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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

街の情報は住んでる人に聞け論

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Togetterで「横浜に引っ越す予定の人に組事務所や宗教施設情報を教えたら否定された→そういう情報こそ必要じゃない?」というお題を見つけました。

思い起こせば神戸から就職で関東に出てきて、最初は数年は世田谷の端っこに住んでいたのですが、そのあとはかれこれ40年近く横浜市内に住んでます。横浜市自体は人口が370万人もいて日本最大の政令指定都市で、自治体としても神奈川県の県庁所在地だけれど全県の四割が住む巨大都市故に都市政策での線引きが色々難しいことになっているのは以前から地元ではそれなりに知られた話。例えば住みたい街ランキングとかではそこそこ上位に入ってくるんですが、370万人も住んでる街故、いろんな顔があるのは事実で、そこそれぞれの歴史的経緯が巻き付いてるのも事実。だからこそ、というかだからやっぱりそれなりに面倒くさいことがあるのは事実です。

とは言え、私自身、横浜という街自体は全体としては好きです。

私自身の狭い観測範囲での話ですが

思い起こせばかれこれ40年近く横浜市民。そして実は人生の中で並行して下関や神戸明石といった「港のある街」にずっと関係がありました。今でも実家は神戸市内ですし、中学高校はそのすぐ西の明石。更に西の山口県下関市は母親の実家があった関係で自分の出生地であり、かつ父親の仕事の関係で3年ほど住んだことがあります。更に言うと父親の自家は長崎県で、そもそも仕事自体も漁業に直接関係する仕事でした。そんな自分の歴史的経緯からこのまとめでちょっと触れている「港町故の歴史的経緯と雰囲気」の話は良く分かります。

それぞれの港町、あるいは海に近い街は令和のこの時代になって最早随分と変わったところも多くありますが、それでも各地それぞれ歴史的経緯を踏まえて物理的にこのブロックとか路地は明るい時間でも一般人は曲がっちゃ駄目よとかあったし、今でも知ってるところは知ってたりします。良い悪いでいうとあまり良い話では無いのは事実です。別に港町じゃなくてもという話だとは思いますが、今でもそういう空気があるところはやはり存在しているのは知っていますし、そんな存在を知らず意識せず何の疑いも持たずに接するのは控えた方が良い時と場所はやっぱりあるよって思っていたりします。

とは言え、私自身は、港を中心に大きくなった横浜という街は好きです。

たとえば歓楽街として成立している(あるいはしていた)という歴史はやっぱり意識しておいた方が良い場合がゼロではない

これは日本だけの話ではないし、日本国内においても横浜だけの話ではないと思うのですが、たとえば歴史の中で「歓楽街」がどんな場所にどんな経緯で成立し、それが今に至る流れでどう変遷してきているかというのはやっぱりあると思っています。吉原や浅草、新世界、新開地。どれもそこに歓楽街ができた経緯があり、そして今に至っているわけです。大事なのはその街に何故歓楽街が生まれたのか、その時の時代背景はどうだったのか、そして今はどんなことになっているのかという部分の話です。単純に歓楽街(だった場所)が悪いとかではなく、そこに集まった人たちは何故そこに集まっていたのか、どんな人がそこを仕切っていたのか、そしてそれを背負う街がどんな状況だったのか、どんな形でそこを仕切る或いはそこを基盤とした人や団体が成立してきたのか。

ということで、少なくとも「綺麗で素敵でハイソで洒落たナウでイカしてスカしたヤングなエグゼクティブや億ってる人や何とか女子がタワマンの最上階のパーティーに集う街だけが街じゃない」ということは断言できると思っています。

とりあえず横浜に関して、比較的近い歴史の話でいうと太平洋戦勝終結後に今の神奈川区あたりから磯子区に至る海岸線は当初ほぼすべて進駐軍に接収され、大量の兵隊がそこに進駐し、焼け野原や闇市や米軍の放出品やジャズとブギや港湾労働や治安なにそれ美味しいの的なところから伊勢佐木町ブルースや港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカな時代を経て街が復興して今に至るという歴史があるわけです。更に言うと元々港湾施設で働く皆さんの生活環境などの話、更には戦地から復員してきた皆さんの状況、そしてそこに国内だけでなく明治以降から太平洋戦争終結後の混乱期を含め今に至るまで海外からいろんな形と経緯で移住してきた皆さんの話等々、明治以降の街の歴史を経ているわけです。
実際、たとえば横浜駅周辺であってもそういった歴史的経緯を感じる場所は今でもあります。

とりあえず街を普通に訪れる立場あるいは市民として街を楽しむのであれば路地裏探検とか考えずにsunny side of the street を楽しめば良いは思っています。ただし、ただしですが、住むにしても場所の下見と知っていそうな人への聞き取りは絶対にしたほうが良いと思う一帯ってのは本当にあるし、実際に相談されて思いとどまらせたこともあります。残念だとかそんな次元の話ではなく、でもそれも横浜の街の顔の一つです。
良し悪しで判断できない部分が多々あります。

とは言え、私は港のある街としての横浜はやっぱり好きです。

横浜だけど山の中という自宅の立地を踏まえて

横浜市というと、一般的には港を思い浮かべるモノだとは思います。これは多分神戸でも同じだと思います。ただし私の今の家は海沿いではなくずっと北を走る東急田園都市線沿線。目の前の住宅越しにはるか向こうのランドマークタワーの上の方がギリギリ見える場所。一番近い海まで15キロはあります。神戸の実家も同じような感じで、須磨の海岸から車で真っ直ぐ北の方向に山を上がって20分くらい。かつては横浜のチベットとすら呼ばれた一帯。

一言で言うと山です(笑)

家の周辺に平地は殆どありません。例えば横浜駅までは電車で小一時間。渋谷に行くのと大して変わりません。自転車は電動アシストでないと最早修行。駅から車で5分の我が家にたどり着くまでに坂を上がって下りてもう一度上がらないといけなくて、正直1.5リッターの小型乗用車でも5リッターの大型車でも燃費自体はさほど変わりません。PHVならもっと良いとは思いますが、そんな環境から平地ばかりの土地に行くと慣れてなくて不安になるくらいの場所です。
そういえば私の生活してきた場所って、この横浜だけでなく神戸でも下関でも明石でも同じような感じでした。海が比較的近く平地が殆どない場所。

その意味もあって同じ横浜市内でも所謂横浜の中心街にあたる西区中区辺りに行く時には敢えて「横浜に行く」と言ったりするという程度に横浜市民の自覚はあやふやあのですが、それでも所謂横浜の中心部にあきらかに歴史を背負ってる場所があるのは知ってましたし、仕事でそういう場所のいくつかに出入りしていたこともあります。単なる「出入りの業者」という顔で動く分には基本的には何もないですが、仕事の範囲を逸脱してはいけない場所とか、日が暮れたら通らない方が精神衛生上良い場所だったりします。

それでも私は横浜が好きです。神戸も好きですが。

時間の流れの中で街自体はゆっくりと変わるけれど


今の時代に何を言ってるんだとかそんなの残念だよ行政がなんとかしろよとか何故そんなことになってるんだよとかいろんなご意見が出るとは思いますが、正直、今のこの時代に何も考えずに立ち寄るべきではない場所はやっぱりあります。でも街自体が生き物だから仕方ない。昔があって今があるわけです。全部更地に整地して人も全部入れ替えて綺麗なビルに生まれ変わったわけでは無い。何か変わるにしてもそこでいろんな形で生活の糧を得ている人がいるなかで急激に状況を変えることは出来ない話です。

でもたとえば地元の不動産屋や商店の人がいきなり教えてくれるような話でもないそんな街の顔に一見さんが触れるのはある意味難しいし、そこに例えばいきなり住もうとする人が歴史的経緯の理解も含めて全部受け入れるというのは難しい話だと思います。そしてこれはたとえば変な例でいうと「地方への移住というムーブメントの光と影」で語られることがある地域の狭いコミュニティーとのゴタゴタの話に近いような部分があるようで、でも実は全然異質の部分の話でもあります。
知ってる人に聞かないとわからない話。でも知らないとそれなりに大変なことになることがあるのも事実。

たとえば過去にも例えば横浜市内およびその周辺でちょっと心の準備が必要な現場にそこを取り巻く歴史的経緯を知らないスタッフがアサインされて何も考えずに行こうとしてるのを制止して担当者変わってあげたりとかやったことは一度や二度ではないです。少なくとも私が対応できる範囲であればそうやって引き取ったこともありますし、単純に地域的な話とかではなくいろんな理由で現場作業を断ったり作業を中断して撤収したことも実はあります。それを何らかの軸で良し悪として論じたくありませんが、それも現実社会の一つの側面。
でも私は横浜は好きです。ただし山坂が多い故、これから年齢を重ねて自分で歩くのが難しくなってきたら今の居住環境どうするよという議論が頭から離れることは無いのですが、

因みに地域のコミュニティの状況がいろんな理由で大きく変わってしまい、治安が不安という状況が近年生まれてきてしまっている場所というのが全国にいくつかあるような報道も聞いたことがあります。別に古くからの港町に学べなどとは言いません。でも最近になってそういう状況が生まれた地域というのは大変だろうなとは思います。私が何かできるわけでは無く、何か提言みたいなことも出しようがないのですが。

でもやっぱり私は横浜が好きです。野球は横浜ベイスターズではなく我らが阪神タイガースが好きなのですが。

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