無事故」と答えました。
これは、何を意味しているかというと、矢印を上に伸ばしていくだけで、「それによって得られることは何か?」という、抽象度(その先の目的を明確にすること)を次第にあげていく思考を自然としてしまうということなんです。
続いて、もう1つ。
今度は、「新潟」と「福岡」と書いて、矢印を上に伸ばして丸を書き、「ここに入るのは何?」と尋ねると、「日本」と答えました。「新潟」と「福岡」をまとめる抽象化思考が出てていますよね。ここは予想通り。
続けて、矢印を下に伸ばして○を書き、「ここに入るのは何?」と尋ねたら・・・「日本」と答えるのかなと思ったら、「県」と答えたのです。
「上は日本なのに、なぜ下は県なの?」と尋ねたら、「下のほうが、なんとなく小さい感じがする」といいます。
ここまでの話をまとめます。
- 丸と矢印からなる図には元来、「具体的にする」「まとめる」などの意味を持っている
- 考えたいことから矢印を複数に分けたり、複数のものをまとめたりするように書くと、自然と具体的に考えたり、抽象的に考えたりする
- 上には「より大きいもの」、下には「より具体的なもの」という意味がある
ということがわかりました。被験者の数は少ないですが、私個人的には、このことに違和感がありません。
私は、この、図が元々持っている意味や力に着目しています。なぜなら、図が元来持っている意味や力を使うと、物事を具体的にしたり、抽象的にしたりすることが自然とでき、アイデアを具体的にしたり、考えをまとめたりすることを助けてくれるからです。
もし、この図と矢印が元来持っている意味や力を使って、ノートに書き出したら、アイデアを具体的にしたり、考えをまとめたりすることに役立つんじゃないかなぁというのが、私の考えです。
この実験、かなりおもしろかったので、「どのようにしたら、できるだけ自然にアイデアを出したり、考えをまとめたりできるのか」を、これからも研究していきたいと思っています。
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