続:ソーシャルメディアが変える日本のワークスタイルについて
前回「リンクトインが変える日本のワークスタイル」と題して、
リンクトインブロガーMTGでお話されていた内容をかいつまんで紹介させていただきました。
今回はそのリンクトインブロガーMTGを受けて、ソーシャルメディアによって日本のワークスタイルがどう変化するのか、私の考えを記載していきたいと思います。
■数千の外脳を持つソーシャルリッチ社員の誕生
まずはイメージしてください。
会社の会議室に社員が5人。あるテーマについてアイデアだしをしています。しかし、会議は思うように進行していません。重苦しい会議室の中、社員の多くは数々のめも書きの中から必死に新しいアイデアを練っています。
その一方で、一人の若手社員はスマートフォンを持ち出し、TwitterやFacebook、リンクトインを使っています。次の瞬間、スマートフォンを扱っていた社員からアイデアが発案されました。それもひとつではありません。2つ、3つ、4つと。この短時間の中で何が起きていたのか。それは、ソーシャルメディア上に質問を投げかけ、彼のネットワークの中からアイデアを獲得していたのです。社員一人ひとりがひとつの脳で考えている中で、一人ソーシャルメディアを活用してアイデアを集めていたのです。
ソーシャルメディアのネットワークは、ネットワークに存在する専門性を有する方々とのネットワークにより、個人一人では到底解決できない課題を一瞬にして解決してしまう強力なツールになります。例えば、彼のTwitterのフォロワー、Facebook、リンクトインのネットワークがそれぞれ数千を超えていたとしたら、すでに彼はたくさんの外脳を持っていることになります。変化の早い現代、こうして外脳の助けを借りて、課題解決の速度をあげていくことが必要とされると考えています。つまり、ソーシャルメディアを活用することは外にネットワークを持つということに留まらず、外脳の助けを得ることで、ビジネスを加速させることができるわけです。特にリンクトインは個人の専門性をすでに表明しているわけですから、もしネットワークに課題を解決する力を持った専門家がいたら、大きな力になってくれるでしょう。
こうして考えてみると、ソーシャルメディアはPC上にOfficeソフトと同様に使っていて当たり前のものになると思っています。そして、課題解決力に優れた外脳を持った「ソーシャルリッチ」な社員は、今後の組織の中でも重要なポジションになっていくのではないかと予測しています。
■役割がシームレス化——ソーシャルリッチ社員のワークスタイル
多くの専門家とつながるソーシャルリッチな社員が続々と誕生したときに何が起こるのか。
それは、役割のシームレス化だと考えています。
ソーシャルメディアで多くのネットワークを持っている方は、課題解決力に優れ、ビジネスを加速させる可能性を持っています。またその伝播力によって、広報活動としての役割も十分果たすでしょう。専門性をより積極的に発信している方は、自然にお客さまからお声がけいただく機会も増え、営業としての役割も果たします。また上記のビジネスネットワークにおける交流を通して、同じビジョンを共有し、意気投合したとします。そのときに、一声かけたとします。「一緒にはたらきませんか」と。こう考えれば、リクルーティングの役割も果たすことになります。ソーシャルメディアを巧みに操るソーシャルリッチな社員は、会社組織の業務の中で、多様な役割をシームレスで果たす存在になっていくのです。
いま、日本の多くの組織は役割を細分化し、それぞれのチームでその役割を果たす仕組みになっていますが、今後はこうしたシームレスな環境で力を発揮する社員が出てくることになります。そのときに、ソーシャルリッチ社員をどう会社組織のミッションに活用していくのか、今後問われていくのではないでしょうか。
■ソーシャルリッチ社員は、企業と社員の関係も変えていく
ソーシャルリッチな社員は、個人の活動や知見を発信し続け、ブランド化された人材です。ときには企業名やサービス名よりも個人の名前が社会で認知されているという可能性もあるでしょう。これまでは企業の看板を背負って仕事をすることで、企業のブランドに助けられながら仕事をしていた方が多くいたと思います。これからは逆で、社員のブランドが企業のブランドに還元されていく時代になるのではないでしょうか。言い方を変えれば、企業はソーシャルリッチな社員のブランドをレンタルする、という考え方に変わるということです。こう考えると、雇用形態、評価などもふくめて、企業と社員の関係は大きな転機を迎えるのだと考えています。
私は、ソーシャルリッチな社員の登場によって、ワークスタイルも変化しますし、企業と社員の関係性も変わっていくと考えています。正直、まだまとまり切れていない内容です。上記も企業の正社員をベースにした話になっています。雇用形態によって、上記の内容も大幅に変わるでしょう。未来のワークスタイル、企業と社員の関係、そして将来の企業と人のベストマッチングはどうあるべきなのかをみなさんの意見を聞きながら、考えていきたいと思っています。