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顔面神経麻痺を患った話 (5/6) 二回目の手術の決断

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実は顔面神経麻痺は誰もが発症する可能性がある病気。ただし軽度の場合には比較的短い期間で元通りに回復出来るようです。しかしながら私が2019年の正月明けに発症した状況は症状を判断する専門医による40点満点の機能評価で4点。医師からも余り見ないほどの重症だと言われた状況でした。
そしてそれから足掛け5年も経って症状も随分と落ち着きました。
最初の段階で医師からは「元の顔に戻る可能性は非常に低い」」と言われていたのですが、黙っていればそれとはわからない程度にようやく回復してきた今、今回は5回目です。

 

神経足せば回復の助けになる可能性はあるんですよね

1回目の手術のあとの経過は正直良く分からなくて多分良くなる方向に進んでいるのだろうけれど、と信じるしかない状況。勿論最初から「神経系の問題だから何単位で見ないと駄目」ということは聞いていましたし、自分でも理解はしています。きっと。多分。

でも鏡を見ても顔の動きを見ても、殆ど何も変わりません。ただ確実に言えるのは「数か月の単位で元の様に戻る状況ではない」ということ。それを踏まえ、1月に発症し2月に一度目の手術した流れを踏まえてお盆前の定期診察の中で相談。

「ここまで半年くらい様子を見てもあまり変わらないのは覚悟してたので別に良いとして、とりあえず二つ目のオプション(手術)ですぐに治るとか思っていないのですが今後の回復の助けにはなる可能性はあるんですよね」
「あるとは思います。少なくとも今の神経を足すことによって弱くなっていると思われる信号伝達を助けることはできると思っています。ただし別のところから神経を取って移植する手術になるし、神経を抜くところの問題もあるしということで勿論絶対に効果があると断言はできませんが、一定の効果はあると思います。」
「できることは全部やりたいので、少しでも効果があると考えられるならまた開けてください。よろしくお願いします。」

ということで2回目の手術を決断しました。

 

そして2回目の手術へ

今回は利き足と反対の足首から神経を一本、長さでいうと7センチほどを切り抜いて耳の前から顎にかけての舌下神経と呼ばれる部分に移植して信号経路を増やすという手術です。一般道路の横にバイパスを通して流せる交通量を増やすというイメージですね。

足首から神経を抜く関係で、その神経がもともと機能していた部分... 私の今回の場合には右足のアキレス腱の外側、足の甲の外側に伸びる神経を切り出して移植となりました。予想される後遺症は足の甲の該当する部分の感覚がなくなるので、たとえば胡坐をかくと床に触れるその部分の痛みを感じなくなるので床ずれのような状態になってもわからないこと、そしておそらく何年か経って別の神経が代替するようになるまではそれが続くこと、更にはどこまで元の状態に戻るかどうかは断言できないことでした。もちろん移植した先でどの程度効果があるのかは個人差の世界の話なので年単位で経過を見るしかないのですが、とにかく最初からドクターに「できることは全部やってほしい」と希望を伝えていましたので、手術を行うことにしました。

 

まぁ何とかなるさ きっと、たぶん、あまり自信ないけど

いずれにせよ死にたくなるほどひどい顔になっていても死ぬことはないので、とにかく先へ進むことに。気がかりがあるとすると手術室から戻ってきた直後の数時間の絶対安静の時間の辛さくらい。もちろん鎮痛剤を山の様に投与されるので傷自体の痛みはほぼゼロですが、とにかく身動きできないことの辛さは数か月前に思い知ってるのでそこだけが少し気がかりに。でもそれを乗り越えれば何とかなるのは解っているので考えないことにしました。

そして最初の手術から半年ちょっと経った9月中旬に再び手術室へ。今回の移植手術はこれまでの耳鼻咽喉科ではなく形成外科のテリトリー。手術跡は解らないようにきれいにしますよという言葉を頂きつつ大勢の研修医の皆さんなどに囲まれているのに再びドクターや看護師の皆さんとアホな話をしながら手術台に横になり、「じゃぁいきますよ」という言葉に「お願いしまーす」と言って一呼吸したらガン!と麻酔が効いて、6時間ほど経った病室で目が覚めました。今回は耳の前から下に向かい顎の皺に沿って開けて足首から抜いた神経の移植。前回は顔の左側だけだったのですが、今回は右の足首もガッチリと包帯がまかれた状態です。

 

鏡を見ても変わらないのに絶望しても仕方ない
でも多分時間が何かを解決してくれるはず

勿論手術直後に何かが変わることはありません。さらに言うと数か月経っても劇的に変わることはありません。でも、徐々に変化は出てきました。味が少しわかるようになってきたし、つぶれてしまっていた左の鼻の孔はどうやら元の場所に戻ってきたし下がった目の周辺も少し上がってきた感じです。ただし機能回復でそうなってきたかというとちょっと違う部分もあるのですが、いずれにせよ少しずつ回復しつつあるような感じではありました。

因みに神経を抜いた足の甲の影響が出るよと言われていた部分の感覚は殆ど無くなってまるで靴の上から触っているようでな感じ。そしてその後3か月くらい経ってもその部分を直接触ると厚い靴下の上から触ってるような感覚で、徐々に戻ってきてはいますが今でもその部分で感じる痛みは鈍いです。ちなみにアキレス腱の周囲って人間の構造的に筋肉が少ないために全然傷口がふさがらなくて、結果的にこの傷が完全にふさがるまでに実は2か月以上かかりました。でも神経ってある部分が機能を失っても可能であればどこかで代替するようになるんだというのを身をもって体験してる状態です。

そして顔は... 発症後1年も経つと、どんなにマッサージしても信号が来ない筋肉は委縮を始めます。でも自分の意思ではほどんど動かすことはできません。ただ、このころから加齢で下がってき始めている無事な顔の右側よりむしろ動かない左側の方がしっかりと顔の上の方にある感じで、自分的に変な感じです。

やはり数年経ってみないと何がどう戻るのかさっぱりわからない。でも少なくとも発症から足掛け5年、とりあえず日常の生活にそれほど困らないところまでは回復しました。

次回に続きます。

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