おかしいです。お金をもらう側は、力関係が弱いと解釈され、それを飲むことが多いのです。
おはようございます。
風もほとんどなく温かい朝です。
===ほぼ毎朝エッセー===
ここのところ社内では支払いサイトが話題になっています。
支払いサイトとは、請求書の発行日に対していつまで支払いをするかという期間のことです。
よく「月末締めの翌月末払い」とか「月末締めの翌々月末払い」とか耳にすることがありますよね。これは、請求書の発行日に対して、いつまでにお金を支払うのかということの取り決めです。
一般的には請求書に支払い期日を明記してあります。また、繰り返しのビジネスが発生するのであれば、それは契約書として取りきめがしてあることなのです。
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では、なぜ支払いサイトが重要なのでしょうか?
お金がなければ、社員への給与の支払いや、様々な費用の支払いに困るわけです。その元になっているのは、請求書に対する入金です。そのタイミングは早いほうがいい。一方、支払う側になれば、なるべく遅い方が手元にキャッシュが残るのでいい。
さらに、約束していた期日に支払いがなければ、あるいは支払いが遅れれば、それだけどこかのキャッシュが足りなくなるというリスクが高まるのです。そのリスクを回避するために、無駄にお金を蓄えておく必要性が出ます。
お金には調達コストというものがあります。いわゆる金利や株に対する配当などのことです。安定した社会での優良企業であれば、その調達コストはだいぶ安いのですが、インフレの社会であったり、不安定な企業であれば、そのコストはだいぶ高くなります。
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起業をしてから分かったことなのですが、大きな企業は、力関係で長い支払いサイトを強要する傾向にあります。ひどいケースでは6ヶ月後。あるいは手形での支払いです。手形というのは「半年後とか1年後にお金を払いますよ」という私的な借用書です。つまり現金はそこまでもらえない。
一方、お金をもらう側は、力関係が弱いと解釈され、それを飲むことが多いのです。おかしいですよね。そもそもお金の調達コストは一般的に大きな安定した企業の方が安いです。小さな企業には高い。その大きく強い企業が小さく弱い企業にお金の負担を強いているのです。
まさに弱肉強食。強いところがより強くなり、弱いところは伸びることができない。これでは社会が閉塞します。
こういうことはアンフェアだと痛感したので、小さい企業ながらも、e-Janでは原則「月末締めの翌月末払い」でビジネスをさせてもらっています。払うのも受けるのもそう。大きなお客様との取引でもそれを貫いています。
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実は、若いころ、バージニア大学のMBAのケーススタディ授業の最初の方で「支払サイトを延ばす」と「値引きする」ことが同義であるということにかなり驚いたものでした。
それが、実際に起業をして、キャッシュショートの恐怖と戦った経験から「そういうことなのか」という「納得」に変わりました。『無担保500万円金利18%』という広告に何度も生唾を飲み込んだ時代です。不安定な会社には調達コストが無茶苦茶高いですよね。
10分床屋で千円札しか受け付けないところがあります。お釣りを用意していないのです。これはお釣りを用意するということは不用意にお金を準備しておく必要がなくなることが理由です。お金には調達コストがある。そのことから、10分床屋近隣のお店が快く両替してくれていることがとても不思議です。
そもそも「お金を払う側が偉い」という思想はおかしいですね。ビジネスをやるからには、支払いサイトは短い方がいい、支払い期限は厳守する。
早くフェアな社会にすべく、会社の規模はまだ小さいながらも、この思想は貫いています。