アベノミクスは圧力容器で考えると分かりやすい
おはようございます。
薄曇り。ただし暖かいです。いつの間にか4月も最終日。
===ほぼ毎朝エッセー===
レーガノミクスはレーガン米大統領が1980年代に実施した経済政策。その呼称をまねたアベノミクス。基本的にはインフレを許容する政策です。
では、インフレとかデフレって言いますが、どういうイメージでとらえるといいのでしょう?
このように考えると分かりやすいと思います。
アメリカでMBAの授業中に"Shiro's Rice Cooker Theory"と名付けてもらった考え方です(笑)。
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国を大きな圧力容器と考えてみましょう。その容器の大きさは変わります。容器の大きさはGDPと比例します。そして容器の中には一定の密度でお金が入っているのです。モノの絶対的な価値は容器の中の一部分の体積と比例すると考えます。
容器のサイズをそのままに、お金の量を多くすると、お金の単位体積あたりの額は大きくなりますよね。つまり、同じモノを買うのに必要なお金が多くなる。これがインフレの方向です。
一方、容器のサイズをそのままに、お金の量を少なくすると、単位体積あたりの金額は小さくなります。同じモノを買うのに必要なお金が少なくて済む。これがデフレの方向です。
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国の経済は大きくも小さくもなる。つまり容器全体が大きくなったり小さくなったりします。
その時にコントロールしようとしているのはお金の流通量なのです。
容器の成長に合わせて発行するお金をコントロールするのです。つまり単位体積あたりの金額を合わせる。これによって急激な物価上昇(インフレ)や物価下落(デフレ)を防ぐことができるのです。
お金の発行はお札を刷ることではありません。国が発行している国債を買い戻す、つまりお金に戻す、その行為でお金の流通量がコントロールできるはずだという考え方があります。
アベノミクスで2%の物価上昇を促進する政策は、容器のサイズが変わらないのであれば、お金の発行量を2%増やせばいいのです。それによってお金の密度が高くなって単位体積あたりの金額が大きくなる。つまりモノの価格が上昇します。
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物事を難しくしているのが、容器をまたいだお金の流通です。つまり海外との輸出入だったり投資だったり。投機的なお金は期待で実体経済よりも大きく早く動きます。
「これから密度が高くなる傾向にあるぞ」ということになれば、容器のサイズがあまり変わらないのであれば、円の単価は安くなるわけです。同じモノを買うのにより多くの円が必要になる。だから円安が進む。早く進む。
円が安くなれば、企業価値の総額である株価が海外通貨から見れば安くなります。それなので海外からの投資が増えます。それで株価が上がる。ただ、長期的には円安になった分だけ株価が上がるというのが冷静な見方でしょう。
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経済というのは後付けの理論と良く言われます。
アベノミクスでは、基本的に、お金の流通を増やして、円の密度を上げて、円の相対価値を下げて、円建てでの株価が上がったように見せて、人々のマインドを緩くする。それによってお金の回転率を上げて閉塞感を打開しようという考え方ですね。
これが国の容器のサイズ拡大へとつながるように促せるかが勝負なのです。そうでなければ、円の密度はどんどん高くなり慢性的なインフレへとずれることになるだけです。
一見分かりづらいことも、モデルをもって考えると分かりやすいのではないかと思い、書いてみました。