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顧客を大事にする姿勢-「PCをバッグから出しただけで注意するレストラン」と「お茶のサービスで心まで満たされるカフェ」

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※2011/12/8 本文をお知らせしたかった内容に一部修正いたしました。

新潟から都内に仕事に出かけるとき、待ち合わせや移動の時間調整にカフェやレストランをよく利用します。PCでちょっとした編集作業をしたり、メールのチェックをしたりしています。PCに限らず、スマートフォンを利用することもあります。

そんな「地方モバイラー」ですが、先日、飲食店の「また、行きたいと思わせる店とは何か」について考えさせられる体験をしました。

1つはあまりのサービスのよさに、「また行きたい!」と思うカフェ。

「また行きたい!」と思うカフェはいくつかありますが、そのひとつにルノアールさんがあります。ルノアールさんのうれしいところは、電源を貸してくれるところです。特に、わたしのような地方からの出張者は移動時間も多く、普段以上にPCやスマートフォンの使用頻度が高いので、電源を貸してくださるカフェはとてもありがたい。

また、コーヒーを注文したにも関わらず、頃合いをみてお茶を出してくれます。「飲み物を出している店舗で飲み物をサービスするなんてありえない」と、最初に行ったときは思ったものです。普通の飲食店なら、お客の回転も気になるはずですが、お茶をいただいたときの「ごゆっくりどうぞ」という言葉かけもうれしい一言です。

一方、「もう行きづらい」と思うお店もあります。

たとえば、あるファミリーレストランチェーン店では、バッグからPCを取り出そうとした瞬間に、「当店はレストランなので、パソコンは……」と注意を受けました。このような指摘受けるのは初めてだったのでビックリしました。失礼をお詫びし、すぐにPCをバッグに戻しましたが、なんだか居辛くなり、すぐにお店を後にしました。

この例は、あくまでもひとつの例です。今回と逆のパターンで、カフェでPC利用不可のところもありますし、ファミリーレストランで利用可の店舗もあります。ビジネスマンを対象にするのか、ファミリーを対象にするのかで店舗の設備やサービスは店舗で異なって当然です。

ですから、「ファミリーレストランとカフェ」「PCを使える/使えない」「電源がある/ない」ということを取り上げたいわけではありません。「ファミリーレストランでPCを使うのはどうか」という議論もあるかもしれませんが、実際に使える店舗もありますから、そこを取り上げたいわけでもありません。

では、何を取り上げたいのかといいますと、同じ飲食店をひとくくりに考えた場合、『「また行きたい」「もう行きづらい」と思わせる(言い換えれば、「ファンになるか」「ファンにならないか」)この差は、結構大きいのではないか』ということ。さきほどのルノアールさんで言えば、今は、200円ぐらい出せばどこでもコーヒーは飲めますが、500円払ってでも「また行きたい」と顧客に思わせるのって、ある意味すごいことだと思います。

この差は、一体何なのだろう?と考えてみました。ひょっとしたら「顧客に対する関わり方の差」「顧客を大切にする姿勢の差」なのかもしれません。「ただのコーヒーを出す店」「ただの食事を提供するレストラン」なら、みんな「そこそこおいしくて、安い店」を選択するでしょう?

ルノアールさんに限らず、電源を使ってもよいということは、長居される可能性を秘めています。それでも、電源を置くのは、単なる「ただのコーヒーを出す店」という発想からは出てきません。単にコーヒーを出す店なら、電源はむしろ、ないほうがいいはず。ひょっとしたら、「ビジネスマンが仕事の合間に、快適に過ごせる空間を提供する」……そのような、顧客が本当に望んでいることを考えた結果、生まれてきた発想かもしれません(本当のところはわかりませんが)。

「また、行きたいと思わせる店とは何か」……なかなか難しい課題です。店舗の設備や雰囲気でそのように演出することも出来ますし、お店のサービス、顧客への接し方でそのように思わせることもできるはず。

たとえば、PC利用不可のファミリーレストランでも、接し方によっては「また行きたい」という機会になったかもしれません。具体的にどのような接し方がいいのか、明快な答えはわかりませんが、顧客の立場を理解し、「お忙しいいところ恐縮ですが……」などのように、こちらの状況に寄り添ってくれ、その後で店の事情をお知らせいただいていたら、「この店舗は顧客のことをちゃんと考えていてすばらしい」と思っていたかもしれません。

業種、業態、顧客の層、「こういうお店にしたい」を考えた結果、もちろん、「PCを利用不可にする」という選択肢もあると思うのですね。もし、私がその店舗で働いていたとしたら、「PCを使おうと思って来店されたお客さまに、利用不可であることを知らせる際、どのようにお知らせするか」ということをスタッフとともに考えてみたいと思っています。そうすれば、PCを利用できなかったお客様に対しても、店舗を気に入っていただける可能性はあるのではないかと思います。

ここでは、今回の体験から、飲食店でのPCの利用をに例に、「また、行きたいと思わせる店」について取り上げました。ひょっとしたら、PCに限った話ではないかもしれません。繰り返しになりますが、ここで取り上げたかったのは、「ファミリーレストランとカフェ」「PCを使える/使えない」「電源がある/ない」ということをではありませんでした。

「また、行きたいと思わせる店」を作るための設備、サービス、接し方……それは、業種、業態、顧客の層で違うものなので、一律でこうだという答えがあるわけではありません。でももし、自分で飲食店を経営するのなら、「こんなレストランを作ってくれてありがとう!」「こんなカフェを待っていたんです!」「この料金を払っても、また行きたい!」という声が届くような店舗を経営してみたいです。

今回の機会は、「顧客の満足って何だろう?」「どうすれば、また来たいと思ってもらえるだろう?」ということを考える、とてもいい機会になりました。

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