「御社は顧客要望を全く聞かない方針だとお聞きました」と言われて愕然
おはようございます。
早朝は雨が止んでいます。冷たい風が強いです。
==
「どうしてもメーカーと直接お会いして話をお聞きしたい」
昨日、四国のあるお客様がいらっしゃいました。CACHATTOユーザー大手企業の、システムの責任者たちでした。
「御社は顧客要望を全く聞かない方針だとお聞きました」
「このままでは競合品に切り替えますよ」と、警告しにきてくれたのです。あまりに我々の普段の考え方や方針と違うことを聞いて愕然としました。
どこからその方針を聞いたのか尋ねると「販社」からとのことでした。販社からCACHATTOの最新情報をもらおうとしても、暖簾(のれん)に手押し。何もわからない。だから直接メーカーの方針を聞きにきたのだと。
==
実は、だいぶ前のことです。
「あそこはカスタマイズは一切しない。標準品を提供するのみ。殿様商売だねぇ」と。
ある先輩企業について似たようなことを聞きました。そこは法人向けグループウェアパッケージの販社ビジネスでした。いつの間にか我々も同じような見え方になっていたのです。怖いです。
今朝は何故そうなってしまっているのかについて考えてみましょう。
==
まずはIT商材を法人向けに販売するB2Bにおいてのパターンを整理しましょう。
メーカーの営業が直接お客様とコンタクトしてビジネスをするのを「直販」といいます。一般的にはチョクハンと発音しますが、たまにジキハンという発音も聞きます。
図に表すとこんな感じです。
(1) [メーカー] → [お客様]
「直販」に対して「販社」を介して販売するのを「販社ビジネス」といいます。販社を介する場合のパターンは次のようなものでしょう。(2)'のように多段階入ることもあります。
(2) [メーカー] → [販社] → [お客様]
(2)’[メーカー] → [販社]×n → [お客様]
間に「ディストリビューター」いわゆる流通業が入ることもあります。IT業界における大手はソフトバンクBBとかダイワボウ情報システムとかネットワールドとか。
(3) [メーカー] → [ディストリビューター] → [販社] → [お客様]
(3)' [メーカー] → [ディストリビューター] → [販社]×n → [お客様]
「→」それぞれのケースで売買契約とか販売契約などを結んでいます。
広い層の顧客に販売をしようとすると、多くの販社に製品を扱ってもらうのが自然です。製品は業界に「流通」してもらうための「ディストリビューター」とのビジネスをします。「ディストリビューター」は、売れそうな製品をいち早く取り扱い始めます。そしてその分野のデファクトに仕上げることで、安定した流通ビジネスを構築します。
(2)と(3)を合わせて「販社ビジネス」とか「パートナービジネス」と総称したります。
メーカーとして、パッケージなどの製品を広い範囲のお客様に届けようとすると、必然的に(1)から(2)、そして(3)へと販売活動内容が変わってきます。
ちなみに、どういう売り方がいいのかは、製品の性質に大きく左右されます。標準品に近ければ近いほど(3)への傾向を深める。ミドルウェアであったり、カスタマイズが多ければ(1)とか(2)です。
==
標準品で多数の販売をしようとすると「お客様」と「メーカー」の距離が離れます。どうしても「従来なら伝わっていたはずのこと」がうやむやになります。
また「販社」にしてみれば、「買うと言われたので売っただけ」というケースも出ます。詳しいことは分からないということも当然出てくるわけです。
あるいは「販社」でも、お客様に入り込んでカスタマイズなどを実施している販社、いわゆるSIer(システムインテグレーター)、の要素が強くなってくると、「メーカー」が直接「お客様」とコミュニケーションを取るのを嫌うこともあります。
そこで、メーカーが「顧客要望を全く聞かない方針」などというスケープゴートにされてしまう現象が発生するわけですね。
「製品情報」をネット媒体や、広告、展示会、セミナー、ユーザー会などでお伝えする。その活動は、製品のイメージ、いわゆるブランドとなっていく。
これを地道に続けることより大切だと痛感しました。ただ、今回のケースを見ても分かるとおり、まだまだ不足しています。
また顧客へのヒアリングも引き続き積極的に続けます。お客様からいただけるヒントを提案として昇華させて製品へと反映する。お客様ベースをすでに13万人もいただいている我々だからこそいただけるご意見。
この基本方針は「10歳になったCACHATTO」が生まれる前から変わっていません。
そう、今月CACHATTOはデビューしてから10才になりました!
ビジネスは生もの。これで完成という姿は無い。日々知恵を絞りやることを改良していく。気の引き締まる思いがしています。