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学習したコミュニケーションスキルがすぐに実践できない5つの理由

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こんにちは、竹内義晴です。

前回より、新しいコミュニケーションモデルについてお話しています。

私自身、これまで、コーチングやNLP(神経言語プログラミング)など、さまざまなコミュニケーションスキルを学んできました、けれども、スキルを学んだからといって、すぐに職場や日常でのコミュニケーションに行かせるわけではありませんでした。

そこで、コーチングスキルやカウンセリングスキルなど、身に付けたコミュニケーションスキルがすぐに実践できない5つの理由について考えてみます。
 
 
■1:スキルが部分的

多くのコミュニケーションスキルは「信頼関係の作り方」「話の聞き方」「問いかけ方」「伝え方」など、部分的なコミュニケーションスキルが中心で、全体の流れを示したものがありません。スキルとスキルの間をつなぐ「会話の流れ」がないので、「相手の話を聞くことは上手になっても、うまく問いかけられない」「上手く問いかけられても、よりよい方向にリードできない」という結果になっています。

職場などの日常のコミュニケーションの中で使うためには、「体系的な会話の流れ」が必要です。
 
 
■2:イメージとして全体像を記憶しにくい

多くのコミュニケーションスキルのセミナーのテキストは「文字」で表現されています。

たとえばNLPには、望ましい成果を得るために、「8フレームアウトカム」という8つの質問の流れがあり、その通りに質問していけば意識していない原因を浮き彫りにし、新たな行動がはっきりするというフレームワーク(全体の流れ)があります。

その8つのフレームワークとは、次のようなものです。

 1.あなたの欲しい結果(ゴール)はなんですか?
 2.ゴールが手に入ったらどのようにして分かりますか?
 3.ゴールはいつ、誰と、どこで創りますか?
 4.ゴールを手に入ったら、あなたの周り(人間関係、環境など)はどのように変わりますか?
 5.ゴール達成のためにあなたが既に持っているリソース(スキル・知識など)は?さらに必要なリソースは?
 6.現在成果を手にいれるのをとめていることは何ですか?
 7.これを達成することは。あなたにとってどういう意味がありますか?
 8.それをやるために、まず何から始めますか?

このステップを踏むことで、今まで意識していなかったことを考えるきっかけにはなります。けれども、日常のコミュニケーションでは常にテキストを持っているわけではありません。また、すべてが言葉で表現されているために記憶しにくく、ステップどおりに問いかけられないのが実際です。

さらに、相手との会話がこの通りに進むとは限らないので、会話が一度ずれ始めると、どのように軌道修正したらいいのか分からなくなり、パニックを起こしてしまいます。
 
 
■3:さまざまな手法が、コミュニケーションを難しくしている

コミュニケーションにはさまざまなスキルがあります。たとえば、コーチングで有名なのは、人を「コントローラータイプ」「サポータータイプ」「アナライザータイプ」「プロモータータイプ」4つのタイプに分類し、コミュニケーションを変えるという「4つのタイプ分け」です。

人の特徴をタイプごとに分析し、相手に合わせたコミュニケーションを取るというアイデアはとてもおもしろいのですが、人のタイプを瞬時に見分け、タイプに合わせて会話を組み立てるのはとても難しいのが実際です。

たとえば、血液型も一種のタイプ分けですが、相手の血液型を瞬時に見分け、血液型に合わせて会話を組み立てるのは非常に難しいことです。

コミュニケーションスキルにはこれ以外にも、さまざまな診断テストやスキルがありますが、それらをすべて覚え、場面ごとで使い分けるのは簡単なことではありません。
 
 
■4:コミュニケーションツールがコミュニケーションの邪魔をする

先ほどの「4つのタイプ分け」に限らず、コミュニケーションスキルの中にはさまざまなタイプ分けがあります。

タイプ分けは、自分の特性を知り、長所を活かすという面では有効ですが、「この人は、きっと○○タイプに違いない」という推測による関わりは、時として、相手にレッテルを貼ってしまう危険性があります。

それはまるで、先ほど例に出した血液型による性格判定のようなものです。血液型は、自分の特性を知る上では有効ですが、「あの人はA型だから几帳面なんだ」「あの人はB型だからだらしがない」「あの人はAB型だから二重人格に違いない」「あの人O型だから大雑把なんだ」のように、人にレッテルを貼ってしまうのはよくあることです。

人をタイプで分けるのも有効なのかもしれませんが、大切なことは、「人はみな違う」という前提に立ち、相手に最善のサポートをしていくことのはずです。
 
 
■5:資格のためのコミュニケーションスキルになっている

私がコミュニケーションスキルを学んだとき、「せっかくなら資格が取れればいいな~」と思いました。

けれども、実際に学んでみて思うのは、ビジネススキルなどのコミュニケーションにはあまり関係のない内容が含まれていたということでした。その分、カリキュラムは膨大かつ複雑で、講座を終了するために2年近くかかり、モチベーションを維持するのも大変でやっとこなしたという感じでした。私の知人は、このように言いました。「コミュニケーションスキルは、本来ならもっとシンプルなはずなのに、セミナーとして成り立たせるために、複雑になっているのかもしれない」
 
複雑になっているがゆえに、実践で何から手をつけたらいいのか分からないというのが実際でした。
 

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コミュニケーションスキルの学習には、このような課題があるな~と思いました。一言で言うと「難しい」ということ。

基本的なコミュニケーションスキルはとてもシンプルなはず。そこで、できるだけシンプルで、誰もが簡単に身に付けられるようにしたいと、今回のモデル開発に着手しました。

次回も、トライアングルコミュニケーションモデルの開発秘話です。

追伸:

文中ではコーチングやNLPについて触れていますが、それぞれはすばらしい考え方やスキルであることは間違いありません。伝え方や記憶方法、実践の仕方の課題を解決したいと考えています。

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