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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

ゴミ箱から考える、会社・組織・製品の品質

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おはようございます。

すっきり晴れた冷たい空気の朝。放射冷却。

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コーヒーの少し残った紙コップをそのまま捨てる。
するとそれは流れ出て茶褐色の液体がゴミ箱の底にこびり付く。

ガムテープなど粘着性のあるものをそのまま捨てる。
すると折角ゴミ箱を保護しようと入れてあるビニールに張り付く。

普段、ゴミ箱をかなり汚しています。気がつかない、あるいは見ていない。
そこに気がつく一部の人やお掃除の方、たまにゴミ箱を洗ってくれています。

ある意味、「気がつかない系」による小さな乱暴を働いているのです。

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3年前、社内掃除を当番制にしたのには、セキュリティーのこともあります。
機密情報の多い執務室に管理会社が雇った掃除の人が入ってきて作業をする。
どう考えてもセキュリティー的におかしい。だから自分たちで掃除をする。

実は、同時に次のような考えもありました。
「『気がつかない系』の小さな乱暴に気づいてもらいたい」と。

自分たちでゴミ箱を片付ければその汚さに気がつくはず。
気がつけば徐々にゴミ箱をキレイに使うようになるはず。

「気がつかない系」の人は、仕事もずさんな傾向にあるようにも見えます。
ゆえに「気がつく」場を増やせば、より良い仕事のアウトプットに結び付けられる。

そのような仮説でした。

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3年ほど、自分もゴミを集めながら観察していました。
ゴミ箱の状況は、良くはなりつつありながらもどうも直らないです。
どうしても気がづかずに、汚く不便に使う人が残っているのです。

仕事は緻密に進めなければいけない。
仕事の緻密さの元は、気がつくかどうか、人の立場がわかるかどうかです。
品質やセキュリティは一番弱いところから崩れる。組織も人も同じです。

日本電産が社員にトイレ掃除をさせるというのは有名ですよね。
自分たちが掃除をすれば汚さないようになる。そのような気づきのためです。
それが結果的にはビジネス自体にも影響を及ぼす。

トイレ掃除をさせるようなことまではしませんが、その思想はわかります。

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今回、新執務室に移動した機会に社内のゴミ箱を刷新してもらいました。

「燃える」用の白と「燃えない」用の黒。

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比較的小ぶりのものにしました。だいたい二人に1セットの配置です。

毎日発生するゴミは、自分たちで給湯室の大きなゴミ箱に捨てに行く。
簡単に言えば、隣のひとと交互に捨てに行くわけです。
汚く使ったり、粘着物をそのまま入れたら、すぐ隣の人が嫌な思いをする。
だからキレイに使うようになれる。そう信じています。

組織の思想というのは、こういったことからも顕在化してくるもの。
実に細かいことなのですが、ゴミ箱一つとっても大切だと思うのです。
ニューヨーク地下鉄の犯罪が落書きを消すことで減ったのと同じです。

「気がつかない系」の雑で乱暴な組織にはならない、ならさせない。
お互いにケアしあう組織。お客様や製品にも細かいケアが行き届く組織。
こういった細かいことにこだわりきる組織。それが品質のいいビジネスを作る。

ゴミ箱一つとはいえ、そのようなステージに上がるための意味があるのです。

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