【事例紹介:Jリーグ】ソーシャルメディアを活用したファン獲得への挑戦!
久々のブログ更新です。
最近会社としてソーシャルメディア関連の書籍を執筆しており、通常業務とのダブルパンチでお金で時間を買いたいような状況でした。
日頃から「スポーツとソーシャルメディアの可能性」という観点で、いろいろな情報を収集しておりますが、その中で以前から注目していたサッカーJリーグのソーシャルメディアの取り組み事例を調査しました。
■Jリーグの抱える課題、目標とは
今年2010年はW杯イヤーということもあり、人びとのサッカーへの関心も高かったかと思います。しかし、W杯の時だけサッカーファンになるにわか(と 言ったら怒られそうですが)ファンの方も多かった?印象を受けます。
現在、統計によるとJリーグの観客年齢分布のボリュームゾーンは30~39歳の約 30%。次いで40~49歳が25%を占めています。また2007年の観客平均年齢は37歳で、2001年当時は32歳だということです。Jリーグ関係者 の方からも聞いたことがありますが、ファンの30代のコア層がそのまま年を重ねていて、若いファン層がうまく取り込めていないというのが課題のようです。
(各数値はWikipediaから抜粋)
ちなみに2009年のデータによる と、J1リーグの1試合ごとの平均観客動員数は19,278人だということです。これは去年ですが世界6位の数値で、世界1位は日本代表の香川選手や長谷 部選手などが活躍しているドイツ・ブンデスリーガで、38,975人だとのことです。また年間の層観客動員数は2009年で960万人もいるようです。意 外とJリーグも盛り上がっているんですね!
■様々なソーシャルメディアを活用した取り組み
実はJリーグでは、年間1100万人動員という目標(イレブンミリオンプロジェクト)や、ファン層の拡大化という課題を解決するために、継続的に試合会場まで足を運んでくれるファンをいかに増やすか?ということをテーマにして、様々なソーシャルメディア関連の施策を打っています。
これまでサッカー観戦をしたことのないファンを増やすという目的に迫る為に、インターネット、とりわけソーシャルメディアを活用して、様々な角度からブランディング施策/プロモーション施策を展開しています。
それでは、さっそく紹介したいと思います。
●らくらく連絡網
410万人ユーザーがいるスケジュール、思い出(写真、日記)共有ツールです。
カレンダーの中にJリーグの開幕した序盤戦の3-5月に「Jリーグに誘う」ボタンを設置し、
簡単に友人を試合観戦に誘うことができたようです。
またシーズンを通して、全会員のカレンダー内に「J1リーグ 第33節」という感じでJリーグの日程を表示しており、
これにより日常にJリーグの試合が開催されているということを意識させることを狙っているようです。
●Jリーグ公式ブログパーツ
Jリーグ公式サイトの試合速報に誘導するために、コアユーザーに関係するユーザー向けの訴求施策としてブログパーツ配布をしています。貼られたブログからの誘導数は月間8000万PVを記録することもあったようです。試合結果は気になりますもんね。
http://www.j-league.or.jp/tool/download/blogparts/
●Wiiの間
任天堂から展開されている人気ゲーム機Wiiの中に「Jリーグの間」を開設。
コンテンツはJリーグに関連する過去の動画を配信しており、Jリーグの懐かしい映像など見られるみたいです。(有料)
個人的には選手のテクニック動画や選手やチームからのメッセージがあるとおもしろいかと思います。
http://www.wiinoma.co.jp/program/pay/jleague/
● Jリーグ特命PR部キャンペーン
若者を中心に大人気の木下優樹菜さんを起用して、Jリーグ2010特命PR部なるキャンペーンを実施しています。
一種のバイラルキャンペーンですね。Twitterやブログを利用しているユーザーが、Jリーグから与えられる7つのミッションをクリアすることで様々なインセンティブ(特製トロフィーなどらしい)がもらえます。
ユーザーはTwitterやブログ上でミッションに応じた投稿をかけられ、その内容がソーシャルメディア上を駆け巡る仕組みです。
このキャンペーンに参加するユーザーはPR部の部員として活動します。
一緒にJリーグを盛り上げよう!というユーザーが3000名ほど集まっており、このユーザーが起点となりバイラルを狙っているみたいですね。
http://tokumei-pr.jp/
PR部としてもTwitterのアカウントを開設しており、もちろんwebサイトと連動した情報発信を行っています。
アカウントは @tokumei_pr です。
●Youtube 公式チャンネル
http://www.youtube.com/user/jleaguechannel
スポーツと動画の相性は抜群ですね。抜群というか必須ですね。
本来スポーツは観て楽しむものであり、感情共有をしたいユーザーインサイトがあると思います。
そういう意味で、各スポーツは今後動画メディアをフル活用した展開が求められるでしょう。
サイネージで展開されているのが
「Jリーグに行こうよ!」
Youtubeでも閲覧可能です。
ローソンのデジタルサイネージを活用しており、新しい媒体も積極的に採用しています。
若い女性を引き込む為に、スイーツをテーマにした動画を公開しているんですね。
最後まで何のCMか分からない工夫がされており、ラストにJリーグのロゴが出てきます。
●セカイカメラ
スタジアムに実際にきたファン向けにセカイカメラを活用されていました。
スタジアム内でiPhoneをかざすと、会場内の案内やイベント情報などをみることができる上、
ユーザーも情報発信を行うことができるようです。
これは本当に新しい取り組みで、リアル世界とAR(拡張性現実)などのソーシャルメディア活用は今後も進みそう。
そして位置情報とスアジアムを連動させた企画などが出てくると予想しています。
■Jリーグのソーシャルメディア活用を調べて思うこと
このようにJリーグでは様々な角度からソーシャルメディアを活用してイメージの作新や、プロモーションを図ろうとしています。
ソーシャルメディアを新たに活用することで先行者利益はあるでしょう。
現時点では、日本では最も積極的に取り組んでいるのはないでしょうか?
それでも、まだまだ日本のスポーツ分野におけるソーシャルメディア活用の事例は少ないです。
毎日お茶の間で流れるニュースではスポーツに関して放送されて、家族で感動したり新記録に驚いたりしていますね。
スポーツは本当に人々の生活に根ざしています。好きなスポーツや好きな選手に関して共有したいと思うのは当然のことでしょう。
今スポーツ界で起こり始めている変化とは、ソーシャルメディアの登場によりファンと選手/チーム(組織・団体)との距離が縮まっていることです。
グラウンドでしかコミュニケーションを取ることのできなかったのが、インターネット上で簡単に繋がることができます。
精神的な距離と空間的な距離が縮まることで、新しいファン層へのリーチが可能になり、通常のメディアだけでは伝えきることのできないメッセージに耳を傾けてもらうことが期待できます。
コンテンツの価値を最大化し、より多くのファンとのタッチポイントを創出する意味でソーシャルメディアの貢献は非常に大きいかと思います。人が人に伝えたくなるようなコンテンツをJリーグと共存させ、「Jリーグ」がファンの生活の中に入り込むことが重要なポイントになりそうですね。
Jリーグはもうあと数節で今年も終わり。
ワールドカップも4年後・・・
アメリカのスポーツとソーシャルメディアの事例を中心に調べてみることにします。
【追記:2010年11月8日】
Jリーグ特命PR部の名刺を追記します!
スポーツ、ソーシャルメディア系、どんな小さなことでもお気軽にご連絡頂ければと思います。
Twitter: @TatsuyaKitano
Facebook: TatsuyaKitano