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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

トラブルが発生するときというのは、なぜだか同一の会社に重なります

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おはようございます。

空の色って毎日違うのですね。
今朝は微妙な曇り空のためか普段のオレンジよりもピンクでした。桜もいい塩梅。

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■難航したプロジェクト

この2年ですっかり変わりました。

お客様での製品導入時にトラブルが発生することは稀なことになりつつあります。従来からの製品創り込みが効果を上げたのでしょうか。数多いサポートの地道な努力が積み重なったのでしょうか。

ところが、組み合わせが悪いというのか。よりによってというのか。

トラブルは発生させたくないお客様に限って多重に発生するものです。今回は日本有数のシンクタンク、頭脳集団での会社さんでの導入でした。そこでは半年前、会社のメールやスケジュール確認をCACHATTOとiPhoneでの組み合わせで実現したのです。

ところが、自分たちの試験環境で再現できないiPhone OSでのアプリ突然死が多発します。あるいは、急いで実装してほしいとのご要望で標準化した新機能に、環境依存性の強いバグが見つかったります。さらに、iPhoneの3G回線が弱いためのレスポンスの悪さにもクレイムを受けていました。

トラブルが発生するときというのは、なぜだか同一の会社に重なります。

当然のことながら原因の究明や説明などを厳しく求められます。質問表と称したエクセル表は膨大なものになっていくし、間に入っているSIerさんの説明資料もみるみる厚くなっていきます。製品メーカーとしては、そのような説明資料を作るような価格帯での製品提供はしていないし、サポート体制もないです。

説明資料作成に要する工数が、本来の製品チェックにかけるべき時間を食いつぶす。するとトラブルがさらに発生する。必然的に、お客様からの苦言のトーンはどんどんと厳しいものになっていく。明らかに負のスパイラルが発生していました。

日々苦戦する前線を見ていて、いつストップをかけるか悩みます。「やめる」というのも選択肢の一つです。ただ、現場はひたすら粘ってくれていたのです。

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■一転してほめちぎられる

「このプロジェクトは大成功でした。」

昨日、そのプロジェクト総括の場に出席しました。まだまだ問題があると、かなりの苦言を覚悟もしながらいたのです。ところが、評価は一転していました。先方の方々からこちら側の担当者たちの粘りを「ほめちぎる」ような言葉をいただけました。

そこでのメモを転記してみましょう。

「まずはお礼を申し上げたい。
 総論として、これはとてもうまく行ったプロジェクトです。

 CACHATTOとiPhoneの組み合わせはユーザーに大好評です。
 まずはiPhone自体が面白い端末であることが挙げられます。
 そして、うちの厳しいセキュリティポリシーに合致しながらも、
 CACHATTOで会社のメールやスケジュールを使えることが『非常に』好評です。

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 Exchangeのスケジュールだけでなく、半数近くが現場で入れているサイボウズ、
 そのデータがiPhoneで確認できること、これがまた大好評なのです。

 とくに途中から入ったS社のNさんには感謝の域を超えたお礼を言いたい。
 すばらしい粘りでトラブルに対処してくれました。

 震災を受けて、会社に来ることなくメールやスケジュールを確認できる機能、
 とても多くの人に使われ始めました。
 外に出る人、管理職、役員などが、かなりの比率で使っています。
 震災後にユーザー数も1割増え、アクセス数も1.5倍です。

 従来使っていたNokiaのデータを残す形の端末よりも、iPhoneの方が圧倒的にいいです。
 おおきな声では言えませんが、それなりの比率でiPhoneを無くす人もでてきています。
 海外で盗まれたりもしたケースもあります。本当に使われているからなのですね。
 端末にデータを残す形のシステムであれば、役員のメールが外部に漏れるわけです。
 システム提供側としては気が気じゃないです。

 CACHATTO+iPhoneであれば、端末を紛失しても、データは入っていないわけです。
 システム提供側としては、紛失自体は大問題視しますが、本当に『安心』できています。
 これは素晴らしい仕組みです。本当にいい製品です。

 そして、今後に向けてのうちからの要望は『品質の安定』に尽きます。

 お客様からの要望は全て入れる必要はないです。
 ただ、入れたものに関しては充分にテストしてほしいです。

 異常形テストケースの割合は、テストケース全体の半分くらいが適当ではないか。
 そういう考え方を徹底してほしい。
 今は受け入れ側の素人テストで問題をあぶりだしているが、これはプロである
 メーカーとして実施してほしいです。

 そして、システムの中に、既知の問題や制限があるのであれば、
 『それは仕様です』と答えるのではなく、『既知の制限事項です』と答えて欲しいです。

 レスポンスや使い心地の改善には、継続して取り組んで行ってください。

 あと、Androidって実際には使われ始めていますか?見解を教えていただきたいのですが。」

やはり、要望は尽きません。どんどんと出てきます。でもまさか、あの厳しい言い方をしていた人たちからこのような総論をいただけるとは、です。驚きを禁じえませんでした。

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■製品の強さの根源

製品の強さには、お客様とのやり取りから鍛えられる要素が多くあります。

日本の超一流企業を中心に数百社、9万人近いユーザーに日々使われているCACHATTO。社会的情報インフラを支える一部として、この震災でもシステムを落とさずに責任を果たしています。

日進月歩で進化する最新型スマートフォンや、各種グループウェアへの対応もしています。最新技術を投入しながら、パズルのように難しい要望の組み合わせを、妥協せずに矛盾なく各種機能を標準実装しているのです。

今、そういう進化が止まらない製品を創り込んでいられるという幸運。
そして、粘り抜く難題に取り組む理想組織の面々。

感謝の気持ちの朝です。

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