オルタナティブ・ブログ > 竹内義晴の、しごとのみらい >

「しごと」をもっと楽しくしたい!

私が「一人○○」座談会をやってみたいと思った理由

»

しごとのみらいでは、「おしごとカフェ」という座談会を先月からやっています。

以前は、「仕事のやる気とメンタルケア相談会」というのを地元の新潟県妙高市でやっていました。

相談会を始めた理由は・・・

今、メンタルヘルスの問題がいろんなところで言われていますよね。その解決策と言ったら「早めに病院へ行きましょう」ばかり。

でも、病院に行って解決するかというと、ボクは解決しないと思っているんですよね。重度のうつのような場合は薬も必要かもしれませんが、薬を飲めば目の前にある悩みの種が無くなる?無くなりませんよね。

そこで「仕事の中で抱えている悩みごとを相談できる場を作りたいたいなぁ」って思ったんです。それが、以前やっていた「仕事のやる気とメンタルケア相談会」。2011年に「仕事のやる気とメンタルヘルスに関する実態調査」というアンケート調査を行ったので、それを元に職場での対応方法などをお話することにしていました。実際にサポートが必要な方にはカウンセリングもしました。

なんて言うと聞こえはいいかもしれませんが、もう、笑っちゃうぐらい人が集まらなくてね(笑)。毎回、新聞に告知を入れたり、ソーシャルメディアを使って告知したりして頑張ったんですけど全然だめ。

それでも、「一人でもきっかけが作れたらな、それでいいじゃないか」なんて、自分を慰める日が続きました。

あるとき、いつもと同じように参加者ゼロの相談会の日がありました。一人会議室にこもり、「どうしたら多くの方にこの機会を提供できるのだろう……」と考えていました。のどが渇いたので自動販売機まで飲み物を買いに行こうと会議室を出たら、いくつかのチラシが目に留まりました。

そのチラシには、「一人で悩んでいないでまず相談」と書かれていました。どうやら、行政の福祉関係の部署が作ったチラシのようです。うつやメンタルヘルスという重々しい言葉が並んでいます。裏側を見たら、心療内科の住所と電話番号が一覧になって載っていました。

その時、私はふと気がついたんです。

「もし俺が、あの、仕事のプレッシャーで精神的にまいっていたとき、このチラシを見て相談に行こうと思っただろうか?いや、絶対に行かんな。だって、自分は病気じゃないもん。そんな、メンタルヘルスなんて重々しいところなんて行きたくないもん。薬なんか飲みたくないもん」

ふと我に戻ると、自分自身でも「メンタル」という言葉を使っていることに気がつきました。「これじゃ、来ないよな。っていうか、あの時の自分でも行かないよな」って。

それから、その相談会は一時やめていました。他にも勉強会をやっていたので、毎月ではなくても、ある月の1テーマでメンタルケアを扱えばいいかなと。けれども、メンタルケアをテーマにするのがなかなかできなくて……。

そこで、しごとのみらいの会員のみなさんと相談する会を設けました。

その中で、Mさんがこう言いました。

「私は事務員なんですけど、『一人事務員』って結構多いんですよ。業種によっては女性が一人ということも多い。みんな相談相手がいないから抱え込んでいる人も多いし、経理などの重要な仕事をしているから大変なのに、その大変さが分かってもらえない。こういう立場の人、結構いると思います」

私はこの話を伺って、なるほどなぁと思いました。そこで、ネットで調べてみようと「一人」まで入れたら、候補に「一人事務員」と出てくるじゃないですか。ビックリしました。「一人事務員」で検索する人がいるという証拠です。

そして、こう思ったんです。

「ボクも一人で係長やっていたとき、『竹内さんは会社側の人』みたいに言われるのが嫌だったし、立場上誰にも相談できないのがしんどかったもんな。よく考えてみたら、みんな一人で、相談相手がいないからツライんだよな」

……そう思ったら、社長も、部長も、課長も、係長も、新入社員も、一人でSEやっている人も、一人事務員も、みんな一緒だな。みんな一人で頑張っているんだよなって思ったんですよね。

そこで始めたのが「おしごとカフェ」という座談会でした。気軽に話し合ったり、教え合ったりする場であったらいいなと思い、名づけました。近い将来は、参加者の中の誰かがあるテーマを持ち寄って、勉強会形式の場になってもいいかなって、思っています。

けれども、しばらくは「一人○○」で行こうかなと思っています。職場の中で一人で頑張っている人、いっぱいいると思うから。

前回、初めてやってみたのですが、会場にいらしたのは経営者から事務の方まで、仕事上の立場は異なるみなさんでした。けれども、「一人」という共通点でお話ししてみると、みなさんの思いはほぼ共通していました。「みんな同じなんだ」ということが分かって、話すのが楽しかったんです。

みなさんからはこんな声が聞こえてきました。

  • 同じような立場で悩んだり、頑張っている方がいつことが励みになりました。漠然とした自分の想い、考えが整理出来てよかったです。
  • 一人○○の方でも、いろいろな立場、視点があってそれぞれの方の話を聴けて参考になりました。少人数で話し合える雰囲気も良かったです。
  • 他の方の考えや意見が聞けて参考になったし、同じような思いをされている方がいるんだと分かっただけでも肩の荷がおりる思いでした。話をする場、アウトプットする場は大事だなと思いました。

座談会の後にお酒を飲みながら話しました。お酒の力は場を和やかにして、ざっくばらんに話すことを手伝ってくれ、これも楽しかった……。

9/21(金)に2回目を東京・四谷で開催します。もしよかったら話をしに来てください。今後は元々やっていた地元新潟でも再開したいなぁって、思っています。

Comment(0)