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リーダーはどうあるべきか?

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先日開催したワークショップで、

「リーダーはどうあるべきか?」
「上司と部下のパイプ役としての役割はどうあるべきか?」

というご質問をいただいたので、今日は私が考えるリーダーシップについてお話してみようかなと思います。

私がリーダーの仕事をするようになったとき、最初はどのようにすればいいのか全く分かりませんでした。けれども、いろいろと試してきた中で、「あっ、リーダーとはきっとこういうことなんだな」というイメージがあります。いろんな形のリーダーシップがあるので、一言で「○○であるべきだ」という定義はしづらいですが、今思うことを書いてみたいと思います。

■リーダーの役割

私の中のイメージでは、リーダーシップとは「灯台」のようなものだと考えています。

真っ暗な大海原を航海する船を思い浮かべてみると分かりやすいかもしれません。もし、灯台がなければどっちの方向に進んだらいいのか分からないので、船員は怖くて前に進むことができません。ですが、灯台があれば行き先がはっきりしているので安心して前に進むことができますし、多少航路がずれてしまっても修正することができます。海が荒れて航海に不安な夜も、大海原に光る灯りはそれだけでも安心できます。

灯台が持っている役割を上げてみると

  1. 行き先の方向、目的地の提示
  2. 安心感
  3. 目的地までたどり着くまで導く。だたし、航路はいろいろある

これを、仕事上の言葉に置き換えると

  1. ビジョン、ゴールを目で見える形で示す
  2. 安心、安全な場がある
  3. ゴールまでたどり着くように導く。ただし、やり方・方法はいろんな方法があり、あまりにも外れていなければ任せる

こんな役割があるのではないかと思います。

■マネージャーの役割

次に、マネージャーや中間管理職の方が、「上司と部下の間でどんな役割があるのか」についてですが、同じく、大海原の航海にたとえると、船の船長のような役割があるのではないかと思います。

船長が持っている役割を上げてみると

  1. 「あの灯台へ行こう!」と伝える
  2. 目的地に向かっているか、航路がずれていないかをチェックする
  3. 各機関士に仕事を任せる
  4. 順調な航海ができるよう、船の調子や船員の様子に気を配る

これを、仕事上の言葉に置き換えると

  1. 「ビジョンやゴールに向かって前に進もう!」と伝える
    上司の言葉をただ伝えるのではなく、自分の言葉に置き換えて伝えたり、部下の言葉を上司にわかりやすいように翻訳するような役割も持っていると思います。
  2. 組織のビジョンやゴールに向かっているかをチェックして、ずれていたら修正する
  3. すべて自分でやるのは大変。スタッフに仕事を任せる
  4. スタッフのスキルやメンタル的な部分に気を配り、よい職場環境を作る
    そういえば、先日読んだ活きのいい案がとれる!とれる! マグロ船式会議ドリルという本の中には、「漁船では狭くて不便な環境だからこそ争いが起きないように猟師たちはお互いに仲良くし、助け合いながら仕事をしており、私がそれまでに見たどんな会社よりもみんながイキイキと働いていたのです」と書かれていました。

こんな役割があるのではないかと思います。

灯台(リーダー)と船長(マネージャー)の役割は、厳密に分けることができないかもしれません。灯台と船長の両方の役割が必要な場合もあると思いますが、役割を洗い出すのなら、こんな感じだと考えています。

■偉人が語る「リーダーシップ」

ところで、リーダーシップについて、偉人はどのように言っているのでしょうか。いくつか気になった言葉を最後に付け加えておきたいと思います。

ドラッカーは次のように言っています。

仕事の哲学 (ドラッカー名言集)  P・ F・ドラッカー (著),

仕事の哲学 (ドラッカー名言集)

効果的なリーダーシップの基礎とは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に定義し、確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。

信頼がないかぎり従う者はいない。そもそもリーダーについての唯一の定義が、つき従う者がいることである。

続いて、松下幸之助さんです。

指導者の条件 松下 幸之助 (著)

指導者の条件

指導者が目先のこと、枝葉末節にとらわれず、大所高所からものを見、対極的に判断することが、いかに大切かということである、何がいちばん大事であり、何が真に正しいか、そういうことをたえず自問自答し、見きわめつつ、対極的な見地に立って、小異を捨て大同につく、それが指導者としてきわめて大切な心がまえだと思う。

小事をおろそかにしていいというわけではないが、小事にとらわれて、いわゆる重箱のすみをつつくようなことになると、かえって肝心の大事の方が見失われてしまう。したがってやはり、大切なポイントだけをしっかりと押さえ、あとは自由にのびのびとやらせるということが必要だと思う。結局はその方が秩序もおさまり、イキイキとした活動も起こり発展も生まれてくるといえよう。

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