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ソフトウェア製品開発現場の視点

クラウドサービスは標準化されるのか?

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クラウドコンピューティングを説明する例えとして、発電機や発電所が使われている。この考え方を進めていくと、今後のクラウドの発展はクラウド間でのアプリケーションの相互動作性が重要になってくるように感じる。

電力供給の場合、自分の家やオフィスに送られてくる送電線の先の先には複数の発電所が存在する。すなわち冗長化されていることによって、地震で柏崎刈羽原子力発電所が停止していても、他の発電所の供給能力を高めることで停電を引き起こすことなしに電力を供給し続けることができている。こういうことができるのは、電気には規格があって標準化できているからである。たとえば、関東圏の電気は、消費者が受け取るときには通常 100V, 50Hz と決まっているから、こういった融通がきく。この場合、電圧は途中の経路で変換することが可能であるが、50Hz のほうは、発電所と家庭の間で整合性がとれている必要がある。ところが関東圏では 50Hz の周波数と決まっているが、関西以西の周波数は 60Hz と決まっているので、関東と関西の間では単純には電力を融通し合うことができない(最近は技術の発達で比較的容易になっているそうだが、変換が必要なことには変わりがない)。

電力で起きている周波数不一致の問題を、クラウドコンピューティングに戻してみると、クラウドサービス側の標準化が必要になってくると予想できる。クラウドサービス上にアプリケーションを開発することを考えると、同じソフトウェアを複数のクラウドで動作させることができたほうがうれしい。現在のクラウドサービス側は、独自の機能や性能で差別化を図ろうとしているように見える。しかし、もしクラウドサービスが標準化され、その標準に従ったクラウドサービスならばどこでも動作するようにアプリケーションを作ることができれば、巨大なクラウドサービスプロバイダー1社と運命をともにするのでなく、そこそこのサイズのプロバイダーでも乗り換え可能なほうを選ぶという選択肢が出てくるように思える。

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